歴史に残る名勝負。タイトルを争うグロンホルムとローブがニュージーランドで激突【WRC Topic】
2022年9月29日から10月2日にかけて、ラリー・ニュージーランドが10年ぶりにWRC世界ラリー選手権の一戦として開催される。そこで思い出されるのが、2007年のラリー・ニュージーランドで繰り広げられた、マーカス・グロンホルム(フォード)とセバスチャン・ローブ(シトロエン)のふたりによる大接戦だ。グロンホルムが0.3秒差でローブを下し優勝したそのラリーは、WRCの歴史に残る名勝負だった。
2007年のニュージーランドは、シーズン第11戦として8月末から9月の第1週にかけて開催された。2007年は年間16戦という非常に長いシーズンで、グロンホルムとローブが激しくドライバー選手権を争っていた。
第10戦までにグロンホルムが4勝を、ローブが5勝をあげ、ポイントも実力も伯仲状態。グロンホルム駆るフォード・フォーカスRS WRC07はその年非常に戦闘力が高く、シーズン中盤のグラベル(未舗装路)イベントで3勝を飾るなど、タイトル獲得に向けてグロンホルムは気合いが入りまくっていた。
一方のローブも、シトロエンC4 WRCでグラベルイベントを3戦連続で制し、ニュージーランドではどちらが勝ってもおかしくない状況。実際、ふたりはレグ1からベストタイム合戦を繰り広げ、レグ2が終了した時点でローブが首位、それを1.7秒差でグロンホルムが追う接戦となった。
最終日のレグ3も僅差の戦いが続き、最終ステージを前に首位グロンホルムを0.7秒差で2位ローブが追う展開に。ローブは渾身のアタックでベストタイムを記録するも、グロンホルムの総合タイムに0.3秒届かず。勝利が決まった瞬間、グロンホルムはマシンの屋根に駆け上がり、絶叫しながら長い手をブンブンと振り回し、優勝の喜びを爆発させた。
ニュージーランドでの劇的な勝利により、グロンホルムは5勝でローブに並び、ドライバー選手権のリードをさらに拡大。しかし、その後のラリーでローブが3勝を挙げたのに対し、グロンホルムは2回の2位が最上位。ローブがシリーズリーダーとなり、タイトル争いは最終戦のラリーGB(イギリス)までもつれ込んだ。そしてGBでグロンホルムは2位を獲得したが、3位でフィニッシュしたローブが4ポイント差で逃げ切り、4年連続でワールドチャンピオンに輝いたのだった。
ちなみに、そのラリーGBをもってグロンホルムは現役を引退。フォードのエースの座を、その年3勝を飾るなど大きく成長したミッコ・ヒルボネンに禅譲したのである。
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