期待の新星はアジアカップで飛躍できるか?森保ジャパンの”進化”を促す有望株を識者が選出

2024年1月2日(火)16時35分 ココカラネクスト

佐野と鈴木は森保ジャパンのバージョンアップを促せる人材だ(C)産経新聞社、Getty Images

 元日に行われた日本代表対タイ代表、5−0で勝利した日の夜、1月12日から始まるアジアカップの日本代表メンバーが発表された。

 試合日の夜に発表。おそらく招集リストは前もって作成されているので、タイ戦の内容と結果はそれほどリストに影響を与えていないはず。実際、タイ戦が初出場あるいは久方ぶりの出場になった選手は一人もアジアカップの切符を手にすることはなかった。

【関連記事】森保ジャパンはなぜ強くなったのか?破竹の6連勝「以前」と「以後」の差とは

 それでも鈴木彩艶、毎熊晟矢、佐野海舟、細谷真大といった直近の代表活動でじわじわと存在感を高めていた、フレッシュ感のある顔ぶれもある。筆者が特に気になるのは、鈴木と佐野だ。

 その理由は層が薄いから。中盤の守備的ボランチは遠藤航と守田英正が絶対的な存在であり、代えが効かない。攻撃的な中盤としては田中碧や鎌田大地などアジアカップを選外となった選手の他に、南野拓実久保建英、堂安律や旗手怜央など様々な選手がいる。しかし、守備のリーダーとなるべきボランチらしいボランチとなると、多少コンディションが悪くても遠藤と守田に頼らざるを得ない状況が続いている。

 しかし、2022年のカタールW杯では遠藤が脳震盪で出場が危ぶまれ、守田も怪我でドイツ戦に出場出来なかったことを思い返せば、難しいポジションではあるが、バックアッパーの充実は不可欠。そこで2023年は伊藤敦樹や川村拓夢、川辺駿など様々な選手がテストされたが、各自の怪我やタイミングもあり、最終的にアジアカップに残ったのは佐野だった。

 タイプ的には遠藤に近い選手。ボールを奪う力が高く、球際に強みがある。間合いを詰めた後、相手がターンやフェイントでかわそうとしても、佐野はまるで力士のすり足のように低い姿勢からの粘り腰でセカンドアクション、サードアクションで方向転換し、相手を追い詰める。

 一列前のインサイドハーフ辺りならともかく、これまでほとんど現れなかったネクスト遠藤の候補として、佐野が名乗りを挙げられるか。その片鱗がアジアカップでは見られるかもしれない。

 ボランチの他には、GKも層が薄い。いや、こちらは本命がないと言うべきか。

 カタールW杯でGKチームを組んだ権田修一、シュミット・ダニエル、川島永嗣のうち、今回のアジアカップに残っている選手は一人もいない。森保監督は新たなGKの発掘を進めており、今回は前川黛也、鈴木、野澤大志ブランドンの3人を招集した。

 最大の注目はタイ戦にも出場した鈴木だろう。マンチェスター・ユナイテッドからも獲得の打診を受け、現在はベルギーのシント・トロイデンでプレーする22歳の逸材だ。

 190センチの長身に加え、体重も98キロと重い。その鍛えられた身体は相手との接触を恐れず、ゴール前の混戦にも積極的に飛び出して、相手を吹き飛ばしながらセービングする。日本人離れしたプレーができるGKだ。まだシーズンを通してクラブで正GKに君臨した経験がないため、状況判断などは経験を積んで伸ばす必要はあるが、未来に向けて早めに確立させたい逸材に違いない。

 また、鈴木はシンプルなキック力も魅力の一つ。日本のビルドアップに対してハイプレスをかけられたとき、何時でもショートパスでかわせるわけではない。時折は長いボールを蹴って、相手の矢印を大きく変えなければならない場面が必ずある。そんなとき、ゴールエリアから敵陣の可能な限り深くに、ポーンと大きくロングキックできるGKがいたら。

 第2次森保ジャパンは伊東純也、三笘薫といったスピードスターの両ウイングを看板にしている。彼らが両サイドに張った状態で、ハイプレスに来た敵の背後、敵陣のスペースへロングキックすれば、伊東や三笘の能力は大きく生きる状況を作り得る。

 鈴木と佐野は、W杯優勝を目指して上昇を続ける森保ジャパンにおいて、新たなピースになれる存在だ。アジアカップでの活躍を楽しみにしたい。

[文:清水英斗]

ココカラネクスト

「アジア」をもっと詳しく

「アジア」のニュース

「アジア」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ