60歳で定年退職し、同じ会社に再雇用してもらう予定ですが、年金受給は何歳からがいいのでしょうか
All About2024年3月24日(日)18時30分
年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、いつから年金を受給するか悩んでいる方からの質問に、専門家が回答します。
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。
今回は、いつから年金を受給するか悩んでいる方からの質問です。
65歳では受け取らずに、66歳以降に受給(繰下げ受給)すると、ひと月あたり0.7%増額され、逆に65歳より前から受給(繰上げ受給)すると、ひと月あたり0.4%減額されてしまいます。増額率・減額率は一生涯変わりません。
繰上げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り上げする必要があります。減額されるデメリットの他にも、国民年金の任意加入ができない、取り消しできないなどのデメリットもありますので、よく検討することが重要です。長生きする高齢者が多い現在、繰上げ受給すると年金支給額が少なくなりますので、老後破綻リスクが高まることになりかねません。
逆に繰下げ受給すると、長生きすればするほど、生活に必要な資金が多く必要になりますので、年金支給額が多くなり、年金生活に対する不安が軽減されることに役立ちます。
ただし、繰り下げしている期間は、給与収入と金融資産の取り崩しで生活を維持していくことになることと思います。繰下げ受給すると年金受給額が増えますが、相談者が加給年金額を受け取れる場合には、繰下げ期間中、加給年金額が支給停止されます。加給年金額は増額されません。
再雇用の場合、給与収入額が少なくなることと思います。再雇用の給与収入と保有資産(預金等の金融資産)等で賄うことができない場合は、無理に年金支給開始年齢を遅らせることはおすすめしません。
また、再雇用で給与をもらいながら、年金を受け取ることもできます。その場合は、厚生年金に加入にしていると、おおよその給与収入(総報酬月額相当額)と、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額の合計金額が、支給停止の基準額48万円(2024年4月以降は50万円)を超えてしまうと、老齢厚生年金受給額が、一部もしくは全額支給停止になってしまいます。これを在職老齢年金制度といいます。支給停止になった年金は、後から受け取れません。
繰り下げることで年金収入が増え、または給与と年金を両方もらい収入が多くなると、健康保険料や介護保険料の負担が重くなる可能性があり、その結果手取り額が少なくなってしまうこともあります。医療費の自己負担や、介護費用の自己負担割合も多くなる可能性もあります。
年金を何歳からもらったらいいのかという質問ですが、その人の生活の状況によりますので一概にはいえません。
ご自身の健康状態や働く期間をある程度踏まえたうえで、キャッシュフロー表を作成してみましょう。いつから年金をもらったらいいのか、大きな判断材料になるでしょう。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)
今回は、いつから年金を受給するか悩んでいる方からの質問です。
Q:60歳で定年退職し、同じ会社に再雇用してもらう予定。年金受給はいつからがいいのでしょうか?
「60歳で定年退職し、同じ会社に再雇用してもらう予定ですが、年金受給は何歳からがいいのでしょうか」(巧さん)A:65歳から老齢年金をもらわなくても生活にできるのであれば、できるだけ受給開始年齢を遅らせる(繰下げ受給する)と年金受給額が増えますので、老後生活が豊かになり不安を軽減できることでしょう
老齢年金は原則として65歳から受給できますが受給開始年齢は、希望すれば60歳〜75歳になるまで選択できます。65歳では受け取らずに、66歳以降に受給(繰下げ受給)すると、ひと月あたり0.7%増額され、逆に65歳より前から受給(繰上げ受給)すると、ひと月あたり0.4%減額されてしまいます。増額率・減額率は一生涯変わりません。
繰上げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り上げする必要があります。減額されるデメリットの他にも、国民年金の任意加入ができない、取り消しできないなどのデメリットもありますので、よく検討することが重要です。長生きする高齢者が多い現在、繰上げ受給すると年金支給額が少なくなりますので、老後破綻リスクが高まることになりかねません。
逆に繰下げ受給すると、長生きすればするほど、生活に必要な資金が多く必要になりますので、年金支給額が多くなり、年金生活に対する不安が軽減されることに役立ちます。
ただし、繰り下げしている期間は、給与収入と金融資産の取り崩しで生活を維持していくことになることと思います。繰下げ受給すると年金受給額が増えますが、相談者が加給年金額を受け取れる場合には、繰下げ期間中、加給年金額が支給停止されます。加給年金額は増額されません。
再雇用の場合、給与収入額が少なくなることと思います。再雇用の給与収入と保有資産(預金等の金融資産)等で賄うことができない場合は、無理に年金支給開始年齢を遅らせることはおすすめしません。
また、再雇用で給与をもらいながら、年金を受け取ることもできます。その場合は、厚生年金に加入にしていると、おおよその給与収入(総報酬月額相当額)と、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額の合計金額が、支給停止の基準額48万円(2024年4月以降は50万円)を超えてしまうと、老齢厚生年金受給額が、一部もしくは全額支給停止になってしまいます。これを在職老齢年金制度といいます。支給停止になった年金は、後から受け取れません。
繰り下げることで年金収入が増え、または給与と年金を両方もらい収入が多くなると、健康保険料や介護保険料の負担が重くなる可能性があり、その結果手取り額が少なくなってしまうこともあります。医療費の自己負担や、介護費用の自己負担割合も多くなる可能性もあります。
年金を何歳からもらったらいいのかという質問ですが、その人の生活の状況によりますので一概にはいえません。
ご自身の健康状態や働く期間をある程度踏まえたうえで、キャッシュフロー表を作成してみましょう。いつから年金をもらったらいいのか、大きな判断材料になるでしょう。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)
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