アロンソ、F1アブダビGPでのハミルトンに対する“ブレーキテスト”を否定。減速は「DRSを得るため」の策略と説明
フェルナンド・アロンソは、2023年F1第23戦アブダビGPを7位でフィニッシュして力強い一年の終わりを迎えた。この活躍もあり、アストンマーティンF1移籍初年度のドライバーズランキング4位獲得を祝うことができた。
「少し予想外という気分だ。今シーズンをランキング4位でフィニッシュできるという賭けはしなかっただろうね」と、アロンソはヤス・マリーナ・サーキットのパドックで認めた。
「フェラーリ勢とランド・ノリス(マクラーレン)を上回ってフィニッシュできたのはまるで贈り物のようだね!」
「週末より前に、ドライバーズ選手権を4位で終えるだろうと言われていたら、きっと信じなかっただろう」とアロンソは続けた。「シーズンを通しての自分の走りには本当に満足している」
「2012年と合わせて、今年はこれまでのベストシーズンだと考えている。そして、確実に2005年と2006年よりも良かったよ!」と、2年連続でワールドチャンピオンに輝いたシーズンについても言及したアロンソ。
続けて「シーズン全体を通してマシンから最大のパフォーマンスを引き出すことができた」とアロンソは語り、チーム全体の努力に感謝した。
「今年は、僕たちができ得るすべての予想をはるかに上回っていたし、自分たちが達成したことをチームの全員が誇りに思うべきだね」
アロンソはシャルル・ルクレール(フェラーリ)と同ポイントとなる206ポイントで2023年を終えた。だが、今季最初の8戦で6度の表彰台獲得を含めた最終のドライバーズランキングでは、ルクレールよりも上の4位となった。
しかし、今シーズン新たにアロンソが成功を収めたことで、古い確執の一部も再燃している。マクラーレン時代の元チームメイトであるルイス・ハミルトンは、アブダビGPの決勝レース中に、アロンソが”ブレーキテストをした”と非難した。
ハミルトンが2回目のピットストップからコースに戻ったとき、アロンソは左コーナーのターン5に入る際にコースの右側に移動してスロットルを離し、ハミルトンは不意をつかれた。
ハミルトンはすぐに無線で「アロンソにブレーキテストされた!」と主張した。この件についてレーススチュワードは、アロンソが『不安定なドライビングをした』という疑いで調査を行ったが、ペナルティを科さないことを決定している。
アロンソはレース後、この動きはブレーキテストではなかったと説明した。アロンソは減速してハミルトンを先に行かせ、ターン6に向かう長いストレートでDRSを得ようとしていたという。
「2012年(実際は2013年)のカナダGPでも同じことをしていた」とアロンソは続けた。
「あの出来事から11年(実際は10年)後、僕はターン5のブレーキングでライバルにDRSを与えようとした。でも、どちらのケースでも僕の方が勝ったから問題はない」
対するハミルトンは、その周回でDRSを使用してアロンソを追い抜こうとしたが、アロンソが最終的にポジションを取り戻し、フィニッシュまでに角田裕毅(アルファタウリ)を抜いて7位でチェッカーを受けた。一方のハミルトンは角田を追い抜くことができなかった。
「ルイスは明らかにとてもクレバーだし、このスポーツをよく理解していて、経験も豊富だ」と語るアロンソ。そして「でも僕の方がさらに上だよ!」と続け、ハミルトンが行った“ブレーキテスト”無線アピールに取り合わなかった。
アロンソは、アストンマーティンF1の2023年型AMR23が「ストレートで少し遅く、オーバーテイクするにはさらに速いペースが必要だった」ため、ハミルトンに対するDRSの策略が必要だったと付け加えた。また、それは「シーズンを通してチームの弱点だった」と述べた。
また、タイヤの摩耗が予想より大きかったことも要素だったとアロンソ。「12周目に最初のピットストップを行ったけど、その時点からレースは長いものになると分かっていた」
「予選のラップはポジションを考えると非常に良かったけど、レースペースには懸念があった。それが今日僕たちが目にしたことだ」とアロンソは指摘。「最後には7位か8位にしかなれないペースになり、アルファタウリを抜けるだけだった。でも、それだけでは十分ではないね」
アストンマーティンF1が2023年シーズン前半にみせた好スタートは夏の間に勢いが衰え、シーズン後半のコンストラクターズランキング争いでマクラーレンに後れを取った。このことから、チームは冬の間にパフォーマンスを取り戻せるのかという疑問が生じる。
2024年も契約が残っているアロンソは、シーズンオフにチームがパフォーマンスを取り戻すための重要な役割を果たすことになる。だが、その後のことは何も決まっていないという。42歳のアロンソは、現在のF1グリッドで最年長ドライバーとなっているが、前に進むことを急いでいないことは明らかだ。
「パフォーマンスレベルと一貫性という点で、このチームとマシンにつながりを持てたことをとてもうれしく思っているし、来シーズンに向けてとても興奮している」と語るアロンソ。
「アストンマーティンのチーム全体が信じられないくらい熱心に仕事をしてきた。僕はシーズンオフに入って来季に向けた作業を始めることを楽しみにしているよ」
「僕たちは今年勝ち目のないチームとしてスタートしたけど、2024年は注目を浴びてスタートすることになるだろう。それに向けて準備をしておく必要がある」
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