なぜ「光るベンチ」は、阪大に現れたのか? 販売元で現物も見てきた
大阪大学吹田キャンパスの産業科学研究所前に、2017年10月、謎の「光るベンチ」が突如現れた。ライトアップされているのではなく、ベンチ全体が光を放っている姿は存在感がある。
その登場に驚いたツイッターユーザーの投稿は多数リツイートされ、大きな話題を呼んでいる。そこでJタウンネットは、大阪大学の産業科学研究所(以下、産研)と、その「光るベンチ」販売元のラボ・デザイン・システムズおよびヤマト科学に取材し、話を伺ってみた。
研究所前に設置した理由
Jタウンネットの取材にメールで応えてくれたのは、産研所長の中谷和彦教授。光るベンチ導入の背景には、同研究所とヤマト科学が共同研究を行っているため、以前からつながりがあったことがあるという。
大学付属の研究所が税金で賄われていることから、納税者である国民からの理解を得る必要があり、それを達成するための活動(アウトリーチ活動)の一環で設置したという。
設置された場所は、春には学内外から人々が訪れるという研究所前の枝垂れ(しだれ)桜の下で、
「アウトリーチ活動の基本は、研究所を見て、知って頂くことが第一。桜の季節には桜と光るベンチの不思議な組み合わせを、また、年中を通して光るベンチを楽しんでいただけるのではないかと思っています」
と語った。
ベンチが光る時間帯は、日没から22時までで、冬は長い時間その様子を楽しめそうだ。
ありそうでなかった「全体が光る」ベンチのポテンシャル
そんな光るベンチこと「Lightbench」(ライトベンチ)を日本に持ち込み、販売を手掛けているのが、ヤマト科学のグループ企業、ラボ・デザイン・システムズだ。本社(東京都江東区)に現物があると聞き、足を運んでみた。
担当者の川田利之営業本部長によると、新たな製品を探してドイツに足を運んだ際、目に留まったのがこのベンチだったといい、様々なシチュエーションで活躍できるポテンシャルを感じているという。
「全体が光るというのは、ありそうで無かったもの。おもちゃっぽいかも知れないけど、見ているとワクワクするし、見た人に笑ってもらえるんです」
アプリと連携することで色、明るさ、パターンを自在に設定が可能で、水族館や航空機の風防にも使われるような素材を使っているため、LEDの光を通しつつも耐荷重は450kgと非常に堅牢な作りになっており、「割れることはほぼ無い」という。
川田さんは、その使い道について、
「たとえば街灯代わり、寺社仏閣のライトアップ、ビアガーデンの椅子やテーブルとして使うと面白いんじゃないか、なども考えています」
と語った。光るベンチが生まれたドイツでは、実際に公園や広場で導入されており、街並みに溶け込みつつも不思議な雰囲気を醸しているという。
色が自在に変えられる特徴から、例えば阪大のベンチなら、枝垂桜が満開になる春にはそれに合わせたカラーリングに出来るなど、四季折々で風景が大きく変わる日本においても風景を引き立たせることができるのではないかと期待しているという。
また、阪大以外にもすでに複数の施設、会社での導入が進んでいるという。近いうちに様々な場所を見かけるようになるかもしれない。
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