北米の巨人が2024年にGT3で直接対決!? コルベットに続きフォードも『マスタングGT3』開発か
11月11日付で発表されたゼネラルモータース(GM)による新プログラムを受け、晴れてミッドシップ版コルベットZ06ベースの新型GT3カー『シボレー・コルベットZ06 GT3.R』の存在が公にされたばかりだが、2024年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権では、北米の巨人同士による因縁の対決が実現しそうだ。
GM同様、アメリカはミシガン州に拠点を置くフォードでは、コルベットの対抗馬として新型『マスタングGT3』の開発計画が進行中だと噂されており、ブルーオーバルは“グローバルなGT3クラスの精神の範囲内で活動することを重視”し、フォード・パフォーマンスを通じて開発したマシンを「カスタマープログラムに焦点を絞って供給、販売する」ことを目指しているという。
ロード・アトランタで開催された北米耐久シーンの2021年シーズン最終戦『プチ・ル・マン』に併せてアナウンスされたコルベット・レーシングの計画では、WEC世界耐久選手権でのLM-GTEプロクラスのファクトリー活動に加え、GT3に移行するIMSAのGTデイトナ・プロ(GTDプロ)クラス向けに“段階的GT3化”を経て、2024年にはカスタマーチームに向けたGT3規定車両の本格供給に取り組む道筋が明かされた。
シボレーのモータースポーツ・コンペティション・エンジニアリング・ディレクターを務めるマーク・スティーローは、その発表に際し「コルベットにとってエキサイティングな時期だ。最初にプロダクション版の『Z06』が公開され、今度はカスタマーレーシングのための『コルベットZ06 GT3.R』が公表された。これにより、希望するカスタマーはコルベット・レーシングの豊かな歴史から恩恵を受けた正統後継車を、チャンピオンシップで使用する機会が得られるだろう」と語っている。
一方のフォードは、かつて『フォードGT』などでGT3車両製作の協力をした経験はあるものの、実態は各地域のコンストラクターによる散発的な活動をサポートしたものに留まってきた。
■「『マスタング』を使ってグローバルでレースを戦いたい」とフォード・パフォーマンスのディレクター
それが一転、本家フォード・パフォーマンスがGT3開発に乗り出し、そのベースモデルが『マスタング』になるとすれば、北米に限らず世界のモータースポーツ・シーンの活性化に一役買うことになる。
「いまやGT3のレベルは世界的な車両カテゴリーとして認識されており、我々もスポーツカー・アイコンである『マスタング』を使ってグローバルでレースを戦いたいし、それは間違いなく興味深いことだ」と語るのは、フォード・パフォーマンスのディレクターを務めるマーク・ラッシュブルック。
「もちろん、量産車の『マスタング』は北米だけでなく世界中で販売している。我々はそれをレースに投入することに興味があり、より多くのシリーズで戦える機会を模索している。つまり私が言いたいのは、GT3は『マスタング』がレースをするための非常に論理的な規定であり、我々が検討するための……そしてIMSAが提供する非常に論理的な場所である、ということだ。確かに現時点でも(GT3ベースの)GTD(クラス)でレースができれば、それは素晴らしいことだろうからね」
ロードカー部門では「電動化、待ったなし」の状況を踏まえて、SUVボディを持つ新型EVに『マスタング・マッハE』の呼称を与えて物議を醸したフォードだが、モータースポーツ部門ではドラッグレース界の最高峰NHRA(National Hot Rod Association/全米ホットロッド協会)に向け、最大1502PSの出力を誇る『マスタング・コブラ・ジェット 1400プロトタイプ』を製作。さらに新車両規定が導入されるNASCARのカップ・シリーズに向けては“Gen7”と呼ばれる『Next-Genマスタング』を完成させている。
また、南半球のオーストラリア大陸では2023年よりRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップに導入される“Gen3”規定向けに『フォード・マスタング・スーパーカー』を開発中で、同シーズンからは現地で消滅したホールデン・ブランドに代わり、GMが『シボレー・カマロZL1』の投入も決めており、こちらでもGT3より一足早い“ポニーカー対決”に注目が集まっている。
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