レッドブル・ホンダ密着:フェルスタッペンがPPを獲得できた4つの要因/F1ブラジルGP予選
「これは僕にとって、3回目のポールポジション(PP)だ。だれがなんと言おうとね」
そう言って、マックス・フェルスタッペンは、F1第20戦ブラジルGPでのポールポジション獲得を喜んだ。フェルスタッペンのPPは公式には、今回が2回目。それは2戦前の第18戦メキシコGPで黄旗無視で3番手降格のペナルティを受け、予選最速タイムをマークしながら、PPを逃していたからである。
その思いは、フェルスタッペンだけではなかった。予選後、レッドブルのガレージ裏で喜ぶスタッフは皆、「2回じゃない。これは今シーズン3回目のPPだ」と豪語していた。
今回の予選で、特筆すべきは、フェルスタッペンが駆るレッドブル・ホンダはQ1からQ3まですべてのピリオドでトップタイムをマークする完璧な走りでポールポジションを獲得したことだ。
メキシコGPではQ1とQ3はトップタイムだったが、Q2は4番手だった。ただ、メキシコGPのQ2は上位勢がソフトではなく、ミディアムでアタックしていたので、ソフトだったら、どうなっていたかはわからない。
いずれにしても、ブラジルGPではQ1からQ3までソフトタイヤでのアタック合戦が繰り広げられた中で(エンジン交換で10番手降格のグリッドペナルティが確定していたシャルル・ルクレールだけ、Q2でミディアムを装着)、フェルスタッペンがQ1からQ3まですべてトップタイムをマークしたのは、事実だ。
今回、レッドブル・ホンダがPPを獲得した要因は、主に4つ挙げられる。ひとつは、セットアップも決まっていたことだ。
「金曜日からクルマは速かったけど、金曜日の夜にさらに改善し、土曜日のフリー走行3回目の後にも最終仕上げをしたんだ。そうしたら、予選でより反応が良くなって、クルマはQ1の1回目アタックから飛ぶように速かった」(フェルスタッペン)
もうひとつは、レッドブルの車体がインテルラゴス・サーキットと相性が良かったこと。レッドブルの車体が持つは最近の2戦、メキシコGPでも、アメリカGPでも予選ではテクニカルセクションのセクター3で最速だった。これは低速コーナーで速いことを示す。それがインテルラゴスではセクター2となっていた。
「セクター2でパープル(全体で最速タイム)を出して、ここだけで0.3秒の差をつけたことが大きかった」(フェルスタッペン)
しかし、インテルラゴスには長いストレートがあるセクター1と3がある。そこでレッドブル・ホンダが最速ではなかったものの、ライバルに差をつけられなかったこともPP獲得につながった。そのセクター1と3での走りを支えたのが、ホンダ・パワーだ。
「ここはパワーセンシティブなサーキットだが、海抜が高い。しっかりとした仕事をしてくれたホンダに感謝したい」と、クリスチャン・ホーナー代表はホンダを高く評価していた。
そして、最後の4つめの要因は、フェルスタッペンのドライビングだ。Q3の1回目から2回目にかけて、トップ3チームの6人のドライバーの中で、自己ベストを更新したのは、実はふたりしかいない。フェルスタッペンとルイス・ハミルトン(メルセデス)だ。フェルスタッペンによれば、「Q3になって温度が上がり、ややトリッキーな路面コンディションになった」という。
そこでフェルスタッペンは、最後のアタックで「走行ラインを少し変えた」という。路面コンディションのわずかな違いを正確に読み取り、それに迅速に対応したフェルスタッペンのドライビングは、予選2番手で6冠王者のハミルトンも、予選3番手で4冠王者のセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)も寄せ付けない速さだった。
「この結果はレッドブル・ホンダに関わるすべてスタッフの素晴らしい努力の賜物だ」
この日、46歳の誕生日を迎えたばかりのホーナー代表は、そう言って、PPという最高の誕生日プレゼントを喜んでいた。
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