角田裕毅をインタビュー。「将来的にフェルスタッペンを超えて世界一になる」【大谷達也のモータースポーツ時評】
モータースポーツだけでなく、クルマの最新技術から環境問題までワールドワイドに取材を重ねる自動車ジャーナリスト、大谷達也氏。本コラムでは、さまざまな現場をその目で見てきたからこそ語れる大谷氏の本音トークで、国内外のモータースポーツ界の課題を浮き彫りにしていきます。
第6回目は初のF1テストドライブが決定した角田裕毅のインタビューレポートです。話を聞いたのはホンダF1参戦終了が発表された直後。本人が語る熱い想いに、大谷達也氏が切り込みます。
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■「夢はF1ワールドチャンピオン。いまの目標はF1ドライバーになること」
角田裕毅選手をインタビューしたのは、ホンダがF1参戦終了を発表した直後で、アルファタウリでシート合わせを行う直前という微妙なタイミング。それだけに、彼がどんな思いで今シーズンのFIA-F2を戦ってきたかがはっきりとわかる言葉を聞けたといえる。
まずは、将来の夢について訊ねてみた。
「僕の夢はF1でワールドチャンピオンになることですが、いまの目標としてはF1ドライバーになることです」
その目標に関していえば、ホンダがF1参戦終了を発表したことが大きく影響すると考えるのが自然だ。
ホンダの発表以降、角田選手はヘルムート・マルコを始めとするレッドブル関係者と、自分の将来についてなにか話し合ったことはあるのだろうか?
「いや、それはまったくありませんね」
角田選手の口調はきわめてきっぱりとしたもので、それは自分がF1にステップアップすることを確信しているようにも聞こえた。
「(ホンダがF1参戦を終了することで)僕の立場が変わるようだったら、最初からマルコさんは僕をレッドブル・ジュニアに入れていないでしょう」
つまり、ホンダF1の参戦終了と角田選手の今後はまったく関係ないとレッドブルが捉えているというのか?
「とにかく、そういうことを僕は(レッドブルと)まったく話していないので、そう捉えていただいていいんじゃないかと思います」
裏を返せば、レッドブルはホンダの支援を期待して角田選手をレッドブル・ジュニアに選んだのではなく、純粋に彼のドライバーとしてのポテンシャルに期待を寄せていることになる。
では、マルコは角田選手に対して「キミは将来F1ドライバーになれる!」というような期待を語ってくれたことがあったのだろうか?
「うーん、そういう僕の可能性を話すというよりは、『今年、こうしなくちゃいけない』ということしか言われないですね。『今年、こういう結果を残したら、来年はこうなる』みたいなことはずっと前から話しています」
「おそらく、僕の速さとかレースを組み立てる力が、カテゴリーのなかでトップにあると認められているからレッドブル・ジュニアに選んでもらっているのだと思います。だから、シーズンの目標は最初から明確に伝えられています」
角田選手は、自分のレーシングドライバーとしての強みがどんなところにあると考えているのだろうか?
「ドライビングスタイルでいえばブレーキングでしょうが、僕自身の強みは、ほかのドライバーからいろいろなことを吸収できる点にあると思っています」
「もしも、自分が別のドライバーよりも劣っているところがあるとすれば、そのドライバーのことを見て、どういうふうにしているのか、どういうふうに走っているのかを観察して、それを自分の走りに活かせるように解読できること。それが僕の強みです」
それにしても、スターティンググリッドから着実に順位を上げてフィニッシュすることの多い角田選手は、いかにも負けん気が強そうなドライバーのように思える。
「どうなんでしょうか。僕自身、自分が世界一速いとは思っていないんです。なにしろ、僕の上にはフェルスタッペンがいますから。それでも、将来的にフェルスタッペンを超えたいと思っていますし、自分が世界一になる自信もあります」
「だから、自分がいま世界でいちばん速いという自信よりは、ほかのドライバーを相手にしたときに、彼らを乗り越える自信があるということですね」
いずれにしても、角田選手がF1ドライバーへの切符を手に入れるには、シーズンを4位以内で終える成績を最終戦バーレーンで残す必要がある。
「もともとは自分に起きることをよく予想するタイプだったんですが、メンタルトレーナーから『レースの結果を予想することが予選や決勝での緊張に結びついている』と指摘されてからは、あんまり予想しないようにしています」
「だからバーレーンでは、フリープラクティスの走り始めから、ひとつひとつのコーナーを大切にする気持ちで挑みたいと考えています」
つまり、ライバルのことを考えるのではなく、自分の走りに集中することが重要ということか?
「そうですね、はい」
自分の走りがしっかりとできれば、シリーズ4位以内の結果は自然に得られる。角田選手が、そんな気持ちでバーレーンの決戦に挑もうとしていることは、この言葉からも明らかである。
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