岡安学の「eスポーツ観戦記」 第145回 プロレベルのハイレベルな攻防が繰り広げられた、女性限定「第3回ぷよぷよレディースカップ」レポート
マイナビニュース2024年3月13日(水)10時21分
2024年3月3日に『ぷよぷよeスポーツ』の女性限定大会「第3回ぷよぷよレディースカップ」が開催されました。イベントの様子をレポートします。
今回の大会では、予選リーグで各グループ1位の選手が決勝トーナメントに進出します。決勝トーナメントはシングルエリミネーションの10本先取で行われます。
会場には予選リーグ戦のグループごとにテーブルを用意。同じグループから勝ち抜いた選手を応援するようになっていました。また、テーブルにはお菓子や飲み物もあり、まるで女子会のような雰囲気で選手がレディースカップを楽しんでいる様子が伝わってきました。
グループを勝ち抜いたのは、たいやき選手、レッカ選手、さつまりこ選手、あ~ちゃん選手、黒うさ選手、かすみん選手、青色選手、のたこ選手の8名。なかでも大本命は、のたこ選手です。第1回、第2回大会と準優勝となっており、3度目の正直で優勝を狙います。
あ~ちゃん選手は、トッププロであるともくん選手に弟子入りし、その素質、実力はともくん選手が認めるところです。ほかにもトーナメント常連が数多くいることからも、激戦が予想されます。
決勝トーナメントに進出した選手は、レディースカップ専用ユニフォームに着替えての参戦。このユニフォームは予選通過8名だけに配られるもので、いわば強豪の証です。
その激戦を制したのは、中学2年生のかすみん選手。決勝戦ではさつまりこ選手、準決勝ではのたこ選手と強豪を破っての堂々の優勝です。また、シークレット賞として、特別賞を用意していましたが、その中身は大連鎖賞。こちらも13連鎖を決めたかすみん選手が受賞しました。
かすみん選手は大連鎖に定評のある選手ですが、立ち回り、リカバリー、セカンドと、ハイレベルな展開を見せていきます。これはしっかり相手の盤面の凝視ができているからこそなせる技と言えます。
なお、決勝戦が始まる前には、ゲストである声優の園崎未恵さんによる選手紹介がありました。園崎未恵さんは『ぷよぷよeスポーツ』ではアルルやクルークなどの声を当てているため、園崎さんに名前を呼んでもらったこと自体、選手にとって名誉なことと言えるでしょう。
レディースカップは、前回大会が2022年12月18日開催と、1年3カ月ぶりの開催。その期間に、女性プレイヤーのスキルも大きく向上したように感じます。
『ぷよぷよeスポーツ』は『ぷよぷよ通』をベースにした競技シーン向けのタイトルですが、根本的にはルールもレギュレーションも変わりません。しかし、現状でも新たな戦略や組み方などが出てきており、対戦においては進化がとどまることを知らない印象すらあります。特にプロシーンではその傾向が強く、新たな展開についていけないと勝つことが難しくなるでしょう。
レディースカップや小学生大会などは、プロシーンに比べ、戦い方のトレンドが追いついていない印象でしたが、今回の大会はどの選手もハイレベルでプロシーンに近い戦い方ができていました。
特に、優勝したかすみん選手は、相手の盤面をよくみて対応しており、相手の連鎖の大きさを瞬時に判断し、それと同等、もしくは上回る連鎖を打っていました。本線である大連鎖や大連鎖のあとの追い打ちであるセカンドも、ぎりぎりまで連鎖を伸ばすことを諦めず、伸ばした連鎖によって相手を上回ることも多々ありました。
ほかのプレイヤーもかすみん選手に対抗しうるスキルを持っていたので、このままいけば、近い将来、久しぶりの『ぷよぷよeスポーツ』女性プロゲーマーの誕生があるかもしれません。
また、レディースカップといえば、忘れられないのが第1回、第2回の優勝者であるあかじこう選手です。残念ながら、2023年6月に闘病の末、お亡くなりになられました。
その功績と実績は、間違いなく『ぷよぷよ』界に残るもの。今回、追悼大会と銘打っているわけではありませんが、多くの選手にその気持ちがあったと思います。そして、エンディングセレモニーで『ぷよぷよeスポーツ』のプロデューサーである細山田水紀氏からあかじこう選手へ「ぷよぷよeスポーツ」名誉プロ認定と名誉ユニフォームの贈呈が行われました。
大会終了後に優勝者の囲み取材が行われ、かすみん選手の話を聞くことができました。
――優勝おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください。
かすみん選手:レディースカップは1年ほど前から私が憧れていた大会なので、優勝てきて、とてもうれしいです。
――今大会で苦戦した試合を教えてください。
かすみん選手:準決勝で当たったのたこ選手、決勝戦で当たったさつまりこ選手は強豪プレイヤーなので、とても緊張しました。
――表彰式では第1回、第2回の優勝者であるあかじこう選手の話も出て、名誉プロ認定もされました。その2回の優勝を引き継いでの優勝です。いまのお気持ちをお聞かせください。
かすみん選手:第1回大会からあかじこう選手をずっと見ていて、あかじこう選手が亡くなられてから意思を受け継いでというか、代わりに優勝したいなって思っていました。この結果にはあかじこう選手も喜んでくれているかなって思います。
――レディースカップの優勝となると、プロへの期待も高まります。いかがでしょうか。
かすみん選手:プロは目指していません。自由気ままにプレイしています。
――ありがとうございました。
eスポーツは、老若男女、障害の有無を問わず、誰でも同じ土俵で戦うことができますが、より門戸を広げるためには、限定大会も重要だと思われます。
今回のレディースカップも女性プレイヤーが大会に参加しやすく、もともと女性が多い『ぷよぷよeスポーツ』にとって、重要な大会だと言えるでしょう。
奇しくも開催したのは3月3日、ひな祭り。20年以上前になりますが、敬老の日に高齢者限定の『ぷよぷよ』大会も開かれたこともあり、今後もこういった特別な日に限定大会が開かれることを期待します。
著者 : 岡安学 おかやすまなぶ eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。@digiyas この著者の記事一覧はこちら
今回の大会では、予選リーグで各グループ1位の選手が決勝トーナメントに進出します。決勝トーナメントはシングルエリミネーションの10本先取で行われます。
会場には予選リーグ戦のグループごとにテーブルを用意。同じグループから勝ち抜いた選手を応援するようになっていました。また、テーブルにはお菓子や飲み物もあり、まるで女子会のような雰囲気で選手がレディースカップを楽しんでいる様子が伝わってきました。
グループを勝ち抜いたのは、たいやき選手、レッカ選手、さつまりこ選手、あ~ちゃん選手、黒うさ選手、かすみん選手、青色選手、のたこ選手の8名。なかでも大本命は、のたこ選手です。第1回、第2回大会と準優勝となっており、3度目の正直で優勝を狙います。
あ~ちゃん選手は、トッププロであるともくん選手に弟子入りし、その素質、実力はともくん選手が認めるところです。ほかにもトーナメント常連が数多くいることからも、激戦が予想されます。
決勝トーナメントに進出した選手は、レディースカップ専用ユニフォームに着替えての参戦。このユニフォームは予選通過8名だけに配られるもので、いわば強豪の証です。
その激戦を制したのは、中学2年生のかすみん選手。決勝戦ではさつまりこ選手、準決勝ではのたこ選手と強豪を破っての堂々の優勝です。また、シークレット賞として、特別賞を用意していましたが、その中身は大連鎖賞。こちらも13連鎖を決めたかすみん選手が受賞しました。
かすみん選手は大連鎖に定評のある選手ですが、立ち回り、リカバリー、セカンドと、ハイレベルな展開を見せていきます。これはしっかり相手の盤面の凝視ができているからこそなせる技と言えます。
なお、決勝戦が始まる前には、ゲストである声優の園崎未恵さんによる選手紹介がありました。園崎未恵さんは『ぷよぷよeスポーツ』ではアルルやクルークなどの声を当てているため、園崎さんに名前を呼んでもらったこと自体、選手にとって名誉なことと言えるでしょう。
レディースカップは、前回大会が2022年12月18日開催と、1年3カ月ぶりの開催。その期間に、女性プレイヤーのスキルも大きく向上したように感じます。
『ぷよぷよeスポーツ』は『ぷよぷよ通』をベースにした競技シーン向けのタイトルですが、根本的にはルールもレギュレーションも変わりません。しかし、現状でも新たな戦略や組み方などが出てきており、対戦においては進化がとどまることを知らない印象すらあります。特にプロシーンではその傾向が強く、新たな展開についていけないと勝つことが難しくなるでしょう。
レディースカップや小学生大会などは、プロシーンに比べ、戦い方のトレンドが追いついていない印象でしたが、今回の大会はどの選手もハイレベルでプロシーンに近い戦い方ができていました。
特に、優勝したかすみん選手は、相手の盤面をよくみて対応しており、相手の連鎖の大きさを瞬時に判断し、それと同等、もしくは上回る連鎖を打っていました。本線である大連鎖や大連鎖のあとの追い打ちであるセカンドも、ぎりぎりまで連鎖を伸ばすことを諦めず、伸ばした連鎖によって相手を上回ることも多々ありました。
ほかのプレイヤーもかすみん選手に対抗しうるスキルを持っていたので、このままいけば、近い将来、久しぶりの『ぷよぷよeスポーツ』女性プロゲーマーの誕生があるかもしれません。
また、レディースカップといえば、忘れられないのが第1回、第2回の優勝者であるあかじこう選手です。残念ながら、2023年6月に闘病の末、お亡くなりになられました。
その功績と実績は、間違いなく『ぷよぷよ』界に残るもの。今回、追悼大会と銘打っているわけではありませんが、多くの選手にその気持ちがあったと思います。そして、エンディングセレモニーで『ぷよぷよeスポーツ』のプロデューサーである細山田水紀氏からあかじこう選手へ「ぷよぷよeスポーツ」名誉プロ認定と名誉ユニフォームの贈呈が行われました。
大会終了後に優勝者の囲み取材が行われ、かすみん選手の話を聞くことができました。
――優勝おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください。
かすみん選手:レディースカップは1年ほど前から私が憧れていた大会なので、優勝てきて、とてもうれしいです。
――今大会で苦戦した試合を教えてください。
かすみん選手:準決勝で当たったのたこ選手、決勝戦で当たったさつまりこ選手は強豪プレイヤーなので、とても緊張しました。
――表彰式では第1回、第2回の優勝者であるあかじこう選手の話も出て、名誉プロ認定もされました。その2回の優勝を引き継いでの優勝です。いまのお気持ちをお聞かせください。
かすみん選手:第1回大会からあかじこう選手をずっと見ていて、あかじこう選手が亡くなられてから意思を受け継いでというか、代わりに優勝したいなって思っていました。この結果にはあかじこう選手も喜んでくれているかなって思います。
――レディースカップの優勝となると、プロへの期待も高まります。いかがでしょうか。
かすみん選手:プロは目指していません。自由気ままにプレイしています。
――ありがとうございました。
eスポーツは、老若男女、障害の有無を問わず、誰でも同じ土俵で戦うことができますが、より門戸を広げるためには、限定大会も重要だと思われます。
今回のレディースカップも女性プレイヤーが大会に参加しやすく、もともと女性が多い『ぷよぷよeスポーツ』にとって、重要な大会だと言えるでしょう。
奇しくも開催したのは3月3日、ひな祭り。20年以上前になりますが、敬老の日に高齢者限定の『ぷよぷよ』大会も開かれたこともあり、今後もこういった特別な日に限定大会が開かれることを期待します。
著者 : 岡安学 おかやすまなぶ eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。@digiyas この著者の記事一覧はこちら
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