「キャンプで食料を忘れ、地元の老人に分けてもらおうとした私。ジャガイモをタダで貰って戻ろうとすると『ちょっと待ち...』」
シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Kさん
50年ほど前、高校3年生だったKさんは夏休みに友人と北海道までキャンプに行った。
目的地に着いた頃には日は暮れており、そこからテントを張った2人。そこで、食料を持っていないことに気付いて......。
<Kさんの体験談>
今から50年ほど前のことです。
私には父親がおらず、母親一人に育てられ、中学卒業後は定時制高校に通いながら、家計を助ける為に就職しました。
高校3年生の夏、会社から夏休みと有給休暇をあわせ10日程の休みを頂いた私は、毎年一緒にテントを背負って日本各地を訪れている友人と、北海道周遊の計画を立てました。
日が暮れた砂浜、遠くに明かりのついた家
学割を使い鈍行列車で浜松市から北海道網走へ。
何十時間後かな? 網走駅で列車を降り、キャンプの目的場所である原生花園の砂浜についたのは、日の落ちたころ。
そこにテントを張り、落ち着く間もなく、その日の晩の食料を買うのを忘れている事に気がつきました。
遠くに、小さな明かりのついた家らしきものが見えます。私は友達をテントに残し、砂浜を歩いてその家に向かうことにしました。
家に着き、声を掛けると出てきたのは小柄なおばあさん。
何か頂けないか尋ねると、「これくらいしかないよ」と言って、5〜6個のジャガイモを持ってきてくれました。
お礼を言って、お金を払おうとすると...
礼を言い金額を聞くと、「いらないよ」との事。頭を下げ帰ろうとすると、「ちょっと待ち...これも持ってきな...」と言って、紙に包まれた小さなモノもくれました。
テントへ戻り、火を焚き、頂いたジャガイモを茹でました。紙包みを開けてみると、中身は少量のバターです。
星空を眺めながらジャガイモにバターをつけ食べた美味しさは、今でも忘れません。
おばあさん......ありがとう!
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