ThreeBond Drago CORSE道上龍監督「やり残したことがある」スーパーフォーミュラ復帰への想いを語る
2020年シーズンより、スリーボンドと組んで全日本スーパーフォーミュラ選手権へ復帰するDrago CORSE。2016年以来のシリーズ復帰報道を喜んだファンも多いのではないだろうか。
Drago CORSEを率いる道上龍が監督を務めるThreeBond Drago CORSEは、12月4〜5日に鈴鹿サーキットで行われた合同テスト・ルーキーテストに参加した。そこでシリーズ復帰の経緯、チームの現状、そしてテストの成果を道上監督に聞いた。
Drago CORSEはこれまで、スリーボンドレーシングと組んで2017年から全日本F3選手権を戦っていた。その全日本F3が2020年からスーパーフォーミュラ・ライツに変わるというタイミングで、今後どうすべきかをDrago CORSEとスリーボンドの両者で話し合ったという。
「全日本F3を3年間一緒にやらせていただきましたが、今シーズンで(選手権が)終わるということで、スリーボンドとしてもこのままレースを続けようか続けまいか、スーパーフォーミュラ・ライツにいこうか、スーパーフォーミュラにいこうかと様々な考えがありました」
「そのなかで僕たちの気持ちとスリーボンドさんの気持ちが噛み合って、スーパーフォーミュラに参戦しようということになりました」
道上監督は、Drago CORSEが2014年のシーズン終盤2戦に伊沢拓也を、2015年と2016年に小暮卓史を起用してシーズンを戦った際も監督を務めていた。テストとはいえひさしぶりのスーパーフォーミュラについて、そのレベルの高さを感じたという。
「スーパーフォーミュラは国内のトップカテゴリーですし、自分たちが3年前にやった時もそうでしたけど、レベルが高いなと思います」
「あの時は何も結果を出せずにチームがなくなって終わってしまったので、すごく心残りではありました。そういう意味ではリベンジじゃないですけど、もう一回チームを立ち上げて、そこにスリーボンドさんというメインスポンサーがいる状況です」
「まだまだこれからドライバーも含めて決めていかないといけないところもありますし、新チームを立ち上げるとなると大変です。当時使っていたものは何もないですし、もう一回道具を揃えていかないといけない。『誰かに借りてきて』と簡単に言えるものではないですからね。僕らが使っていなかったエアジャッキなども、今では当たり前のように使っているので、そういうものを独自に作らないといけないんです」
■「スリーボンドにとっては挑戦。僕にはやり残したことがある」
今回のテストではホンダのテスト車両を走らせたDrago CORSE。ドライバーには、2019年シーズンはFIA-F2を戦った松下信治と、全日本F3に参戦していたシャルル・ミレッシのふたりを起用した。
松下が初日と2日目の午前の走行を担当した一方、ミレッシはB-Max Racing with motoparkの51号車にもエントリーしていたため、彼がThreeBond Drago CORSEからテストに参加したのは2日目の午後のみだった。
「ミレッシについては、最後のセッションが雨でなかなか走れなかったので、ドライバーとしての判断はできなかった。速いのか遅いのか、はっきりとは言えないです。ただB-Maxに乗っている時に速さは持っていたので、若くて体も細いけれど走れるなというのは確認できました」
「松下に関しては、ホンダさんからのオファーもあって乗ってもらいました。僕らは新規チームとして、今回初めて2020年シーズンに向けて予行練習のような感じで走らせましたけど、彼のドライバーとしての経験というのが僕らにとってはプラスになりました。セッティング能力がすごく高くて、コメントを聞いてもわかりやすいし、自分で組み立ててチームを引っ張っていくようなドライバーのひとりだなと感じました」
「他のチームと比べて、新規チームに足りないところというのはたくさんあります。久々のスーパーフォーミュラなので、自分たちの足りないところというのをどうしてもドライバーに頼ってしまうところが出てくると思います」
「そこで松下のようにヨーロッパで武者修行をして、難しいクルマやタイヤでいろいろなことを経験したドライバーが来ればすごく底上げになるし、いいなとは思いますけどね。正直、ドライバーラインアップについてはまだ何も決められていないし、苦しい状況です」
新たにチームを立ち上げて体制を整えるにはやはり苦労が多いようで、道上監督の言葉からもうかがえるように、楽な状況ではないことは確かだ。
しかし道上監督は「心残りがある」と語った通り、かつてスーパーフォーミュラに参戦していたときの成績には決して満足していない。スーパーフォーミュラに復帰するからには、その心残りを解消したいという。
「スリーボンドとしてはトップカテゴリーに挑戦という感じでしょうね。今はThreeBond Drago CORSEとしてやるので、僕はやり残した部分を取り返しにいきたいです」
「自分もフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)でレースをしていましたけど、やっぱりそう簡単に勝てるカテゴリーではないので難しいと思います。ここへ戻ってこれたというのは素直に嬉しいですが、これから大変なことが待っているなと思うと……。今回もいきなりクラッシュがありましたらね(注:初日午後のセッション終盤、松下がデグナーでクラッシュ)」
「1年目はしんどいと思いますが、やらないといけないですし、12月中にはドライバーも決めないと年を越せません。もう今は本当にしんどいです」
全日本F3を3年間ともに戦ったスリーボンドとDrago CORSEは、これから新しいシリーズで戦い抜いていくことになる。国内最高峰のシリーズに挑戦するスリーボンドと、もう一度このスーパーフォーミュラで戦うことを決意した道上監督の率いるDrago CORSEは、今度は一体どのような活躍を見せてくれるだろうか。
そしてThreeBond Drago CORSEのシートを掴むドライバーも気になるところ。2019年シーズンはスーパーフォーミュラを戦うホンダ陣営のドライバーラインアップが大きく変わったことが話題を呼んだが、2020年にはThreeBond Drago CORSEが陣営に加わることで、その顔ぶれもまた少し変わる。テストで起用した松下やミレッシが加入するのか、あるいは彼ら以外のドライバーがそのシートを掴むのか。ルーキーテストの時点ではまだドライバーは決まっていないとのことだが、その人選も進められていることだろう。
シリーズ復帰を発表してから1カ月あまりで迎えたテストでは「苦しい状況です」と明かした道上監督だが、3年間タッグを組んだスリーボンドと力を合わせて、スーパーフォーミュラでやり残したことを今度こそやり遂げられるだろうか。3年間のブランクを経てスーパーフォーミュラへ復帰する道上監督の手腕とThreeBond Drago CORSEに注目だ。
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