ホンダ田辺TDインタビュー:共通パーツで莫大な開発費が減少へ。2021年新規約はパワーユニットのコスト削減に効果あり?
2021年の新レギュレーションが10月31日に発表。シーズン最大開催数が25戦に拡大されスタッフの負担が予想される。今後の状況を見据えたホンダの対応、そして2021年からはパワーユニット(PU/エンジン)の規則について田辺豊治テクニカルディレクターに聞いた。
—————————————-
──2021年の新レギュレーションでは、最大年間25戦開催、その代わりに1GP4日間だったのが3日間に短縮されます。ホンダとしてはそれらの対応は、すでに決まっていますか?
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):これからの検討課題ですが、チームがどう戦うかとも絡んでくる。なのでチーム側の運営方法と、スリ合わせる必要がありますね。
単純に人員を増やすとか、どうするかはまだ未定です。サーキットを出る時間も今までよりずっと早くなるとか、他にもいろいろ変更点がありますし。
最大25レースとなると、やはり増員方向かもしれません。ただ絶対数を増やすというより、スキルのある人を充実させて、交代制にするというイメージでしょうね。
25戦全部行くのは、心身ともにキツイですからね。キーになる人材は仕方がないですが、あとは交替しながらやり繰りして行く。人数を増やすというより、層を厚くする必要があるでしょう。
──レース数が増えることによって、パワーユニットの年間基数制限も変わりますか?
田辺TD:2020年は22レースですよね。それに関しては、今年と変わらずで年間3基です。2021年以降、23とか24、25レースになった場合も、すでに合意はできています。
──パワーユニットは、現行より5kg重くなり、さまざまな共通パーツを使うとのことです。それに対してホンダの評価は?
田辺TD:これもメーカー4社とFIAが協議を続けてきた中で、全員が合意して決まったことです。
──それによって、本当にメーカー側のコストは減るんでしょうか。
田辺TD:いろんな議論があります。メーカーによって、スタンスも違う。ただコスト削減の方向にあることは確かです。例えていうなら今まで200円かかっていたのが、半額の100円にはならないにしても、198円とかにはなるでしょう。
──莫大な削減ではないのでは?
田辺TD:莫大には下がらないですが、今後は莫大な開発を継続しないで済む。材料費も含めてですね。そういう考えです。
──現行規約が概ねそのまま続くことが、一番のコスト削減になっているのではないですか?
田辺TD:それは、やりよう次第ですね。規約が変わらないから、何も開発しないとは限らない。その中で大きなステップアップしようと思ったら、当然お金はかかりますから。
──ダイナモの制限もあります。これもコスト削減に効果的ですか?
田辺TD:テスト時間の削減で、使用台数も減る。するとコスト削減には、直結しますね。燃料費や人件費、電気代も減ります。
──たとえていうと、200円がどれくらいに?
田辺TD:170円くらいでしょうか。
■無制限の開発に歯止めを狙う2021年の新規約
──それは、けっこう大きいですね。
田辺TD:さきほどの1円、2円に比べれば、確かにそうです。無制限の開発に歯止めを掛けるという、象徴的な意味合いのある規制だと思います。
ただ単気筒の開発は制限されてませんし、CFD(数値流体力学解析)などのシミュレーション系も制限はない。ですがホンダとしては今後、テスト効率をさらに上げて行くとか、賢いやり方を進めて行くつもりです。開発スタイルを変えるということですね。
昔のように、とりあえず作って、とにかく回すというところからは、すでにかなり変わってきている。その流れを、さらに加速させるということですね。
机上できちんと評価して、モノを厳選して、単気筒テストを効率良く、賢く行って、V6で最終確認というようなやり方にしていく。ベンチでの確認手法にしても、今以上に精度を上げる必要はありますね。
──これまで行われてきた年間基数制限は、実際のところどれほど効果があったんでしょう?
田辺TD:どうでしょうね。というのもわれわれが参入した時には、すでに基数制限が導入されてましたから。徐々に絞られて行った時期を知っていたら、もう少ししっかりお話しできたと思うんですが。
パワーユニットは長く使おうとすると、どうしてもお金がかかる部分がある。たとえば同じ重さのパーツで、同じ機能で、なおかつ長持ちさせようとしたら、より高価な材料を使うしかない。
その損益分岐点というか、クロスオーバーをどこでさせるかの見極めも難しい。パーツによっても違いますけど、年間3基と言われてたのを2基にすることになった。そのために材料を替えたら、テストも重ねないと行けなかったりして、結果的に高く付きかねない。2基の方が、よほどお金がかかるということになりかねない。基数制限を厳しくすればいい、というものではないと思いますね。
「ホンダ」をもっと詳しく
「ホンダ」のニュース
-
ホンダ、原付二種レジャーバイク『ダックス125』に新色“ブラック”を追加。2024年8月22日から発売5月23日14時5分
-
テリー伊藤、55年前のホンダ『モンキー』レストアの“職人技”公開「ぴかぴか すごい」5月23日12時3分
-
テリー伊藤、55年前のホンダ『モンキー』レストア状況を報告「格好良くなりそう」「アメフェス楽しみ」5月22日11時46分
-
長城汽車が二輪車事業に進出、ホンダなどの海外メーカーが大型二輪事業を強化へ—中国5月20日9時30分
-
“ルーキーに敗れた”ホンダ勢の状況「不思議なことに、弱点は同じなんです」と野尻智紀/SF第2戦予選5月19日7時10分
-
ロンブー亮、41年前のホンダの名車“ブルドッグ”にときめき 4万キロの極上車体に「すげぇいいな、ホンダが続くのか?」5月18日14時45分
-
ロンブー亮、34年前のホンダの名車“リトラのデートカー”を視察 『インテグラ』乗り換えを示唆5月18日14時25分
-
ホンダが新型軽商用EV「N-VAN e:」の予約開始へ! 自宅の充電環境整備をサポートするサービス開始5月17日18時1分
-
ホンダが新型「フリード」を公開! 2つのタイプを用意、何が違う?5月17日17時42分
-
2030年に小型セダン発売? ホンダがEV戦略を発表、投資額は10兆円!5月17日7時30分
スポーツニュースランキング
-
1球宴3度出場の元MLB戦士が大谷翔平に“疑念” 水原容疑者の違法賭博騒動にまさかの意見「突然、物語が変わった」 ココカラネクスト
-
2大谷翔平が“史上5人目の快挙”へ! 第1打席に左前打で4試合連続安打 打率「.350」維持なら歴史的記録を達成 ココカラネクスト
-
3批判殺到!どこ投げてんだよ…! 大谷翔平、まさかの盗塁で“異変”が起きた…!? 相手捕手のリアクションがヤバすぎる 「古田さんも思わず苦笑」「さすがに無謀w」 ABEMA TIMES
-
4大谷翔平、最速169キロ右腕攻略で7戦ぶり14号&米通算100盗塁なるか 「2番・DH」でスタメン スポーツ報知
-
5 【訃報】グレイソン・マレーが突然の死去 米ツアー2日目に棄権した翌朝に…原因は未発表 ALBA Net