小林可夢偉がスパで垣間見たGT3レーシングの世界。鈴鹿10Hは“日本の夢”を生む?
鈴鹿10時間同様、インターコンチネンタルGTチャレンジの一戦であるスパ24時間。スパでGT3レーシングを初体験した小林可夢偉は、そこで何を感じたのか。そして鈴鹿10時間へ興味を示している彼から、その意外な理由を聞き出すことができた。
伝統の『鈴鹿1000㎞』に代わり、来夏から開催される『鈴鹿10時間耐久レース』。この大会は、2輪の『鈴鹿8時間耐久レース』、通称“8耐”と並び、鈴鹿の夏を彩るビッグイベントとして企画された。
すでに発表されているように、これはGT3マシンを使用して行なわれる。GT3の車両は現在、欧州のブランパンGTシリーズを筆頭に、日本でもスーパーGT300クラスでも走るなど世界中で人気を博している。
また鈴鹿10時間には、オーストラリアのリキモリ・バサースト12時間、ベルギーのトタル・スパ24時間、米国のマツダレースウェイ・カリフォルニア8時間と並んで、インターコンチネンタルGTチャレンジのポイントが付与されることも決まり、参加台数は50台のフルグリッドになるのではと期待されている。
そのインターコンチネンタルGTチャレンジの一戦として、もっとも長い距離を走るレースであり、また“世界3大24時間レース”のひとつにも数えられているのが、スパ24時間レースだ。
このレースに、今年日本からグッドスマイル・レーシングが挑戦。GTでも同チームで走っている谷口信輝、片岡龍也に加え、現在WECにフル参戦している可夢偉がステアリングを握った。
可夢偉にとっては、AFコルセからWECに参戦して以来、ひさびさのGTカーでのレース。予選ではマシントラブルからクラッシュしたものの、決勝レースは最後尾からスタートして着実な追い上げを見せた。
しかし、バスストップシケインで他のクルマに突っ込まれてしまいリタイア。実質、半日ほどのレースとなってしまったが、初のスパ24時間レースに対して、どんな印象を持ったのだろうか?
「実際に出てみて、すごく大変なレースでした。ル・マンとは違って同じカテゴリーのクルマが走っているので、生き残るのがすごく難しい。24時間スプリントをやっているような感じですし、GT3だけだと速度差がなくて、抜く時にリスクが高いですね」
「ジェントルマンはWECでもいるので、その点は同じ。一方、このシリーズにはいいドライバーが揃っていますし、それプラスGTのプロみたいな人がいっぱいいるので、レベルは高いです。あと、他の人はシリーズ戦でやっているので、スパにだけポッと来てもなかなか勝てるレースではないと思いました」
ほろ苦いGT3デビューとなった可夢偉だが、「鈴鹿10時間」に対してはどのような期待を抱いているのだろう。
「ずっと10時間には出たいと言っています。もともと出たい気持ちは強いですね。もちろん、まだそこまで具体的なことは考えていないですけど……。なぜ出たいか? それは賞金がいいから。それが鈴鹿サーキットの推しなんですから(笑)」
「来年、チャンスがあって、ちゃんとした体制で出られるとなればしっかり準備しないといけないと思います。スパもチャンスがあればまた出たいですね」
国内レース界最大級 賞金総額1億円。カンペキなレースなら3,800万円獲得も可能
賞金が準備される大会も珍しくない世界だが、鈴鹿10時間では国内レース界では破格の総額1億円もの賞金が用意される。まず、総合順位に応じた総合賞。これは優勝から50位まで、それぞれのチームに授与され、総額8850万円が準備される。
加えて、特別賞の総額は1150万円。アジア賞はドライバー3名のうち、2名以上がアジア地域の国籍を持つドライバーで構成されたチームが対象で、1位には300万円が授与。1hourトップ賞は、1時間ごとの最初の計測でトップにたっているチームに、10万円ずつ与えられる。その他、パドック内でのファンサービスも審査対象となるベストピットワーク賞など、ユニークな賞も存在する。
仮にアジア賞の対象となるエントラントが総合優勝、そして特別賞を総ナメにすれば、賞金総額は3800万円に。10時間という長丁場とはいえ、1回のレースで3000万円以上を獲得する可能性があるというのは、やはり夢のある話だ。
●総合賞
1位 3,000万円
2位 1,500万円
3位 800万円
4位 400万円
5位 300万円
6位 200万円
7位 165万円
8位 160万円
9位 155万円
10位 150万円
…
50位 10万円
総合賞合計 8,850万円
●特別賞
アジア賞
1位 300万円
2位 150万円
3位 100万円
4位 50万円
5位 30万円
6位 20万円
ベストラップ賞 100万円
ポールポジション賞 100万円
1hourトップ賞 総額100万円
ベストパフォーマンスチーム賞 100万円
ベストピットワーク賞 100万円
特別賞合計 1,150万円
※10万円×10時間
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