選手主導の『ボトムアップ』方式に自信を深めた堀越 佐藤監督「勇気や希望を与えることができた」

2024年1月6日(土)22時13分 サッカーキング

悔しいベスト4敗退となった堀越[写真]=金田慎平

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 第102回全国高校サッカー選手権大会・準決勝が6日に行われ、堀越(東京A)は近江(滋賀)に1−3で敗れ、準決勝敗退が決定した。試合後、堀越の佐藤実監督が記者会見でメディアからの質問に回答した。

 悔しいベスト4敗退となった堀越だが、チーム史上初の準決勝でも、選手たちは堂々たるプレーを見せてくれた。試合後、佐藤監督も記者会見場で清々しい表情を見せ、選手たちについて誇らしげに語った。

「初めて国立競技場に来て、堀越として試合が出来て、近江さんという素晴らしいチームと対戦が出来て、試合には負けましたが、晴れ晴れしい気持ちがあります。彼らにまずしっかり感謝したいと思います。ここに立つまでに多くの人が支えてくれて、時間をかけてくれたことが、間違っていないのではないかなと、今はすごく感じています」

 普段、堀越は東京都リーグ(T1リーグ/高円宮杯 JFA U-18 サッカーリーグ)に所属しているが、今大会は高円宮杯でカテゴリーが上のプリンスリーグ勢も倒して、準決勝まで駒を進めた。佐藤監督は『東京都代表』としての意地を見せられたと喜ぶ。

「第100回大会で関東第一さんが新型コロナウイルスの影響で(準決勝に)出場できなかったことを踏まえると、開幕戦以外では、東京代表としてこの新しくなった国立競技場のピッチに初めて立たせてもらったと思います。僕らは普段、Tリーグ(都リーグ)で1年間、仲間たちと戦ってきました。『Tリーグでもここまで来れるぞ』というのは見せられたと思いますし、東京都の中でやっている予選やリーグは決してレベルが低いものではなくて、他のチームの選手、指導者の方々にも、勇気や希望を与えることができたのかなと思っています」

 そして、指揮官が同じように喜んでいたのが『ボトムアップ』方式への手応えだ。堀越は選手主導で試合の戦術や対策を考えており、スタメンの最終決定権や途中交代の判断もその代のキャプテンが担う。もちろん、監督も助言を与え、提案も行うが、あくまで『選手主導』で試合を行うスタイルだ。

「ボトムアップでなければ、ここまで来れなかったと思います。全国で4回勝つというのは半端じゃないことだと思います。彼らが自分たちで準備して、僕よりも相手のことを見て、相手選手の話もロッカールームでしていました。みんなで考えたからここまで来れたと思いますし、全然恥じることはないと思います」

 ボトムアップ方式のキャプテンはいわば選手兼任監督のような存在。今年、その役割を担った中村健太について、佐藤監督はこう語った。

「もともとキャプテンタイプの人間かと言われるとそうではなくて、本人もよく自分で言っていますが『ちょっとわがままで、自分本位で、ベクトルが自分に向いてしまう』ような選手でした。ただ、(キャプテンをするなかで)仲間の意見を聞き入れたり、仲間に自分のできないことを託したりだとか、人間的な幅が広がったと思います。この大会を通しても、彼は成長したと感じました。うちでキャプテンをやる選手は、相当な覚悟がないとできないし、そのプレッシャーに押しつぶされそうになる瞬間は何度もあるんですけど、いろいろな先輩が支えてくれたりして、本当に成長しました。今後が楽しみだなと思います。彼だけじゃないですけど、今後の彼らの未来を追っていきたいなと思っています」

 第99回大会に29年ぶりの選手権出場でベスト8に入ってから4年で3回目の出場となった今大会。ボトムアップ方式で着実に強化を進めている堀越だが、今後のさらなる躍進に大きな期待がかかる。

「スタートメンバーを見てもらえばわかる通り、うちは3年生が少ないチームです(※編集部注:準決勝のスタメン11人のうち、2年生が6人、3年生は5人)。3年生は新型コロナウイルス感染症の真っ最中に(高校の)進路を決めないといけなかった世代で、第99回大会の日野翔太(現:拓殖大学/サガン鳥栖内定)たちの代を中学3年生で見ていましたが、その時期にはすでにある程度進路が決まっている状態でした。一方、1年生、2年生は日野たちの代を見てきて、堀越に入ってきた選手たちなので、クオリティの面で(違いが)多かったです。3年生はいないわけではないですが、途中出場の1年生や、2年生が多いという形になっているのだと思います」

 頼れる“キャプテン”中村健太に導かれ、選手権を経験した1年生、2年生がいる堀越。『ボトムアップ』方式の自信をさらに深め、来年は同校史上初の選手権優勝を目指せるはずだ。

サッカーキング

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