2022年に導入したばかりの共通ハイブリッド機構を破棄、来季より100%持続可能燃料を採用へ/BTCC
世界最古のツーリングカー・シリーズとして名を馳せるBTCCイギリス・ツーリングカー選手権の運営団体であるTOCAは、今季最終戦を経た10月31日に重要な変更をアナウンス。2025年より100%持続可能な燃料を導入し、これに伴い2022年に肝入りで搭載した共通ハイブリッド機構の廃止を決断した。
まさに急転直下の英断を下したTOCAだが、これによりBTCCはイギリスで初めて持続可能な合成燃料を全面的に採用する選手権となり、すべての車両がハルターマン・カーレス社が供給する新燃料の『ハイパーフローECO102 R100』で走行。この燃料は「パフォーマンス、互換性、持続可能性を最大限に高めるために特別に設計、配合されている」という。
これで日本のトップカテゴリーたるスーパーGTと同じ方向性を採用することとなったBTCCだが、実は2024年シーズン中には新燃料に対するトライアルが実施されており、最終戦手前の第9戦シルバーストンよりダリル・デレオン(ダッカムス・レーシング・ウィズ・バーターカード/クプラ・レオンBTCC)をサンプルカーに指定し、続くブランズハッチまで2戦分のレースウイークをまたぎデータの収集を進めてきたという。
結果、燃料供給を担うハルターマン・カーレス、TOCA共通エンジン・サプライヤーのMスポーツ、そして高性能安全燃料システムのサプライヤーであるエアロテック・ラボラトリーズ/ATL)の全面的なサポートにより、100%持続可能な燃料に完全移行する判断が下された。
「ハルターマン・カーレスを筆頭に当社のチームと緊密に協力し、100%持続可能な燃料に関して大きな進歩を遂げることができてうれしく思っている」と、シルバーストンの時点で手応えを語っていたBTCC最高経営責任者こと、TOCA代表のアラン・ゴウ。
「第9戦の結果は、このプロジェクトにおける重要な節目となった。これはBTCCにとって重要かつ不可欠なステップだ。当社は引き続き、チャンピオンシップの代名詞である競争力と興奮を、より持続可能な方法で維持することを目指していく。開発作業はここで終わるわけではなく、今後も持続可能な燃料の効率と性能をさらに向上させるべく積極的に取り組んでいく」
同じく、燃料供給を担うパフォーマンス・フューエルズ・セールスUKの責任者、エイドリアン・スチュアートは「近年、モータースポーツの焦点は持続可能な燃料へと移っており、当社は過去30年間のBTCCでの成功の原動力となったのと同じ熱意でこの課題に取り組んできた」と続けた。
「シルバーストンでは、チャンピオンシップの週末に完全に持続可能な燃料を披露することができた。これは重要な進展であり、当社のモータースポーツブランドである『カーレス・レーシング・フューエル』と『ETSレーシング・フューエル』を通じ、低炭素ソリューションを推進するという当社の取り組みを強化するものでもある。燃料配合の革新と改良を続けていくなかで、さらなるブレイクスルーが間近に迫っているよ」
■パワーブーストは引き続き使用可能
こうした経緯により、鳴り物入りで導入された共通ハイブリッド機構のプログラムは正式に終了となり、車両は2024年と同等の出力を得るべく以前と同じパワーブーストの展開フォーマットやテーブルを維持し、追加のパワーサージはターボブーストのみで行われる。この結果、車両は約55kg軽量化され、より機敏な挙動を手にいれることになる。
このブースト展開の通知はタイミングモニターから削除されるものの、作動に関する情報は、各車両のサイドウインドウのLEDライトと(国内放映権を持つ)ITVのライブグラフィックを通じてファンに提供されるという。
「2025年に化石燃料フリーの100%持続可能な燃料を導入することは、BTCCがモータースポーツの革新に引き続き取り組んでいることを示すものだ」と続けたゴウ。
「ハイブリッド時代はBTCCにとって素晴らしい時代だった。6年前に初めてハイブリッド機構を発表したとき、モータースポーツではまだ比較的初期段階の技術でもあった。我々はそのプログラムを無事に完了し、その点ではもう証明する必要は何もない。まだ他のメーカーやカテゴリーは追いついていない領域だからね」
「しかし、その目標を達成したことで持続可能な燃料の導入を進めることができる。非常に重要なことだが、今季のBTCCを非常に思い出深いものにしたのと同じパフォーマンスを維持し、さらに強化することになるだろう」
「我々、BTCCはただじっとしているわけではないんだ。今日の発表が明確に示しているように、我々は進化し、前進していくつもりだ」
そのTOCAが承認した2025年シーズンのさらなるルール変更は、今後数日中に発表される予定となっている。
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