ファイナル進出を懸けた“攻撃vs守備”…強みを活かし、勝利をつかむのは?【選手権準決勝/静岡学園vs矢板中央】

2020年1月10日(金)19時0分 サッカーキング

上:静岡学園、下:矢板中央 [写真]=小林浩一、梅月智史

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 1月11日の準決勝第2試合は“元祖・技巧派軍団”の静岡学園(静岡)と伝統的に堅守を特長とする矢板中央(栃木)の対戦となった。

“静学スタイル”を強化する無失点の守備力

 静岡学園は、初出場した76年度大会でテクニックを全面に押し出したサッカーによって準優勝。その後も技巧派チームの先導役となってきた。95年度の選手権で初優勝(鹿児島実と同点優勝)。巧さと賢さ、また個性的な選手たちの力で全国と勝負してきたチームはその後、全日本ユース選手権やインターハイでもファイナリストになっている。

 一方で“静学スタイル”の攻撃サッカーはリスクも伴う。相手に守りを固められ、カウンターやセットプレーで失点して敗れるケースも少なくない。だが、今年の静学はそれを跳ね除ける強さがある。MF浅倉廉、MF井堀二昭、MF小山尚紀というテクニカルな選手たち中心にドリブル、ショートパスで切り崩すスタイルに変わりはないが、攻守で例年と異なる強みを兼備。それが、選手権4試合で15得点無失点という圧倒的な勝ち上がりに繋がっている。

 攻撃面では鹿島アントラーズ内定の高速アタッカー・MF松村優太の存在が大きい。50m走5秒8という快足の持ち主は、一度スピードに乗ると独力で2人、3人とDFを抜き去ってしまう。また、混戦を強引に抜け出す強さも持ち味だ。今大会は無得点だが、相手DFが彼を警戒することで他の選手へのマークが薄れていることも確か。静岡県予選では同じく準々決勝まで無得点だったものの、準決勝、決勝で計3得点を挙げているだけに、本人も「色々な人に大舞台で強いね、と言われるので次は必ず点を獲れるようにしたい」と意気込んでいる。

 また、今大会は守備面での切り替えの速さと奪い返しの良さが光る。4−0で快勝した準々決勝後に川口修監督も「出足のところと、できる限り相手のコートで奪い返すところができていた」と及第点。例年にないほどの守備意識の高さがチームの攻撃力を引き出しているのだ。準々決勝ではケガ明けのFW加納大に代わって出場中のFW岩本悠輝がハットトリックを達成。ニューヒーローも出現した静岡学園は、目標の全国制覇へ堂々の進撃を続けている。

“谷間の世代”が見せた驚異の粘り強さ

 一方の矢板中央は全国大会に入ってから状態を一気に向上させてきているチームだ。一昨年度は選手権ベスト4で昨年度もベスト8。過去10大会で8強以上が4度と全国上位に食い込んでいるが、今年は高橋健二監督が「今年は誰もが難しいだろうと……」と振り返る世代。プリンスリーグ関東優勝、選手権8強を記録した昨年からレギュラーが全て入れ替わった今年は、プリンスリーグ関東で最下位に沈み、選手権予選は優勝こそしたものの、全試合で失点している。

“谷間の世代”とも評されたチームは選手権での苦戦が予想されたが、大分(大分)との初戦をPK戦の末に勝利すると、2回戦も大手前高松(香川)に2−1で勝利。そして、勝ち上がりながら守備力が向上したチームは鵬学園(石川)に1−0で勝ち、予選から通じて初となる完封勝利を果たす。続く、四日市中央工(三重)戦も完封勝利。大黒柱のCB長江皓亮主将、CB矢野息吹を中心にハードワークとゴール前で身体を張ることを徹底し、1年生GK藤井陽登がファインセーブでゴールに鍵をかけている。

 指揮官も「彼らはひたむきに去年の先輩たちに追いつき、追い越そうということでやっていた。(その結果)粘り強さが出たと思いますね」という守備の安定。静岡学園との戦いでは、ボールを保持されて押し込まれることが予想されるが、粘り強くゴールを守り、ロングボールやセットプレーから攻め返す。そして、いずれも今大会3ゴールと好調なFW多田圭佑やMF左合修土が貴重な一撃を決めて、白星を引き寄せたいところだ。

 静岡学園が勝てば静岡県勢では07年度大会の藤枝東以来12年ぶり、同校にとっては24年ぶりとなる決勝進出。矢板中央が勝てば、栃木県勢では64年度大会の宇都宮学園(現文星芸大付)以来の決勝進出となる。静岡学園がその攻撃力で王国復活へ王手を懸けるか、それとも矢板中央が堅守で栃木県に半世紀以上ぶりとなる決勝切符をもたらすか。果たして、どちらの特長が上回り、準決勝を制すか——。

サッカーキング

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