“素人”インフルエンサーの参戦に苦言! 元世界王者がボクシング界の風潮に怒りの声「やってることはくだらない」
話題が先行したポールとダニスの一戦。しかし、まさかの反則決着となり、批判の声が殺到している。(C)Getty Images
昨今のボクシング界では、インフルエンサーが“ガチンコ”の戦いをする話題先行型のマッチメイクが顕著になっている。今月14月にも、英国マンチェスターで、お騒がせYouTuberのローガン・ポールとブラジリアン柔術家ディロン・ダニス(ともに米国)と6回戦のエキシビションマッチを実施。SNSを中心に小さくない話題となった。
【動画】30人以上がリングに入り乱れる大乱闘! 波紋を呼んだポールvsダニス戦を見る
ただ、こうしたエキシビションは何かと物議を醸す。なにせほとんどの試合が高額なPPV料やチケット代に見合わないお粗末な内容に終始しているのだ。先述のポールとダニスの試合も、互いに決定打を欠いた最終回に後者がボクシングルールを無視した寝技を繰り出そうとすると、リング上での大乱闘に発展。消化不良の反則負けで決着となった。
もっとも、彼らの本業はインフルエンサーであり、ボクシングにおいてはほとんど素人に近い。ゆえにプロのタイトルマッチに近いハイレベルな戦いを要求するのは酷とも言える。また、彼らの確かな知名度と影響力に投資価値を見出すスポンサーがいるのも事実だ。
しかし、話題作りを重視するあまりに、本来の競技性を無視した試合は危険ではある。ゆえにプロボクシングの酸いも甘いも熟知する識者たちは黙っていない。元WBA・IBF世界スーパーミドル級統一王者のカール・フローチ(英国)は、自身のYouTubeチャンネルにおいて「私にとっては彼らがやっていることはくだらない」とピシャリ。そして、次のように断じた。
「だってそうだろ? 彼らの中にはプロボクサーの資格を持たないやつだっている。ボクシング経験もなければ、リングに上がるのに十分な能力を持っていないやつもいる。ボクシングができないんだから、プロレスか、総合格闘技でもやったほうがいいんじゃないか?」
両陣営が高額のファイトマネーを手にしたポールとダニスの試合についても「技術は最悪だったし、俺はゴングが鳴ってしばらくしてからテレビのスイッチを切った」と批判したフローチは、「あんな最悪最低の試合内容では、そのうち人々は興味を失い、若い人でも見るのをやめるだろうね。もうすでに興行としては限界かもしれない」とキッパリ。あらためてインフルエンサーたちを安易に参戦させる業界の風潮に反発した。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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