「小イワシの刺身が食べたい」 広島出身記者は、築地へ向かった
突然だが6月に食べる魚というと、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。釣りが解禁される鮎、関西圏の人であれば鱧(ハモ)などが定番かもしれない。広島出身の記者にとっても、どちらも馴染がある魚で、この時期になると食べたくなるのだが、鮎や鱧以上に食べたい魚がある。
その魚とは「小イワシ」だ。聞きなれないかもしれないが、成魚でも10センチ程度にしかならない「カタクチイワシ」のことを、広島では小イワシと呼んでいる。この小イワシ漁が広島湾一帯で解禁されるのが例年6月10日。記者にとっては6月といえば小イワシの時期なのだ。
7回洗うと鯛にレベルアップする説
「カタクチイワシなんか煮干しとか目刺しでいくらでも食べられるでしょ」と思われるかもしれないが、広島で小イワシを食べる場合は刺身か天ぷらがメジャーだ。ちなみに「音戸ちりめん」などの名称で販売されているのは、小イワシの稚魚であることが多い。
刺身といってもサクにするようなサイズでもないので、1尾の小イワシの身を両面から削ぐようにして取り、ひたすら水洗いをする。洗うことでイワシ臭さと鱗取りを兼ねているのだ。この水洗いの過程が非常に重要で、ローカルことわざ(?)で「7回洗えば鯛の味」と言われるほど。
記者も祖母や母親からさんざんこの言葉を聞かされてきた。本当に味が鯛と同等かは個人の好みによるとして、生姜醤油で食べる小イワシの刺身が絶品であることは間違いない。「広島の特産品の海産物といえば」と聞かれたら、記者個人としては牡蠣より小イワシ推し。食べないと損していると断言しておきたい。
そんな小イワシだが、上京してから魚屋の店先で生のものが売られているのを記者は見たことがない(これは記者の行動範囲が狭いだけかもしれないが)。というか、小イワシの刺身を口にした記憶がない。別に東京だからということではないのか、編集部周辺の地方出身記者たちに話を聞いてみても、「カタクチイワシを刺身で食べないでしょう」という反応が返ってくる。
魚の中では鮮度の低下が早いイワシを刺身で食べるには、漁場が近くにあり、鮮度の高いものをすぐ入手する必要がある。そもそも条件に合った地域が限られてはいると思うのだが、一般的ではないのだろうか。だが、記者は食べたいのだ。できればすぐにでも入手して、晩酌の肴にしたい。
東京で魚といえばあそこですよね
東京で魚といえば、何かと話題の築地市場だろう。都内の魚屋を転々とするよりは、確実そうな気がする。
ということで6月某日、記者は築地市場で小イワシ探しを敢行してきた。どうせなら早起きして早朝から行けばよかったのだが、午前7時より前に起きるとその日1日は何もできない記者には無理な話だ。この時点ですでに破たんしている気もする。
なんとか9時過ぎには場内にたどり着いたものの、すでに終了ムード。その上、素人の記者が何のアテもないままさまようので、当たり前だがまったく見つからない。仲卸店の人に尋ねてみるも、仕入れているところがない。
「生のカタクチ? 刺身に? 他にもいい魚あるのに......。マイワシならよく入るけどねえ」
という反応も。まあ、眼の前でマグロのサクを売っているのに、刺身にしようと小イワシを探す素人なんてそうそういないだろう。「○○さんとこなら入れてるかも」という言葉を頼りに、まるでゲームのお使いクエストのように巡ってみるものの、すべて不発に終わった。
一応場外にある鮮魚店も一通り巡ってみたものの、小イワシには巡り会えず。むなしく手ぶらで戻ることに耐えられず、ターレ(ターレット)のカプセルトイと日高昆布を買ったのだった。
あとで関東農政局の漁業統計を見てみると、比較的イワシ類の水揚げ量が多いとされている茨城県波崎港や千葉県銚子港でもマイワシが大半で、カタクチイワシは品目にも入っていない。築地まで運び込むより、地元の市場で消費されてしまうのか。
これはちょっと戦略を変えなければ難しそうだ。記者が東京で小イワシの刺身を口にすることができるのか。記者の模索は多分もう少し続く予定だ。
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