古都・鎌倉にはホテルが少ない! 法律の壁を「古民家リノベ民泊」で乗り越えた
2019年1月、神奈川県鎌倉市にホテル「鎌倉 古今」が開業する。この「古今」なのだが、ただのホテルではない。建物はなんと、江戸時代の「古民家」をリノベーションしたものにあたる。
こうした取り組みをするのにはワケがある。鎌倉市では、観光地として有名でありながら、以前から宿泊施設が慢性的に不足していたのだ。その背景にあったのが1966年に制定された「古都保存法」だ。
伝統的な家屋が壊されている現状を危惧
古都保存法は、正式には「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」といい、古都の歴史的な風土を保存する目的を持つ。宅地の造成や改築・増設に際して県知事への届け出が必要となっているため、宿泊施設も慢性的に不足した状態にあるというのだ。
その歴史をたどると、1960年ごろから始まった宅地造成にさかのぼる。これに鎌倉市は危機感を覚え、開発への反対運動などを起こした。それもあって事業者が開発を断念したが、各地で同様の問題が起きたこともあり、全国的な取り組みとする必要があるとし、66年の古都保存法の制定へとつながった、というわけだ。
こうした事情から来る鎌倉での「宿泊施設の不足」に対するソリューションとして期待されるのが古民家のリノベーションで、その一例が「古今」だ。
「古今」は、1855年(安政2年)に建てられた古民家にリノベーションを施したホテルだ。日本家屋の魅力は残しながらも、梁などについては江戸時代当時のものを残している。一方、スマートフォンのレンタルサービスがあったり、客室内にAmazon Echoがあったりと、最新の設備も盛りだくさん。まさに、伝統と最先端が交錯するホテルだ。
「古今」の開業は2018年6月15日から施行される民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行に伴い実現したものだ。
これは家などを宿泊施設として貸し出す「民泊」が急増していることを受け、年間営業日数を上限180日にするなど、一定のルールを定めて民泊のサービスの健全化を図るために制定されたもの。古民家を利用した宿泊サービスの提供も、この法律の範囲内となる。
今回、古民家のリノベーションを企画したくらつぐ(神奈川県小田原市)の代表取締役である松宮大輔さんに6月12日、話を聞いたところ、
「鎌倉で宿泊施設が少なかったこともありますが、それに加えて鎌倉で古民家が少しずつ壊されている現状があることへの危機感もありました」
と述べる。伝統的な建物が無くなっていくことで、街の景観に変化をきたすことを危惧したという。
「もし民泊新法がなかったら今回の古民家リノベーションによるホテル営業も実現していなかったと思います。この法律で本当に助かりました」
と述べた。「古今」は1泊朝食付プラン4万8000円、夕朝食付プラン6万円(どちらも税別)。予約受付は6月15日よりスタートし、19年1月7日から180日限定で営業が行われる。
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