申し訳ない、私は今まで大きな間違いをおかしていました…【家そば放浪記】第256束：ヨークベニマルで買った、奈良屋『粗挽き二八蕎麦』343円（1人前172円）

なななななな、なんだと……!?　ちょっとまて。ちょ〜っとまってくれ。落ち着かせてくれ。ひとつひとつ、説明させてくれ……。

まず、奈良屋！　製造者は福島のエスペランサ（希望）、奈良屋！　もちろん乱切り（2.1mm、2.4mm、2.7mm）！　しかも二八！！！！

だが、それよりなにより……粗挽き！　私、実は、「粗挽き」って言葉に弱い……！　ソーセージもハンバーグも粗挽き希望！！！！

なんという羽鳥キラーな商品だろうか……。完全に私を落としに来てる……と、勝手に思い込みながらパッケージをひっくり返したその瞬間！

ちょ！

おわかりいただけただろうか？

ちょっ……！

赤文字で……

「④最後に氷水でしっかりと麺をシメて下さい」

その下に書いてある英語でも……

「Put in ice water for 10 sec .for firm texture.」（しっかりとした食感にするには、氷水に10秒間入れます。）

ice water（氷水）赤文字〜！！！！

サー・イエッ・サー！（Sir, yes, sir!!）

デカい鍋に湯を沸かし……

5分位ゆでて……

冷水でよく洗い……

氷水で10秒シメる！

サー・完成・サー！

して、そのお味は──

隊長！　コリコリであります！　キュっとシマってて、食感最高であります！

乱切りで、食感ヨシの、食感タノシイの、のどごしヨシの、蕎麦の味もハンパなく……

ただただウマイ……！

これはホントにウマイとしか言いようがない……！　もうそれ以外の言葉も批評も必要ない。

「家そば」か「外そば」かなら「世界」っしょ。それは言い過ぎとしても、これもう「店」っしょ。

もしもお店の「天せいろ（天ざる）」とかにこの蕎麦が使われていても、誰も何も文句言わないと思う。ていうか干し蕎麦だなんて気づかないと思う。

「氷水シメ10秒」が、これほどまでとは……。

……って……

「もしや」と思って過去の奈良屋蕎麦を確認してみたところ、

現在ランキング2位の『大内宿場そば』にも……

過去、長らくランキング1位を死守していた『乱切り二八』にも……

「松（文句なしの外）」の『奥会津山芋蕎麦』にも……

同じく「松」の『奥会津蕎麦』にも『挽きたて二八』にも『裁ちそば』にも……

すべてに「氷水」って書いてあった〜〜〜〜！（今まで見落としておりました。すみません！）

だとしたら。

私が心から愛する『乱切り二八』を氷水シメしたら、一体全体どうなっちまうんだ……。

もしかしたらランキングぜんぶ奈良屋になっちまうんじゃなかろうか……。

奈良屋さんには申し訳ないが、ある意味、今まで「氷水シメ」を見落としていて逆に良かったのかもしれない。

すでに最強レベルの奈良屋の蕎麦を、すべて正しく「氷水シメ」していたとしたら、おそらく世界の秩序は変わっていたことだろう。

ともあれ今後は、赤文字、見落とさないようにしたい。というか、次から食べる奈良屋の蕎麦が恐ろしい。

ドラゴンボールの「セル完全体」のごとく、「奈良屋完全体」の蕎麦と対峙した時、私は一体、どうなってしまうのだろう……。

執筆：干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo：RocketNews24

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