笹原右京の“開発能力”を評価するトムス「課題にしっかり応えてくれた」【SF鈴鹿合同/ルーキーテスト】
12月8日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同/ルーキーテストで、笹原右京がKuo VANTELIN TEAM TOM’Sでの初走行を迎えた。
笹原は2022年シーズンをホンダ陣営のTEAM MUGENで戦い2勝を挙げている。そんな笹原がトヨタ陣営で唯一2023年シーズンのシートが確定していない36号車に乗り込むとあって、パドックでは大きな注目を集めていた。
今回、36号車は初日の2セッションをジュリアーノ・アレジが担当。笹原は2日目にマシンを引き継ぎ、午前のセッション3でトップから約1.8秒おくれの18番手。午後のセッション4では最終アタックが完遂できなかったこともあり、リザルトでは同1.1秒おくれの14番手となった。
走行終了後、トムスの山田淳氏に今回のテストの総括、そして気になる笹原の評価を聞いた。
■「経験を差し引いても、笹原選手の方が少し上手(うわて)」
今回のテストでのトムス勢は、2日目のセッション3でトップ、セッション4でも僅差の2番手につけた37号車宮田莉朋の好調さも際立っていた。
エンジニア出身で現在はスーパーGT、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権で監督を務める山田氏は「すごくいいテストができたと思ってます」と振り返る。
「莉朋もいろいろと試して、その結果もしっかりとタイムに出ています」
「笹原選手に関しては、今日は午前と午後に乗ってもらい、普段ウチがやっていないようなセッティングも試せましたので、なにしろ収穫の大きなテストだったと思います」
「いろいろと試してみるというのが今回の課題でもあったので、それに対して笹原選手もしっかりと応えてくれました」
さまざまなセットアップを試すことに主眼が置かれていたため、初日のアレジと2日目の笹原では、マシンの状況も随分と異なっていたようだ。
今回のテストで1台あたり4セット供給されるニュータイヤについては、初日に2セット、2日目に2セットを投入。笹原は、午後のセッション4で2セットを使ったが、クリアラップがうまくとれなかったという。
「もう少し早めにアタックのタイミングに入れたかなとは思うのですけど、いろいろと試すことが増えてきてしまったので、先にクルマ(のセットアップ評価)を行い、最後にアタックしようということになりました。ですが、最後のアタックは(他車に)引っかかってしまったり、目の前でクラッシュがあったりと、タイミング的にクリアラップが取れませんでした。ちょっと残念でしたね」と山田氏。
したがって、宮田との約1秒というリザルト上の差よりは、実際のパフォーマンスギャップは接近していることは間違いない。
山田氏に笹原の印象について聞くと、おもにフィードバック面でポジティブな感触を得た様子だった。
「コメントがすごくしっかりしていて、こちらとしてはすごく分かりやすいです。しっかり整理してから言葉にしてくれますし、クルマのことも詳しくよく知っていますし、なかなかしっかりしているなという印象でした」
一方で山田氏は、1日目にドライブしたアレジについても「中古でも新品でも、それなりのタイムが出せていました」と評価する。
「ただ、ジュリアーノの課題としては、1セット目から2セット目への(タイムの)上がりシロが少し少ないかなという印象はあります」
マシンを開発・セットアップしていくという面について36号車をドライブしたふたりの比較を聞くと、「デベロップメント(開発)に関しては、笹原選手の方が経験豊富というのもありますし、そこは比べようがないですね」と山田氏は言う。
「(コンディションが違うので)タイムだけでは比較できませんが、総合的にみたら笹原選手の方が、評価としては高いですかね。絶対的な経験値も違いますので……その部分を差し引いたとしても、笹原選手の方が少し上手(うわて)ですかね」
ふたりのドライバー間のオーディション的要素があるようも見えた今回のテスト。気になる36号車の2023年のドライバー選定については、山田氏は慎重なコメントを残している。
「これからチームで話し合わなければいけませんし、しっかりとデータも見つめ直して、何が良くて何が良くなかったのかというのはしっかりと確認しなければいけませんので、いまここでは何とも言えません」
果たしてどんな結論が出されるのか、注目が集まる。
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