【F1アブダビGP予選の要点】角田の自己最高グリッド獲得は弾みになるか。選手権7位を争うライバルを予選で上回る
F1第23戦アブダビGPの予選は、超僅差の予選セッションだった。Q1がその典型で、トップタイムのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)から19番手の周冠宇(アルファロメオ)までが0.999秒以内にひしめき、15番手でなんとかQ2に進んだピエール・ガスリー(アルピーヌ)ですら、フェルスタッペンから0.4秒しか離れていなかった。
その結果、カルロス・サインツ(フェラーリ)は16番手で、今季初のQ1敗退。そしてQ2ではルイス・ハミルトン(メルセデス)が、10番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)から100分の8秒落ちでトップ10入りならず。ここまで速さを見せていたウイリアムズのアレクサンダー・アルボンも、早めに2セット目のアタックに出て行った作戦が裏目に出て、14番手に終わった。
そんななか、素晴らしい速さを見せたのが角田裕毅(アルファタウリ)だった。Q1はレッドブル2台に次ぐ3番手。Q2では8番手まで順位を落としたものの、日本GP以来今季4度目となるQ3進出を果たした。そして最後のQ3でも上位チーム相手に一歩も引かず、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、ガスリーらを凌いで暫定6番グリッドを獲得した。
アルファタウリはこの最終戦に、フロア周りのアップデートを導入した。角田、そしてチームメイトのダニエル・リカルドもフリー走行後に、「その効果を実感できた」とコメント。予選3セッション、計6回のアタックで、角田は終始安定した走りでタイムを縮め続け、コースからはみ出すことも一度もなかった。アップデートの手応えを、しっかり結果に結実させた形だ。一方のリカルドは角田とのコンマ2秒前後の差を最後まで詰められず、予選15番手に終わった。
角田は今回、フランツ・トスト代表との2ショットを描いたスペシャルヘルメットを被っている。苦しい時期も角田を励まし続けたトスト代表は、恩師とも言うべき存在だ。そのトストの代表としての最後のレース。角田の使命は、ウイリアムズからコンストラクターズ選手権7位の座を奪うことだ。
アルボンが13番手、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)が20番手に終わったのは有利な点だ。しかしリカルドも15番手からのスタート。実質的に角田ひとりが逆転の重責を担うことになりそうだ。
アブダビはF1デビュー年の2021年に、4位入賞を遂げた得意なコースだ。確かにアルファタウリの戦闘力は、当時より劣る。ウイリアムズとの差は、7ポイント。ウイリアムズのふたりがノーポイントに終わったとしても、リカルドとのダブル入賞が望めない場合、角田は6位に入る必要がある。
しかしシーズン終盤に来て一気に速さを増した今のアルファタウリと角田なら、決して手の届かない成績ではないと思う。
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