【スーパーナンペイ事件25年目の真実】 指紋の男、不審な銃弾、アノ事件との関連… 「平成3大未解決事件」の闇に作家・沖田臥竜が迫る!
〜裏社会や警察事情にも精通する作家・ジャーナリストの沖田臥竜による緊急掲載シリーズ・最も不可解で謎に満ちた未解決事件~
(前編はこちら)
■3つの犯人像 —— その1「指紋の男」
長年にわたる捜査において、スーパーナンペイ事件では、事件が大きく動いた瞬間が3回ある。記憶に新しいのが2015年。現場に残されていた粘着テープの指紋の採取に成功した時だ。各メディアも、一斉にその模様を報じている。
被害者2人を縛りつけていた粘着テープはニチバン社製で、事件の約2カ月前から、東京、埼玉、千葉、神奈川、山梨のコンビニエンスストアなどで販売されていた。事件発生時に、粘着テープに指紋の一部が残されていることは発見されていたものの、当時の技術では、その指紋を検出することができなかった。それほど粘着テープに残された指紋の検出は困難だったのだ。しかし、警視庁は2010年以降、特殊な液体や剥離剤を使うなどの試行錯誤の上、ついに粘着テープに残された指紋を検出することに成功したのである。
そして採取した指紋が、捜査の進展をもたらすことになる。1人の男が捜査線上に浮上したのだ。
警視庁が検出した指紋を警察庁の指紋データベースと照合した結果、事件当時、多摩地区に住んでいた男のものとほぼ一致したのだ。捜査本部が色めき立ったことは想像に難くない。
だが、決定的な問題があった。指紋は、特徴となるべき12点全てが一致して初めて同一人物と認定できることになっている。この男については、そのうちの8点しか一致しなかったのだ。ただ、残りの4点が一致しなかったわけではない。検出された指紋が不鮮明過ぎて確認しきれなかったのだ。
当時マスコミでも報じられた通り、8点でも一致すれば相当高い可能性で特定されたと見てよいだろう。だが、該当した男はすでに病死していた。この男は生前、タクシードライバーなどの仕事をしながら、暴力団関係者との交友関係のほか、拳銃などを入手できると周囲に吹聴していたという。
「限りなく怪しい」
証言を集めた捜査員らがそう思うのも無理はなく、こうした情報を入手したマスコミが、事件解決を見据えて報じたのももっともである。
だが、加熱するかと思われた報道は、しばらくすると一気に鎮静化し始める。その理由は、あくまで12点の指紋線が一致しなければ法的な証拠能力がなかったことに加え、さらに後の捜査で、事件当時、男には別の場所にいたことを裏付けるアリバイが判明したことにあった。そのアリバイから、少なくとも事件発生の時間帯には、男はスーパーナンペイには来ていないと判断されたのである。
アリバイが成立したことで、男が実行犯である可能性は極めて低くなった。こうして「指紋の男」は、有力容疑者から脱落していったのだった。
だが、警視庁の捜査により、男には、悪事を働く際に相棒としてよく連れ立っていた元同僚が存在することが判明した。そこで、この「指紋の男」と入れ替わるようにして、相棒の男が捜査線上に浮上することになった。
この男は事件当時、粘着テープが販売されていた地域で暮らしていた。当然、このことは警察も把握しており、男に関して捜査が続けられることになった。だが、男が事件に関わっていたとする証拠はいまだ何も見つかっていない。
結果として、「指紋の男」と「相棒の男」の犯人説は、今も潰しきれていないままとなっている。「指紋の男」はアリバイがあるので実行犯ではないが、事件に関わっていなかったとも断言できない。「相棒の男」も怪しくはあるが、証拠はない。白とも言えないが、黒とも断言できない。ゼロとは言い切れない可能性が、そのまま残っているということだ。
■3つの犯人像 —— その2「警察庁長官狙撃事件との関連」
そもそも、このスーパーナンペイ事件で捜査が難航した大きな理由は、遺留物の少なさにあるだろう。同じく「平成三大未解決事件」と呼ばれる世田谷一家殺害事件のように、現場に犯人の指紋や血痕、遺留品が大量に残されていたわけではない。犯人が、犯行現場となったスーパーの事務所に滞在していた時間も、せいぜい5分程度。犯人に直結する遺留品が残りにくい状況ではあった。
粘着テープ以外に事件現場に残された物といえば、殺害に使用された銃弾と、10カ所の足跡だった。
ただ、いくら少なくても、遺留物から犯人を追っていくのが捜査である。
まず、警視庁が着目したのが、検出された足跡だった。跡が残されていた床の付着物を調べた結果、微細な鉄分と粘土が採取されており、溶接作業に従事していたか、もしくは鉄工所などに出入りしていた可能性があることがわかったのだ。そして、靴底は広島県内のゴムメーカーが作ったものだということも判明した。この靴底は、運動靴など30種類に使われており、多摩地区では当時、パルコ吉祥寺店、調布店などで1万〜1万5000円程度で販売されていることまで追跡できたのである。
そして、もうひとつの重要な遺留品が、銃弾である。拳銃から放たれた銃弾は、回転しながら飛ぶのだが、発射される際、銃弾には線条痕という痕跡が残る。銃口を抜ける際に銃弾につく細かな線上の傷のことだが、ここから凶器とされる拳銃を特定することも可能なのだ。
凶器となったのは、現場に残された銃弾から、すぐに38口径の回転式拳銃と判明している。そして、線条痕などから、フィリピン製のスカイヤーズ・ビンガムであることが特定されたのだが、事態はここで、思わぬ方向へと進むことになる。
きっかけは、スーパーナンペイ事件から7年後の2002年11月。名古屋市内で現金輸送車が襲撃され、犯人が現行犯逮捕されたことだった。
捕まった犯人の名前は、中村泰。この男、実は東京で起きた國松警察庁長官狙撃事件で一時、有力容疑者として浮上した男であった。
奇しくも、スーパーナンペイ事件と國松警察庁長官狙撃事件は、同じ年の1995年に発生している。
振り返ってみても、1995年という年は、日本が大きく揺れた年だった。1月17日には、死者6434名、行方不明者3名、負傷者4万3792名という犠牲を出した阪神・淡路大震災が発生し、3月20日には死者13人、負傷者約6300人という犠牲を出したオウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた。そのさらに10日後には、國松孝次警察庁長官狙撃事件(2010年3月30日時効が成立)。そしてスーパーナンペイ事件と、全てがこの年に重なったのであった。
また、司法にとっても、この年に起きた事件がひとつの分かれ目となっている。
2010年4月27日、刑事訴訟法が改正されたのだ。殺人などによる凶悪犯罪の公訴時効が廃止されたこの改正法は、異例の即日施行となった。この日までに時効を迎えていなかった対象事件は時効が撤廃されたのである。奇しくも前月3月30日に、國松警察庁長官狙撃事件が15年という時効を迎えたばかりだったが、その4カ月後に起きたスーパーナンペイ事件に対しては時効がなくなったのである。
國松警察庁狙撃事件に関して、今もなお自身の犯行だと訴え続けている男が、前述した中村泰だ。
現在、岐阜刑務所に服役中の、その中村泰が、スーパーナンペイ事件の捜査線上に浮上してきたことがあったのだ。
理由は、2002年の逮捕後、中村泰の関係先を捜索したところ、東京都内と大阪府内の貸金庫などから14丁の拳銃が発見されたことにあった。押収された拳銃は、すぐさま警察庁科学警察研究所で詳しく分析された。そして、そのうちの1丁の線状痕と、スーパーナンペイで殺害に使用された拳銃の銃弾のそれが酷似していることが確認されたのだ。そのため、中村泰がスーパーナンペイ事件の有力容疑者として急浮上したのである。
だが、ここで再び問題が浮上する。線条痕はあくまで酷似であって、一致ではない。つまり、決定的な証拠とはならなかったのだ。
その後も、中村泰に対する捜索は続けられた。その中には一部、中村泰犯人説を有力視する声がありはしたものの、最終捜査で「中村泰はスーパーナンペイ事件には関与していない」ということで、ほぼ結論づけられることになったのであった。
ではいったい、誰がスーパーナンペイ事件を引き起こしたのか。
※ 後編に続く(29日16時に配信予定)
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