企業の7割「出戻り社員がいる」 社内の反応も「他社を経験し当社の良さを感じている」「社内の仕組みがわかっている」など上々
一度会社を辞めたら、もう戻れないという考えは根強い。しかしエン・ジャパンが4月19日に発表した調査によると、一度退職した社員を再雇用したことがある企業は661社中72%に上るという。
中には、明太子製造の「ふくや」や不動産開発の「大京グループ」など、再雇用を制度化している企業もある。
「退職時に感じていた会社や上司への不満」は解消されないのではという懸念も
エン・ジャパンの調査によると、再雇用した理由として最も多かったのは「即戦力を求めていたから」(72%)で、2番目は「人となりがわかっているため安心だから」(68%)だった。「中途採用が難しいから」も23%となっており、人手不足で出戻り社員でも雇用したいというのが実情のようだ。
出戻り社員への周囲の反応は、「とても良い」(19%)と「まあまあ良い」(64%)を合わせると「良い」が83%に達している。
再雇用したことのある企業からは、
「社内の仕組みがわかっていて、研修に掛ける時間が少なくなった」(IT・情報処理・インターネット関連/100〜299名)
「在職時よりもマネージメントの面でスキルアップしていた」(商社/50〜99名)
といった声が寄せられている。他社を経験することでスキルアップするというケースもあるようだ。一方で、「ブランクの間に入社した社員との社歴の関係等でギクシャクする」(商社/100〜299名)と否定的な意見もあった。
今後の採用予定については、約7割の企業が「自社に必要な能力があれば再雇用したい」(69%)と回答。「積極的に再雇用したい」、「在籍する社員が許せば再雇用したい」もそれぞれ13%だった。
再雇用に積極的な企業からは、次のような意見が出ていた。
「即戦力となり、仕事に対してのミスマッチが少ない」(サービス関連/ 300〜499名)
「他社を経験して当社の良さを感じている可能性があり今後の戦力として期待できるため」(不動産・建設関連/100〜299名)
しかし中には、「退職時に、会社や上司に対してなにかしら不満があったのだろうと思う。再び入社して、その不満は解消するのか、疑問に感じるため再雇用は考えていません」(商社/10〜29名)という企業もあった。
明太子製造の「ふくや」は3年以内なら条件不問で復職が可能
明太子を製造する「ふくや」(福岡県福岡市)は今年2月、一度退職しても3年以内なら復職できる制度を正社員向けに導入した。退職までに在籍した期間や退職理由は問わない。
同社の担当者は、キャリコネニュースに対して、次のように話す。
「体調不良や配偶者の転勤で不本意ながら会社を辞めるという方もいらっしゃいます。戻って来やすいようにと制度を整えました。離職期間中に他社で働いていても、独立して事業を行っていても構いません」
まだこの制度を利用した人はいないが、在籍する社員からは「こうした制度があれば安心だ」と歓迎する声が出ているという。一度、退職した人をまた雇用することへの抵抗はないようだ。
不動産開発の「大京グループ」も今年3月、「ジョブ・リターン制度」を導入した。3年以上在籍し、結婚・妊娠・育児・介護・配偶者の転勤のいずれかを理由に退職した社員が対象だ。ただし離職期間中に他社で雇用された経験がないこと、離職してから10年以内であることが条件となっている。
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