ついに『真のGT3』へ昇華するシボレー・コルベット、デビューを目前に開発加速「一番の違いは“配慮”」

2023年12月20日(水)7時2分 AUTOSPORT web

 2024年1月に開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦のデイトナ24時間レースでは、シボレー・コルベットZ06 GT3.Rがレースデビューを迎える。


 シリーズのGT3への移行に伴い、2022年からの2シーズン、シボレーはGTLM仕様のC8.Rを“デチューン”した『コルベットC8.R GTD』でIMSAを戦ってきたが、2024年からは純粋なGT3車両である『コルベットZ06 GT3.R』を投入するのだ。


 コルベット・レーシング・バイ・プラット・ミラー・モータースポーツからIMSAのフルタイムドライバーに復帰することになるファクトリードライバーのトミー・ミルナーによれば、マシンのデビューに向けた準備は「加速している」という。


■「ここ数年、レクサス陣営はとても速い」


 このファクトリー・サポートチームは12月上旬にフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたIMSAの公式テストに2台のマシンで参加した。ここでは2024年にGTDプロクラスへと参戦する際の完全なレース・リバリーをまとい、新規ドライバーと復帰するドライバーをラインアップに加えて走行した。


 ミルナーは2021年以来となるウェザーテック選手権へのフル参戦を、ニッキー・キャツバーグとのコンビで果たすことになる。彼らは4号車をドライブする。また、アントニオ・ガルシアとアレクサンダー・シムズが、3号車のフルシーズン・ドライバーとなる。


 ミルナー/キャツバーグ組には、キャデラックのファクトリードライバーからレンタルされるアール・バンバーが3つの長距離レースで加わり、元メルセデスAMGファクトリーのエース、ダニエル・ジュンカデラがデイトナ24時間、セブリング12時間で姉妹車のラインアップを完成させる。


「まだテストといった感じだが、確実に調子は上がっている」とミルナーはデイトナでのテストで語った。


「クルマのカラーリングが決まり、クルー全員が新しいユニフォームを着ている。新しいシーズンがすぐにやってくるような気がするね」


 バージニア州出身の37歳は、この新型GT3車両で「これまでのところ」もっとも多くの走行距離を積み重ねてきていると語っている。彼はこのクルマの長期にわたる開発期間を通じて、テストドライバーを務めてきた。


「僕にとって、このクルマはある意味ですでに古いように感じる。(テストには)1年以上かかったからね」とミルナー。


「それだけでなく、その前にさらに1年以上、このクルマを繰り返しシミュレーターでドライブしたりもした」


「ついにレースができる。グリッドにマシンを並べ、最初のレースラップを刻めたら、さぞかし興奮するだろう。最高だろうね」


 以前のGTLMはファクトリープログラムだったが、コルベットZ06 GT3.Rはカスタマーを通じて世界中に展開される。その一環としてWEC世界耐久選手権ではTFスポーツがLMGT3クラスに2台を投入することになっているが、このカスタマーの存在がマシンの開発手法に変化をもたらした、とミルナーは述べている。


「この6か月間は、僕らがこれまでに開発したさまざまな新世代コルベットの中で、もっとも大きな変化となった。なぜなら、そこにはカスタマーへの配慮があったからだ」


「カスタマーチームに、いくつかのテストに来てもらった。そこで何人かにクルマをドライブしてもらうことが、開発に役立ったんだ」


「その部分が、これまでとの一番の違いだった。それ以外は、前の世代のクルマで感じたのと同じように、至って普通に感じられているよ」

2023年12月、IMSA公式テストでデイトナ・インターナショナル・スピードウェイを走行するシボレー・コルベットZ06 GT3.R


 コルベットがウェザーテック選手権において2台体制のフルシーズンプログラムに復帰したこともあり、ミルナーはGTDプロクラスにおける今後の戦いに興奮していると語った。GTDプロでは、フォードもマルチマチック・モータースポーツが運営する新型マスタングGT3で復帰する予定だ。


「このコルベットはGT3カーであり、それが(以前との)最大の違いであることは明らかだけど、それでもいくつかのビッグチームやビッグネームがいるGTLMクラス時代に慣れ親しんだもののように感じるんだ」と彼は語った。


「競争のレベルは、再び上昇し続けている。その面では、このクラスが将来どのようなものになるのかとても楽しみだ。(以前にGTLMにエントリーしていた)フォードの旧友たちとレースするのも楽しいだろう」


「ここ数年見てきたように、レクサス陣営はとても速い。フェラーリには素晴らしい新車がある。良いクルマ、良い選手、良いチームがたくさんあるから、相手に不足はないよ」


「それは通常、良いショーになることを意味する。とても楽しみだ」


 プラット・ミラーが運営するチームはファクトリー・サポートチームへと移行するが、実際のところ最大の変化はドライバーラインアップにもたらされたとミルナーは語った。


「過去5年間で、スタッフはかなり変わった。だけど昨年から今年にかけては、チーム状況は非常に似ているものになっている」と彼は説明した。


「現実的に見て、最大の違いはドライバーだ。これはコルベットにとっては普通のことではない」


「でも、ニッキーとフル参戦できることは楽しい。彼はここ数年、IMSAに参戦してきたからね。ダニ(ジュンカデラ)がいるのも楽しい。アールはこのクルマの経験は少ししかないけど、これまでのところ素晴らしいチームメイトだ」

2024年、IMSAのGTDプロクラスでシボレー・コルベットZ06 GT3.Rをドライブするトミー・ミルナー

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