学習意欲わかない子供が過半数、意欲向上のカギは?
リセマム2022年4月21日(木)16時15分
コロナ禍における子供の生活と学びや、環境の変化について調査したところ、「勉強する気持ちがわかない」と答えた子供が増加したことが、東京大学とベネッセ教育総合研究所の調査結果より明らかになった。
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所は、2014年に「子どもの生活と学び」の実態を明らかにする共同研究プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトでは、小学1年生~高校3年生の約2万1千組の親子を対象に、2015年以降、複数の追跡調査を実施している。今回公表された「子どもの生活と学びに関する親子調査2019-2021」は、2019年、2020年、2021年の各年7~9月に実施。結果の推移を考察した。
「勉強しようという気持ちがわかない」という項目に対して「とてもあてはまる」「まああてはまる」と回答した子供は、調査対象期間の2019年から2021年まで毎年増加。19年は45.1%、20年は50.7%、21年は54.3%と、3年間で9.2ポイント増え、半数を超えたことがわかった。
学年別にみると、中1、中2、高1で「勉強しようという気持ちがわかない」という気持ちの増加幅が大きい傾向があった。入学から間もない学年で学習意欲の低下が著しく、小6から中1(14.8ポイント増)や、中3から高1(6.0ポイント増)等、環境の変化にともない、気持ちが大きく変化するようすがみられた。
学習意欲は、同じ子供の中でも変化。2019年から2021年にかけての個人の変化をみると、意欲が向上した子供は11.2%、低下した子供は25.8%だった。一方、意欲が高いまま(31.8%)、低いまま(31.2%)と意欲に変化がみられなかった子供も一定数みられた。学習意欲は、一般的に学年が上がるにしたがって下がる傾向があるとみられているが、高い意欲を維持したり、低かった意欲を上げたりする子供も一定の割合で存在することが明らかになった。
この学習意欲の向上や低下に、どのような要因が関わっているのかを分析したところ、「上手な勉強の仕方がわかる」「授業が楽しい」「自分の進路(将来)について深く考える」等の要因との関連がみられた。それぞれの項目について、肯定的な経験をした子供ほど、否定的な回答をした子供に比べて意欲向上の出現が高く、意欲低下の出現が低かった。中でも特に、「上手な勉強の仕方がわかる」「授業が楽しい」と感じられるようになることが、意欲の向上と強く関連していることがわかった。
また、学校での授業形態について尋ねたところ、2019年から2021年で「パソコンやタブレットを使う」が大きく増加したことがわかった。探究的な活動である「グループで調べたり考えたりする」「自分(自分たち)で決めたテーマについて調べる」「調べたり考えたりしたことを発表する」は2019年から20年にかけて一旦落ち込んだものの、2021年には回復している。この3年間で学校の授業におけるデジタル機器の利用が増え、探究的な学びについても、コロナ禍という困難な環境にあっても実現に向けて努力している学校現場のようすがうかがえる。
しかし、このような授業の変化は、学習意欲の変化とは明確な関連がみられなかった。学習意欲の向上のためには、授業の形態を変えるだけでなく、子供自身が「上手な勉強の仕方がわかる」ことや、関心・意欲が高まるような「楽しい授業」「自分の将来を深く考える」といった、「学びの本質」にかかわる働きかけが重要だと考えられる。
コロナ禍により、いまだに学習活動が制限される状況が続いている。そのような困難が続く中でも、すべての子供が「学びの本質」を実現するためにはどうすればよいのだろうか。プロジェクトでは、これからも継続して学びや環境の変化と、子供たちへの影響を追い続けるとしている。
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所は、2014年に「子どもの生活と学び」の実態を明らかにする共同研究プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトでは、小学1年生~高校3年生の約2万1千組の親子を対象に、2015年以降、複数の追跡調査を実施している。今回公表された「子どもの生活と学びに関する親子調査2019-2021」は、2019年、2020年、2021年の各年7~9月に実施。結果の推移を考察した。
「勉強しようという気持ちがわかない」という項目に対して「とてもあてはまる」「まああてはまる」と回答した子供は、調査対象期間の2019年から2021年まで毎年増加。19年は45.1%、20年は50.7%、21年は54.3%と、3年間で9.2ポイント増え、半数を超えたことがわかった。
学年別にみると、中1、中2、高1で「勉強しようという気持ちがわかない」という気持ちの増加幅が大きい傾向があった。入学から間もない学年で学習意欲の低下が著しく、小6から中1(14.8ポイント増)や、中3から高1(6.0ポイント増)等、環境の変化にともない、気持ちが大きく変化するようすがみられた。
学習意欲は、同じ子供の中でも変化。2019年から2021年にかけての個人の変化をみると、意欲が向上した子供は11.2%、低下した子供は25.8%だった。一方、意欲が高いまま(31.8%)、低いまま(31.2%)と意欲に変化がみられなかった子供も一定数みられた。学習意欲は、一般的に学年が上がるにしたがって下がる傾向があるとみられているが、高い意欲を維持したり、低かった意欲を上げたりする子供も一定の割合で存在することが明らかになった。
この学習意欲の向上や低下に、どのような要因が関わっているのかを分析したところ、「上手な勉強の仕方がわかる」「授業が楽しい」「自分の進路(将来)について深く考える」等の要因との関連がみられた。それぞれの項目について、肯定的な経験をした子供ほど、否定的な回答をした子供に比べて意欲向上の出現が高く、意欲低下の出現が低かった。中でも特に、「上手な勉強の仕方がわかる」「授業が楽しい」と感じられるようになることが、意欲の向上と強く関連していることがわかった。
また、学校での授業形態について尋ねたところ、2019年から2021年で「パソコンやタブレットを使う」が大きく増加したことがわかった。探究的な活動である「グループで調べたり考えたりする」「自分(自分たち)で決めたテーマについて調べる」「調べたり考えたりしたことを発表する」は2019年から20年にかけて一旦落ち込んだものの、2021年には回復している。この3年間で学校の授業におけるデジタル機器の利用が増え、探究的な学びについても、コロナ禍という困難な環境にあっても実現に向けて努力している学校現場のようすがうかがえる。
しかし、このような授業の変化は、学習意欲の変化とは明確な関連がみられなかった。学習意欲の向上のためには、授業の形態を変えるだけでなく、子供自身が「上手な勉強の仕方がわかる」ことや、関心・意欲が高まるような「楽しい授業」「自分の将来を深く考える」といった、「学びの本質」にかかわる働きかけが重要だと考えられる。
コロナ禍により、いまだに学習活動が制限される状況が続いている。そのような困難が続く中でも、すべての子供が「学びの本質」を実現するためにはどうすればよいのだろうか。プロジェクトでは、これからも継続して学びや環境の変化と、子供たちへの影響を追い続けるとしている。
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