警察の一斉通達でアダルト漫画の「味海苔修正」がアウトに? → デマでした。
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アダルト漫画の「味海苔修正」が警察の一斉通達で使えなくなった……という"噂"がネット上を駆け巡った。もっともらしい話だが、長年マンガ表現の取材を続けてきた身からすると、「ホントか?」という感じ。「警察の一斉通達」なんていうことがあれば、前代未聞の出来事である。さっそく業界関係者に事実確認をしてみたが……先に結論を言おう。この話はデマだった。(取材・文:昼間たかし)
作家発で広まったデマ
このデマが広まった間接的なきっかけは、月刊誌『COMIC BAVEL』(文苑堂)が5月号から「修正方式」を変更したことのようだ。これまで同誌では、刻み海苔のような黒の太線でアレをところどころ隠す「黒海苔・味海苔」などと呼ばれる修正方式をとっていた。しかし、5月号からは、そういった部分が、真っ白に修正する「白抜き」というスタイルに変更されていた。
ただ、「修正スタイルの変更」は、成人漫画誌ではままあるもの。この時点では「お? 変えたな?」ぐらいの話であった。ところが、とある漫画家がこんなツイート(現在は削除)をして、それが大きな注目を集めることになった。
担当氏に会う機会あったので、白塗り修正のこと聴こうと思ってたら、
先に話繰り出されまして。「おポリス様から各出版社に一斉通達がでて、味海苔修正ができなくなった」
との事です。これに異を唱えると雑誌存続が危うくなりますので、
出版社側は苦肉の策の白塗り、と言うことです。
このツイート(削除済み)が拡散された結果、内容を鵜呑みにする人が続出。警察によって規制が厳しくなるとの話があちこちで囁かれることになったのだ。
さて冒頭にも書いたが、このツイートに筆者は「ホントかよ?」という印象を持った。そこで幾つかの出版社に話を聞いてみた。すると案の定、そうした通達が来たと証言する出版社はひとつもなかった。
もし警察が一斉通達で修整を指示したら、その時点でマンガ業界に激震が走る。日本雑誌協会や出版倫理懇話会などの業界団体も即動き始める出来事だ。現場の編集者たちが軒並み「知らない」なんてことはあり得ない。
話を聞いた編集者の一人も「成人漫画を読んでいる人なら、編集部や会社の方針で修正のやり方が変わりがちなのを知っていると思うんですが……」と首を傾げていた。なんなんだ、もう。
さて、これはマンガ好きには知っておいてほしい話だが、性表現の「修正」は出版社による自主規制である。国家による「検閲」は、憲法でガチガチに禁止されている。いくら警察といえども、マンガの内容を公表前にチェックして指導するなんてことは不可能だ。
これは絶対的な原則である。もしもアホな出版社が印刷する前に警察に「修正はこれで大丈夫ですか?」と原稿を持ち込んでも警察は答えない。筆者は、「東京都」に自ら出版前のチェック(検閲)をしてもらおうとして、即座に断られたマヌケな出版社を知っている。
そんなアホ出版社がいるのは、「わいせつなもの」の出版が刑法175条で規制されているからだ。もし出版したマンガが「わいせつだ」とみなされたら、摘発される可能性がある。そして、この「わいせつ表現」とは何かは、裁判でしばしば争われているほどハッキリしない。
「わいせつ表現」の基準は、それだけで何冊も研究書が出ているくらいに難しい。例えば、かつて実写では陰毛が映っていれば「わいせつ表現」とされた時代もある。ところが1990年代前半に「ヘア解禁」のムードになり、陰毛が写った写真でも即座に警察が摘発することはなくなった。では、陰毛がすべてOKになったのか……というと実はそう単純でもなく、その後もヘアヌードが摘発された事例がある。
一方、漫画では2002年に出版社・松文館の単行本が「わいせつ」であるとして、同社の社長・編集者・著者が逮捕・起訴された。同社では、当時の業界基準でも「濃いめの修正」をしていた。それにもかかわらず同社は摘発を受け、最高裁まで争われた結果、最終的に有罪が確定することになった。
長くなりすぎるので手短に紹介するが、この裁判では数々の「迷言」が誕生した。検察官は「絵が上手すぎる(からワイセツだ)」などと発言したし、地裁判決の裁判官は唐突に「市場に出回っている多くの成人向け雑誌は、摘発していないだけで本来違法である」などと、誰も聞いたこともないような珍説を唱え出した。まあ、そんな「?発言」が続出するぐらい、何がわいせつをめぐる司法判断は成熟していないのだろう。
結局、こんな風にあやふやな判断基準に表現の自由が脅かされているわけで、その事実こそが「刑法175条って、そもそも違憲・無効じゃないの?」という話が、法律家の中でも絶えない理由である。
ただ現実問題としては、刑法175条は合憲とされている。そして過去の事例からすると、日本の警察・検察・裁判所が「性器描写」に強いこだわりを持っているのも明らか。というわけで、出版社もそのあたりの表現にはかなり慎重になっているのだ。
以前、ベテラン成人漫画編集者の塩山芳明氏に取材したことがあるが、氏は「当局に修正している意志を見せることが重要」だと語った。つまり現場としては、そうするしかないのが現実なのだろう。出版側や作者からすると、本来必然性はないが、国の法律に挑戦するわけにもいかないので「海苔」や「白抜き」の修正をして対応している、というわけだ。
それでも、もともと明確なボーダーラインがあるわけではないので、ときおりは先述のように警察が動くような事例も出てきてしまう。ただ、「言論・表現の自由」や「検閲禁止」の原則がある以上、警察が「一斉通達」のような形で修正の手法を細かく指示することはない。少なくとも、長くこの問題を取材した筆者でも、戦後そういうことがあったという話は聞いたことがない。ツイートを目にして「え、ホントかよ?」と疑ってしまった理由がわかってもらえたと思う。
しかし、表現者たる漫画家のツイートがきっかけでこんなデマが拡散されてしまうとは……。憲法21条さんが知ったら泣いちゃうぞ。まったく。
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