【角田裕毅F1第22戦密着】「いまの僕があるのはホンダのおかげ」コース上の走りで恩返しへ。初日は僚友を凌ぐ7番手
開幕戦のバーレーンGPから9カ月、もうすぐ角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)のルーキーシーズンが幕を閉じる。
「長かったように思えますし、短いなという気持ちもあります」
それはF1がそれまでのカテゴリーとは比べ物にならないほど、学習しなければならないことが多く、レースの週末はもちろん、レースがない日々も常に学び続けた1年だったからだ。
「とても中身が濃いシーズンでしたし、いままでのレース人生のなかで学んだ量では今年が一番だと思います」
学ぶ機会を作ってくれたのがホンダだった。そのホンダのF1でのラストレースとなるアブダビGPに、角田は特別仕様のデザインのヘルメットを用意した。
「ホンダさんにお世話になるようになったのは2016年にSRS(鈴鹿サーキットレーシングスクールのフォーミュラ部門)を1年間受講したのがきっかけでした。SRSを選んだのは、ホンダさんがF1に参戦していて、F1に一番に近いと思っていたからです。でも、育成プログラムに入るための最終選考会で上位ふたりに入ることができず3位に終わり、あきらめかけていました。しかし、当時のホンダF4の監督やスクールの校長を務めていた中嶋悟さんが僕のことを推薦してくれて、ホンダさんに拾ってもらう形で2017年と18年にF4に参戦しました」
そう語る角田に、白羽の矢を立てたのが、当時ホンダのモータースポーツ部長を務めていた山本雅史(現マネージングディレクター)だった。2018年の7月にハンガリーで行われたF3のテストに、山本は日本人でただひとり角田を参加させた。そのテストで光る走りを披露した角田は、ヘルムート・マルコ(レッドブル・モータースポーツアドバイザー)に認められ、2019年にはレッドブル・ジュニアドライバーに。2019年から2年間、FIA-F3とFIA-F2を戦い、2021年にF1にステップアップした。
「いまの僕があるのはほとんどホンダさんのおかげ」と語る角田は、アブダビGP前日に行われたチームの集合写真撮影会に訪れた山本MDに、特別仕様のヘルメットを披露。山本MDは「本当にうれしい」と喜んだ。
しかし、角田にとって本当の意味でのホンダへの恩返しはヘルメットではなく、コース上の走りだろう。今シーズン多くのことを学び、そしてさまざまな経験を積んだ角田は、開幕戦からひと回りもふた回りも成長。アブダビGPの初日のフリー走行では1回目、2回目ともチームメイトのピエール・ガスリーを上回った。
「まだ課題はあるけど、ここまでは順調にきています。僕の狙いは予選でもう一度Q3に行くこと」と語る角田。もちろん、その先には前戦サウジアラビアGPの予選で叶わなかったチームメイトを上回る結果を残すことにある。
角田は今シーズン、ここまでガスリーに21戦全敗。ホンダのラストレースで今シーズンの集大成を見せてほしい。
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