急速に普及した“生成AI”…アドビ株式会社CDOが語る“生成AI”の懸念に対する対応策とは?「一人ひとりがリテラシーを」
TOKYO FM+2024年11月8日(金)20時50分
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00〜20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。11月2日(土)の放送は、アドビ株式会社のCDO西山正一(にしやま・しょういち)さんをゲストに迎え、お届けしました。
西山さんは、2001年にアドビシステムズ株式会社(現:アドビ株式会社)マーケティング本部に入社。製品担当やAdobe Creative Cloudのマーケティング担当を経て、2017年6月に営業部に異動し、営業戦略部(現:DX 推進本部)の立ち上げに携わります。現在はアドビの直販ビジネスおよび販売戦略立案の責任者として、アドビのDX製品をフル活用してeコマース事業の推進に努めています。
◆アドビの事業部について
まずは、西山さんの業務内容について伺うと、「アドビのビジネスとして、お客さまのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する商材がたくさんありますが、私ども自身が自社技術を使ってDXを推進してきた経緯がありますので、その経験をもとに、お客さまのDXのお手伝いをする役割になります」と解説します。
さらには、「デジタル化にともなって、今までおこなってきた業務を新しい技術に置き換えていくとなると社員の皆さんの知識やスキルも変えていかなければいけないので、それをアドビ自身がどのようにやってきたのか、我々の知見も共有させていただくことでお手伝いをさせていただいています」と補足します。
そんなアドビの事業部は現在、大きく2つに分かれ、ひとつは西山さんが所属しているデジタルメディア事業部。そこではAdobe Photoshop(フォトショップ)やAdobe Illustrator(イラストレーター)、Adobe Acrobat(アクロバット)など、多くのユーザーが使用しているソフトやアプリを運用しています。もう1つはDX事業部で、いわゆるデジタルマーケティング商材を扱っています。
◆近年急速に普及する“生成AI”の懸念点
近年デジタル界隈では“生成AI”が注目されていますが、それについて西山さんは2つの懸念点を挙げます。1つ目は、ここ1〜2年で生成AIが急速に普及し、とても精巧な画像が作られるようになったことで“本物かどうかの真偽がつけられない”という評価が先行してしまった点。もう1つは「生成AIをトレーニングするために大量のデータを学習させる必要があるのですが、そのデータの取り方に懸念があります」と西山さん。
というのも、生成AIにインターネット上のあらゆるコンテンツを学習させることが可能で、それによって他者が権利を持っているコンテンツも学習できてしまいます。「例えば、有名な漫画家さんの絵を読みこむと(生成AIで)そっくりの画像ができてしまう。それって“著作権的に大丈夫だっけ?”というところが、世界的にもはっきり決まっていないところがあります。つまり、“見分けがつかない”という恐怖感に加えて、“このテクノロジーは本当に安心して使えるのか?”という懸念が大きく問われています」と危惧します。
この問題の対策として、「フェイクのコンテンツを見破るのは非常にコストがかかりますが、考え方を逆にして“正当なものを証明する方が早い”という考え方が徐々に広がってきています」と言及。また、絵画などに備わる“来歴情報”をデジタルコンテンツにも付与することが検討されていると言います。
さらにアドビは、有害なコンテンツに対処する団体「コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)」のメンバーとして、さまざまな普及活動に取り組んでいます。
◆アドビの“生成AI”その特徴は?
生成AIについては、アドビからもアプリケーション「Adobe Firefly(ファイヤーフライ)」が2023年夏にリリースされています。これは他の生成AI同様、写真や動画の作成が可能で、「安心してビジネスでお使いいただけることが最大の特徴です」と胸を張ります。
「Adobe Firefly」は権利関係がクリアになっているアドビのストックアーカイブをベースに情報を読み込ませており、権利問題のリスクが可能な限り排除されています。
「アドビでは、商用利用、クリエイターの皆さまが作るコンテンツがビジネスで使えることが何よりも大事と考えて設計しています。もし万が一のことが起こっても、アドビが補償するところまでセットで提供させていただいていますので、安心して使っていただければと思います」と西山さん。
さらに、(Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorなど)既存のアプリケーションにも既に搭載されているとのことで、わざわざ新しいアプリを購入することなく自然な形で利用できるそうです。
◆“生成AI”のメリット・デメリット
ここで、笹川が“生成AIが成熟していくことによるメリット・デメリット”について尋ねると、西山さんは「“便利な機能や製品が出てくると、誰かの仕事が奪われる”とよく叫ばれますが、アドビはそうは考えていません」と力を込めます。
続けて、「クリエイティブにおいて、最終的なアウトプットは製作者の頭のなかにあり、これは人間の仕事ですよね。我々のツールやサービスができることは、その頭のなかにある完成図を早く正確に再現するお手伝いしかできないんです。そのためにいろいろな機能を提供しており、生成AIもそのツールの1つでしかない、というのがアドビのスタンスです」と答えます。
一方、アメリカ大統領選挙では“生成AIによるディープフェイク画像”が問題になっています。それだけに、前述の“正当なコンテンツであることを証明する”という重要性を改めて訴え、「日本でも、大きな放送局が賛同の意思を示していただいていますので、きっと、これから多くのメディアが賛同してくださる流れになると期待しています」と今後の展望を述べます。
最後に「ディープフェイクが溢れるこの世の中で、我々が声高に言わないといけないことは、“一人ひとりがリテラシーを高く持たないといけない”ということが必ずセットになっています。SNSにアップされた画像を拡散するとき、“これは本当なのか?”と一度落ち着いて考える意識を持たないといけませんが、それを全員が必ずできるわけではない。それだけに、現在は“誰でも簡単に確認できる技術サポート”が実際に求められていると思っています」と話していました。
次回11月9日(土)の放送は、引き続き西山さんをゲストに迎えてお届けします。生成AIと共存する未来についてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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11月2日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2024年11月10日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
西山さんは、2001年にアドビシステムズ株式会社(現:アドビ株式会社)マーケティング本部に入社。製品担当やAdobe Creative Cloudのマーケティング担当を経て、2017年6月に営業部に異動し、営業戦略部(現:DX 推進本部)の立ち上げに携わります。現在はアドビの直販ビジネスおよび販売戦略立案の責任者として、アドビのDX製品をフル活用してeコマース事業の推進に努めています。
◆アドビの事業部について
まずは、西山さんの業務内容について伺うと、「アドビのビジネスとして、お客さまのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する商材がたくさんありますが、私ども自身が自社技術を使ってDXを推進してきた経緯がありますので、その経験をもとに、お客さまのDXのお手伝いをする役割になります」と解説します。
さらには、「デジタル化にともなって、今までおこなってきた業務を新しい技術に置き換えていくとなると社員の皆さんの知識やスキルも変えていかなければいけないので、それをアドビ自身がどのようにやってきたのか、我々の知見も共有させていただくことでお手伝いをさせていただいています」と補足します。
そんなアドビの事業部は現在、大きく2つに分かれ、ひとつは西山さんが所属しているデジタルメディア事業部。そこではAdobe Photoshop(フォトショップ)やAdobe Illustrator(イラストレーター)、Adobe Acrobat(アクロバット)など、多くのユーザーが使用しているソフトやアプリを運用しています。もう1つはDX事業部で、いわゆるデジタルマーケティング商材を扱っています。
◆近年急速に普及する“生成AI”の懸念点
近年デジタル界隈では“生成AI”が注目されていますが、それについて西山さんは2つの懸念点を挙げます。1つ目は、ここ1〜2年で生成AIが急速に普及し、とても精巧な画像が作られるようになったことで“本物かどうかの真偽がつけられない”という評価が先行してしまった点。もう1つは「生成AIをトレーニングするために大量のデータを学習させる必要があるのですが、そのデータの取り方に懸念があります」と西山さん。
というのも、生成AIにインターネット上のあらゆるコンテンツを学習させることが可能で、それによって他者が権利を持っているコンテンツも学習できてしまいます。「例えば、有名な漫画家さんの絵を読みこむと(生成AIで)そっくりの画像ができてしまう。それって“著作権的に大丈夫だっけ?”というところが、世界的にもはっきり決まっていないところがあります。つまり、“見分けがつかない”という恐怖感に加えて、“このテクノロジーは本当に安心して使えるのか?”という懸念が大きく問われています」と危惧します。
この問題の対策として、「フェイクのコンテンツを見破るのは非常にコストがかかりますが、考え方を逆にして“正当なものを証明する方が早い”という考え方が徐々に広がってきています」と言及。また、絵画などに備わる“来歴情報”をデジタルコンテンツにも付与することが検討されていると言います。
さらにアドビは、有害なコンテンツに対処する団体「コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)」のメンバーとして、さまざまな普及活動に取り組んでいます。
◆アドビの“生成AI”その特徴は?
生成AIについては、アドビからもアプリケーション「Adobe Firefly(ファイヤーフライ)」が2023年夏にリリースされています。これは他の生成AI同様、写真や動画の作成が可能で、「安心してビジネスでお使いいただけることが最大の特徴です」と胸を張ります。
「Adobe Firefly」は権利関係がクリアになっているアドビのストックアーカイブをベースに情報を読み込ませており、権利問題のリスクが可能な限り排除されています。
「アドビでは、商用利用、クリエイターの皆さまが作るコンテンツがビジネスで使えることが何よりも大事と考えて設計しています。もし万が一のことが起こっても、アドビが補償するところまでセットで提供させていただいていますので、安心して使っていただければと思います」と西山さん。
さらに、(Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorなど)既存のアプリケーションにも既に搭載されているとのことで、わざわざ新しいアプリを購入することなく自然な形で利用できるそうです。
◆“生成AI”のメリット・デメリット
ここで、笹川が“生成AIが成熟していくことによるメリット・デメリット”について尋ねると、西山さんは「“便利な機能や製品が出てくると、誰かの仕事が奪われる”とよく叫ばれますが、アドビはそうは考えていません」と力を込めます。
続けて、「クリエイティブにおいて、最終的なアウトプットは製作者の頭のなかにあり、これは人間の仕事ですよね。我々のツールやサービスができることは、その頭のなかにある完成図を早く正確に再現するお手伝いしかできないんです。そのためにいろいろな機能を提供しており、生成AIもそのツールの1つでしかない、というのがアドビのスタンスです」と答えます。
一方、アメリカ大統領選挙では“生成AIによるディープフェイク画像”が問題になっています。それだけに、前述の“正当なコンテンツであることを証明する”という重要性を改めて訴え、「日本でも、大きな放送局が賛同の意思を示していただいていますので、きっと、これから多くのメディアが賛同してくださる流れになると期待しています」と今後の展望を述べます。
最後に「ディープフェイクが溢れるこの世の中で、我々が声高に言わないといけないことは、“一人ひとりがリテラシーを高く持たないといけない”ということが必ずセットになっています。SNSにアップされた画像を拡散するとき、“これは本当なのか?”と一度落ち着いて考える意識を持たないといけませんが、それを全員が必ずできるわけではない。それだけに、現在は“誰でも簡単に確認できる技術サポート”が実際に求められていると思っています」と話していました。
次回11月9日(土)の放送は、引き続き西山さんをゲストに迎えてお届けします。生成AIと共存する未来についてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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11月2日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2024年11月10日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
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