毎月の年金額を夫婦で30万円ぐらいもらいたい場合、働いている間は、いくらぐらいの年収があればいいでしょうか?
All About2024年4月16日(火)18時30分
年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、将来、年金を月30万円もらえる夫婦の現役時代の世帯年収について、専門家が解説します。
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。
今回は、将来、年金を月30万円もらえる夫婦の現役時代の世帯年収についてです。
相談者(妻)は扶養範囲内で、厚生年金に加入せずパートで働いているとのことですので、国民年金の未納金や免除期間がないという前提で、65歳から老齢基礎年金の満額である月額約6万8000円(令和6年度)を受け取れるとします。
したがって夫婦で毎月30万円の年金を受け取るには、夫は月額23万2000円受け取る必要があります。
夫は令和6年現在で27歳の会社員なので、平成15年4月以後に、20歳から60歳まで40年間、厚生年金に加入したという前提で、23万2000円の年金を受け取れる年収について計算してみましょう。
この場合、夫の老齢基礎年金も令和6年度で満額の約6万8000円を受給できますので、毎月23万2000円の年金を受け取るために、老齢厚生年金は月額16万4000円(23万2000円−6万8000円)を受け取る必要があります。
老齢厚生年金は、現役世代の収入金額(給与など)と勤続年数によって、次の計算式で計算されます。
(1)平成15年3月までは、平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの加入期間
(2)平成15年4月以降は、平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間(※)
※スライド率等については省略。乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用
夫は平成15年4月以後に厚生年金に入っていることになりますので(2)の計算式を使います。なお、ボーナス込みで、40年間の年収の変更は考慮しません。標準報酬月額の上限は65万円、標準報酬賞与額の上限は150万円とします。
老齢厚生年金を月16万4000円(年額196万8000円)受け取るための年収を下記の計算式で計算すると、年収の目安は年収853万円(月額約71万円)です。
●計算式
平均標準報酬額×5.769/1000×480カ月(加入期間)=196万8000円(年間の厚生年金受給額)
平均標準報酬額=196万8000円/(5.769/1000×480)≒71万700円
平均標準報酬月額を年収に換算します。
71万700円×12カ月≒853万円(年収)
まとめると、夫の生涯平均年収が853万円であれば、夫は65歳から年金を月額約23万2000円受給でき、相談者が今後も年収106万円未満(夫の扶養内)であれば、相談者は65歳から約6万8000円受給できます。これで65歳から夫婦で月額30万円(23万2000円+6万8000円)の年金を受け取れることになります。
あくまでも概算でのシミュレーションになりますので、一つの目安としていただければと思います。
※現在の制度をもとにした計算で、将来の年金額を保証するものではありません
※経過的加算は考慮していません
※年金額と給与額は額面で計算しています
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)
今回は、将来、年金を月30万円もらえる夫婦の現役時代の世帯年収についてです。
Q:年金を月30万円もらえる夫婦の、現役時代の年収はいくら?
「毎月の年金額を夫婦で30万円ぐらいもらいたい場合、働いている間は、いくらぐらいの年収があればいいでしょうか? 妻の私は、パートで扶養範囲で働きたいです。夫は27歳の会社員です」(パート主婦・30歳)A:妻は扶養内で年収106万円未満(月収8万8000円未満)、夫は年収853万円(月額約71万円)が目安です
今回は、将来、夫婦で年金を月30万円もらえる世帯年収について計算してみましょう。相談者(妻)は扶養範囲内で、厚生年金に加入せずパートで働いているとのことですので、国民年金の未納金や免除期間がないという前提で、65歳から老齢基礎年金の満額である月額約6万8000円(令和6年度)を受け取れるとします。
したがって夫婦で毎月30万円の年金を受け取るには、夫は月額23万2000円受け取る必要があります。
夫は令和6年現在で27歳の会社員なので、平成15年4月以後に、20歳から60歳まで40年間、厚生年金に加入したという前提で、23万2000円の年金を受け取れる年収について計算してみましょう。
この場合、夫の老齢基礎年金も令和6年度で満額の約6万8000円を受給できますので、毎月23万2000円の年金を受け取るために、老齢厚生年金は月額16万4000円(23万2000円−6万8000円)を受け取る必要があります。
老齢厚生年金は、現役世代の収入金額(給与など)と勤続年数によって、次の計算式で計算されます。
(1)平成15年3月までは、平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの加入期間
(2)平成15年4月以降は、平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間(※)
※スライド率等については省略。乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用
夫は平成15年4月以後に厚生年金に入っていることになりますので(2)の計算式を使います。なお、ボーナス込みで、40年間の年収の変更は考慮しません。標準報酬月額の上限は65万円、標準報酬賞与額の上限は150万円とします。
老齢厚生年金を月16万4000円(年額196万8000円)受け取るための年収を下記の計算式で計算すると、年収の目安は年収853万円(月額約71万円)です。
●計算式
平均標準報酬額×5.769/1000×480カ月(加入期間)=196万8000円(年間の厚生年金受給額)
平均標準報酬額=196万8000円/(5.769/1000×480)≒71万700円
平均標準報酬月額を年収に換算します。
71万700円×12カ月≒853万円(年収)
まとめると、夫の生涯平均年収が853万円であれば、夫は65歳から年金を月額約23万2000円受給でき、相談者が今後も年収106万円未満(夫の扶養内)であれば、相談者は65歳から約6万8000円受給できます。これで65歳から夫婦で月額30万円(23万2000円+6万8000円)の年金を受け取れることになります。
あくまでも概算でのシミュレーションになりますので、一つの目安としていただければと思います。
※現在の制度をもとにした計算で、将来の年金額を保証するものではありません
※経過的加算は考慮していません
※年金額と給与額は額面で計算しています
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)
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