トヨタの悲願達成した8号車TS050、ル・マン戦った汚れもそのままに富士で凱旋ラン/TGRF2018

AUTOSPORT web2018年11月25日(日)17時41分

 11月25日に富士スピードウェイで開催された『TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018』で、6月に行われた第86回ル・マン24時間耐久レースでトヨタ悲願のル・マン総合優勝を達成した8号車トヨタTS050ハイブリッドが凱旋走行を果たした。


 セバスチャン・ブエミ中嶋一貴フェルナンド・アロンソがドライブした8号車は、トヨタにとって通算20回目のル・マン挑戦で悲願の初優勝を達成。日本メーカーとして1991年のマツダ以来、日本車に日本人ドライバーが乗り込んで史上初の優勝を成し遂げた。


 そんな8号車TS050ハイブリッドがTGRF2018に登場。多くのファンが見守る前でその勇姿を披露した。


 なお、同じゼッケン8番のTS050ハイブリッドは10月に富士で行われた2018/19年のWEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”第4戦でも走行しているが、その際のマシンと、今回持ち込まれたマシンは別のもの。


 今回走行した8号車はル・マン終了後に保存された機体で、24時間レースでついた汚れなども、そのままの状態で、ル・マンの激闘ぶりを感じさせながら富士スピードウェイを走行した。


 走行を終えた8号車は、同じくTOYOTA GAZOO Racingから世界選手権であるWRCに参戦しているトヨタ・ヤリスWRCと並んでホームストレート上に停車し、イベントに集まったファンとともに記念撮影に臨んだ。


 ル・マンでトップチェッカーを受けた一貴は「長い間お待たせしてしまいましたけど、優勝という結果をみなさんに届けることができました。ただ、これで終わりではありません。まだまだチャレンジを続けていきますし、レースを通じてもっといいクルマづくりに貢献していきたいと思います」とコメント。


 チームメイトの小林可夢偉は「本当にたくさんのみなさんがル・マンに応援へ訪れてくれましたし、テレビを通じてたくさんのひとがル・マンを見てくれていました」とル・マン24時間をふり返った。


「そのなかで僕たちが成績を残せたことを感謝していますし、チームの全員も優勝を待ち望んでいました。それに貢献したドライバーのひとりとして、ここにいられることを誇りに思います」


■「TS050で培ったものがダイレクトに市販車へ」。2020年WECにはGRスーパースポーツ・コンセプト投入


富士スピードウェイを走ったル・マン24時間ウイニングカーの8号車トヨタTS050ハイブリッド

富士スピードウェイを走ったル・マン24時間ウイニングカーの8号車トヨタTS050ハイブリッド

TOYOTA GAZOO Racingから世界選手権に参戦しているTS050ハイブリッドとヤリスWRC

マシンには激闘を思い出させるように、ル・マン24時間での汚れがついたまま

 記念撮影に参加したGAZOO Racingの友山茂樹プレジデントは、ル・マンでの勝利をGRブランドにつなげたいと語ったほか、2020年からWECに導入される“ハイパーカー”に、1月に東京オートサロンで発表したコンセプトカー『GRスーパースポーツ・コンセプト』を導入する意向を示した。


「2020年、WECはレギュレーションが変わり、“ハイパーカー”というもの(クラス)が誕生します。これは市販スーパーカーのシルエットを使って戦うものになりますが、ここに今年(2018年)オートサロンで発表したGRスーパースポーツを出していきたいと思っています」


「今後、TS050で培ったものがダイレクトに市販車に出てくると思います」


 最後にトヨタ自動車の豊田章男社長は「3年前から、このチームはいろいろな苦労をして、改善もしてきました。ハイブリッドカーの“3つの力”を使って、ル・マンで優勝したんだと思います」とチームの戦いを総括した。


「ひとつはエンジン、ひとつはモーター、もうひとつはここにいるファンのみなさんをはじめ、(ル・マン初挑戦から)33年間、待ち続け応援し続けてくれた皆さんの力だと思っています。本当にありがとうございました!」


 記念撮影にはル・マン24時間の優勝トロフィーも持ち込まれ、その大きさにWRCを戦うオット・タナクやマルティン・ヤルヴェオヤも驚いた表情を見せたほか、記念撮影終了後にはトヨタの悲願を成し遂げたマシンをひと目見ようと、多くのファンがマシンを囲んでいた。


富士スピードウェイに持ち込まれた優勝トロフィー

ル・マン優勝トロフィーの大きさ、重さにWRCドライバーも驚いた様子

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