神保町を見守り続けた老ビル、90年の歴史に幕 「旧相互無尽会社」解体に惜しむ声相次ぐ「取り壊してほしくないよ」
東京・神保町にある旧相互無尽会社(神保町ビル別館)が2020年9月7日から解体工事に取り掛かる。
千代田図書館情報誌「千代田図書館」vol.9 (2011年10月発行)によれば、旧相互無尽会社は1929年(昭和4年)竣工。「相互無尽会社」のビルとして建てられ、その後は金融関係のビルとして利用されていた。
最近では財団法人・日本タイ協会が入居していたが、現在は事務所を移転。ビルは20年9月より解体されることが決まっている。
ビルの外壁や扉には解体工事の日程が貼られ、8月8日頃からSNSでも話題に。90年以上の歴史を持つ建物の取り壊しに、ツイッターでは、
「味わい深い風景がどんどん変わってしまうのは残念でなりません」
「壊してしまうのは勿体ないですね」
「やっぱはちゃめちゃに素敵だよぉぉぉお取り壊してほしくないよおぉぉぉ」
と解体を惜しむ声が多数寄せられている。
「新しい建物を建てます」
旧相互無尽会社の外観はスクラッチタイルで覆われ、アーチ形の窓が特徴的。シンプルだが重厚感があり、周囲に立ち並ぶ建物の中でも異彩を放っている。
不動産の登記情報によれば、宅地は19年8月に小学館不動産が三井住友銀行から購入している。
Jタウンネットは20年8月11日、現在の所有者である小学館不動産に話を聞いた。
旧相互無尽会社はなぜ解体されるのか。事業企画部の担当者は解体の理由を、
「ビルの隣の土地(パーキング)をもともと保有しており、その土地と併せて新しい建物を建てるために解体します」
と説明。宅地の購入時点で、新しい建物が建つことは決定していたという。
掲示されている「解体工事のお知らせ」によると、ビルは地上5階・地下1階建て。担当者によれば鉄筋コンクリート造だという。中の状態を聞いてみたところ、やはり老朽化が進んでいるようだ。
「上の方に行くとコンクリートがボロボロです。鉄筋が出て爆裂してたり...。風化がすすみ、危なっかしい状態のところもあります」
8月19日に現場を訪れた筆者。扉越しに中の様子を見ると、1階の壁は所々?がれており、経年劣化が感じられた。
現在は近隣で行われている工事の現場事務所として使用されているが、それも8月いっぱいまで。約1世紀にわたって神保町を見守ってきた古参ビルとの別れが近づいている。
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