TGR WRCチャレンジプログラム2期生、今季最後のラリーは厳しい結果に。完走は大竹のみ
10月28〜29日、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生である大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀の3名は、2022年のプログラムの最終戦としてフランスのターマック(舗装路)ラリー『クリテリウム・デ・セヴェンヌ』に参戦した。結果は大竹がラリー4クラス14位で完走。小暮と山本はリタイアとなった。
ラリーの本場であるヨーロッパで修行中の3名にとって、今回のラリーは欧州ラリー6戦目。ターマックでのイベントは9月に出場したイタリアの『ラリー・サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ』以来、2度目の挑戦となった。
クリテリウム・デ・セヴェンヌは、フランス南部のモンペリエを拠点とするラリーで、セヴェンヌ山脈の山あいのテクニカルで難易度の高いスペシャルステージが戦いの中心に。2日間で合計196.17kmのSS総走行距離は小暮、大竹、山本の3選手にとって、これまででもっとも長い距離となっている。
3名は初日、計26台がエントリーしたラリー4クラスで上々のスタートを切った。小暮/トピ・ルフティネン組がSS1で、山本/ミイカ・テイスコネン組がSS2でトップ10以内に入るなどの活躍を見せたのだ。
しかし、続くSS3で小暮がコースアウト。さらに山本もSS4でコースアウトし、ラリーの序盤で2台がリタイアとなってしまう。残された大竹/マルコ・サルミネン組は、序盤の高速ステージはチームメイトと近いペースで走行していたものの、ラリーが進むにつれ、よりチャレンジングでテクニカルなステージに苦戦を強いられる。
それでも、クラス8番手タイムを出したSS6や、大会最長38.63kmのSS12での好走によってポジションを回復。最終的にクラス14位でラリーを完走してみせた。
「今シーズンの最終戦は非常にチャレンジングでタフなラリーとなった」とチーフインストラクターのミッコ・ヒルボネンは総括した。
「始まりは良かったのだが、序盤のステージはそれほど複雑ではなく、残りのステージとは特徴が異なっていた。今回の大半のステージは、とてもテクニカルでツイスティな山道で、道幅が狭く凹凸あるセクションが多い道だった」
「ドライバーたちには大きなチャレンジとなり、残念ながら小暮と山本はミスをして早々にリタイアとなってしまった。大竹が完走して経験を積めたことはよかった。彼はこのラリーの難しさを感じ取り、完走して走行距離を稼ぐというアプローチをとったんだ」
今戦は3人にとって厳しい結果となったものの、ヒルボネンは1年を通じて全員がうまく適応したと評した。
「最終戦はもっとも難しいラリーとなったが、今年全体としては良い1年になり、3人は多くを学びました。新しいことばかりの中、全員うまく適応した。前回のラリーまではマシントラブルを除いては完走し、良い結果を出すこともできたからね」
「今週の経験で、今後どんどん難しくなるレベルにいるということがわかったはずだ。ラリーはつねに異なる状況、異なる道で戦うスポーツであり、学ぶことはまだたくさんある」
■TGR WRCチャレンジプログラム2期生コメント
●小暮ひかる(ルノー・クリオ・ラリー4/リタイア)
「道幅が広く高速だった最初の2ステージは良いスタートを切れたのですが、SS3でステージの特徴が大きく変わりました。道幅が狭く、凸凹が多く滑りやすい路面になり、ひとつのミスが簡単に大きなクラッシュにつながるような状況で、自分たちもそうなってしまいました」
「レッキではすべての凸凹を見つけることが難しく、自分たちがクラッシュしてしまった場所は、コドライバーと後で確認した時でも見えづらかった箇所でした。ですが、これは自分のミスなので、今後はレッキの時により慎重に見て、ノートを改善する必要があります」
「残念ながら、最終戦を完走で締めくくることはできませんでしたが、今シーズン、プログラムのおかげで運転、ペースノートだけでなく、本当に多くのことを学ぶことができました。今後もより良い結果が出せるようベストを尽くし続けます」
●大竹直生(ルノー・クリオ・ラリー4/ラリー4クラス14位)
「初めて経験することが多く、とても難しいラリーでした。路面にたくさんの砂利や石が出ていて簡単ではありませんでしたが、多くの経験を積むことができてうれしく思っています」
「最初はプッシュしようとしたのですが、慎重に行き過ぎてしまい良いタイムが出せませんでした。ですが、まずは経験を積むことが一番大切だと思っていたので完走を目指しました。38kmのステージはこれまでの自分の経験で一番長い距離でしたが、そこは問題なく対応できました」
「今シーズン、プログラムのおかげで本当に多くの新しい経験をさせていただきました。もちろんまだまだ改善しなければなりませんが、マルコとのコンビネーションもうまくいっていますし、今後に向けてプッシュし続けます」
●山本雄紀(ルノー・クリオ・ラリー4/リタイア)
「SS1とSS2は道幅が広く高速で、特にSS2では良いリズムで走ることができてタイムも悪くありませんでした。ですがSS3は道幅が狭く、ツイスティで凹凸が多く、これまで経験した中で一番難しいステージでした」
「レッキでチェックしていなかった凹凸がクルマに影響を及ぼしていることに驚き、自分のノートを信用することができなくなりました。SS4はクラッシュするまではうまくいっていました。クラッシュした時は同じコーナーで多くのことが起き、ペースノートが十分ではありませんでした。ですが、より強くなるために、この経験から何を学ぶべきかは理解しています」
「プログラムのおかげで特別な1年となり、多くの経験をさせていただく素晴らしい機会をいただきました。私たちをサポートしてくれている皆さんに感謝しています」
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