モンテカルロ7勝を誇る元王者ローブ「新車に良い感触を掴んでいる」/2022WRC第1戦 事前コメント

2022年1月19日(水)11時53分 AUTOSPORT web

 プラグイン・ハイブリッドシステムを搭載した新型ラリーカーで争われる新時代のWRC世界ラリー選手権が1月20〜23日、モンテカルロで開幕する。モナコとフランスにまたがって行われる同イベントに先立ち、ラリー1規定車で最高峰クラスを戦うMスポーツ・フォード、ヒュンダイ、トヨタの各陣営から今戦に臨むドライバーたちのコメントが発表されている。


“ラリー1”レギュレーションが採用され、従来のWRカーから一新されたハイブリッドマシンでの戦いとなる2022年のWRC。そのオープニングイベントとなるのは、今年もラリー・モンテカルロだ。ただし、今季のモンテカルロはラリーの中心がフランス南部のギャップからモナコへと移り、2021年大会と比較すると約85%が新しいステージとなる。


 各メーカーの新型車両は20日(木)のシェイクダウンから走行を開始し、同日夜に実施されるセレモニアルスタートを経て、夜のチュリニ峠を走るルートを含む計2本のステージで競技をスタートさせる。


 翌21日(金)はフランスの山岳地帯に合計6本のSS(スペシャルステージ:競技区間)が設定され、今大会最長のステージ距離を走破していくことになるが、日中のサービスを挟まずに競技が続くため、ニューマシンをドライブする選手たちにとってはチャレンジングな1日となる。また、競技3日目もサービスが受けられないなかで計5本のSSで勝負が繰り広げられる。
 
 ラリー最終日の23日(日)は金曜日のステージに近いアントルヴォーの周辺で2本のステージを各2回走行することになっており、最終SS17はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与される“パワーステージ”となっている。4日間で走行するSSの合計距離は296.03km、リエゾンと呼ばれるSS間やSSとサービスパーク間の移動区間を含めたラリーの総走行距離は1511.47kmとなる予定だ。


■Mスポーツ・フォードWRT


●クレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)


「ラリー・モンテカルロに参戦することはつねに何か特別なものがあるが、Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームからの参戦となると、夢が叶ったということに他ならない!」


「チームは『フォード・プーマ・ラリー1』の開発と製作に対して膨大な作業を費やしてきたが、このクルマにはそのことが表れている。ハイブリッド車ということも含めて、僕がこれまでドライブしたラリーカーのなかで間違いなく最高のマシンだ」


「ポール(・ネイグル/コドライバー)と僕はこの挑戦を楽しんでいるし、Mスポーツと、フォードとのこれからの1年に本当に期待している」


●ガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)


「2022年のMスポーツ・フォード・ワールドラリーチームの一員でいることに興奮している。WRCの歴史の中でも、もっとも大きなルール変更を経験することになるからね。チームは新車の開発のために素晴らしい仕事をした。マシンの走行はとても快適だよ」


「ここ数年に比べて、僕たちのマシンの競争力はかなり上がっているはずだと自信を持っている。このクルマがトップに近いところで戦うチャンスを与えてくれるだろうと期待しているんだ」


「2021年シーズンの自分の進歩には満足しているし、2022年に向けてそこから積み重ねていきたいと思っている。昨年は初ステージ優勝まで1秒以内のところまでいった。新パッケージなら間違いなく達成可能なゴールだ。それだけでなく、初表彰台も目指してプッシュしていきたい」


「モンテカルロはつねにトリッキーなラリーであり、チャンピオンシップのオープニングイベントだ。だが、僕はすでに何度かラリーを経験してきたし、新車の感触もとても良いから、この挑戦を楽しみにしている。週末の間にスピードを上げていることが不可欠だ。とくにヨナス(・アンダーソン/コドライバー)と組んで2回目のラリーだからね。『プーマ・ラリー1』へのチーム全員のハードワークに再度感謝したい。モンテでは好結果を出して彼らに報いたい思っているんだ」


●アドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)


「ラリー・モンテカルロではベストを尽くし、マシンの感触をつかんで他のドライバーとのパフォーマンスレベルを把握するつもりだ。モンテカルロはWRCのトップカテゴリーでは初めての経験するラリーとなる。以前、ここではフィエスタ・ラリー2で参戦していたからね」


「当時は初参戦で総合トップ10フィニッシュを飾ったんだ! だから、ここの道路を気に入っている。過去にはかなりのパフォーマンスを発揮できたから、希望を持っているよ」


「ちなみに、誰にとっても新時代ということになるから、マシンの信頼性とドライビングスキルを完璧に合わせる必要がある。そうしてラリーの最後まで優れたパフォーマンスを発揮するんだ。できる限りのベストリザルトを出したいと思っている。何が起きるか分からないからね!」


●セバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)


「ダカールラリーで3週間を過ごした後だから景色が劇的に変わったわけだが、ラリー・モンテカルロのスタートは、とくにWRCが新たなハイブリッド時代に入ることもあってとてもエキサイティングだ」


「マルコム(・ウィルソン/Mスポーツ創設者)のチームとコラボレーションできることも誇りに思っている。彼らと仕事をすることについては、僕のキャリアを通して話し合いが行われてきたが、実現には至っていなかった。この素晴らしいイベントにおいて、とうとうそれを可能にしてくれたMスポーツ、フォード・パフォーマンス、レッドブルに感謝したい」


「このラリーについては、他のドライバーと比べると準備が少なかったのは明らかだが、ハイブリッドが搭載された『プーマ・ラリー1』はすぐにとても良い感触がつかめたし、すべてがまとまっている。今週末は、僕の新しいコドライバーであるイザベル(・ガルミッシュ)と、Mスポーツチームの全員と楽しむことを期待しているんだ」

ローンチイベントでアンベイルされるフォード・プーマ・ラリー1。開幕戦ではクレイグ・ブリーン、アドリアン・フルモー、ガス・グリーンスミスに加えて“レジェンド”セバスチャン・ローブがステアリングを握る
Mスポーツ・フォードWRTの『フォード・プーマ・ラリー1』


■ヒュンダイ・シェル・モビスWRT


●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 Nラリー1)


「モンテカルロでの主な目標は、フィニッシュすることとマシンの経験を積むことだ。完全にドライのイベントになるとは思わないが、完全に雪ということにもならないだろう」


「いつものように、入り混じったコンディションを予想しているよ。そのため、すべてのステージでタイヤ選択を完璧に行うのは非常に難しい。今週末は妥協が重要になる。一番うまく妥協できるドライバーがもっとも競争力を発揮することになるだろう」


「タイヤ選択はそれほど簡単ではない。なぜなら、多くの情報を集め、自分を信じて全力を尽くさなければならないからだ。チャレンジングだが、こうしたコンディションで走行するのは好きだから、わくわくするよ」


●オット・タナク(ヒュンダイi20 Nラリー1)


「モンテカルロに臨むにあたっては、いくつか不確実なことがあると思うから、大きなトラブルなしに走行を続け、ラリーを走り切ることが重要だ。そうしてできるだけ経験を積む。それが優先事項だ」


「ラリー・モンテカルロは、純粋なパフォーマンスだけが重要なのではなく、信頼性と細かな決断が大事なんだ。もちろん今週末は上位でフィニッシュしたいし、チャンピオンシップのために多くのポイントを獲得したい。暗闇のなか、新車での最初のステージは間違いなく冒険になるだろう」


●オリバー・ソルベルグ(ヒュンダイi20 Nラリー1)


「自分にとって初めてのWRCシーズンをモンテカルロで始めるのはすごくエキサイティングだろうね。僕たちはこのイベントに対して現実的な予想を抱いていると思う。僕たちにとってもっとも重要なことは、フィニッシュして、できる限りチームの役に立つことだ」


「ラリー・モンテカルロはあらゆることが起こり得るイベントだ。ステージは雪で始まり、ターマックで終わるかもしれない。とても面白くて予想がつかないかたちで、シーズンが新車とともに始まる。でも本当にエキサイティングでもあるよ」


「慣れるまでに多少の時間がかかることは分かっているが、チームには最高のドライバーたちがいるから、彼らから学ぶことができる」

ヒュンダイ・モータースポーツのドライバーたち。左からダニ・ソルド、オット・タナク、ティエリー・ヌービル、オリバー・ソルベルグ。開幕戦にはソルド以外の3名が参加する
ヒュンダイ・モータースポーツが発表した新型WRCマシン『ヒュンダイi20 Nラリー1』


■TOYOTA GAZOO Racing WRT


●エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)


「WRCという非常にエキサイティングな競技で、また新たなクルマで挑戦をするのがとても楽しみなんだ。トヨタGRヤリス・ラリー1を最初にテストした時から、クルマは順調に進化してきたが、モンテカルロが始まるまでは、ライバルとの相対的な力関係を知ることは不可能だ。いろいろなことが変わり、白紙状態からのスタートになる」


「開発し尽くされ、すべてがとてもイージーに感じられるようになっていたクルマから乗り換え、未知なる世界に飛び込むことは簡単ではない。ハイブリッドシステムによるパワーアップは大きな違いであり、それをどのように管理するかが、いくつかの状況において非常に重要になるだろう」


「テストではすでに多くのことを学んでいるし、モンテカルロを皮切りに、1年を通して多くを学び続けることになると思う。とはいえ、モンテカルロは天気に大きく左右される運試しのような要素もあるラリーだし、今年は起点が南に移るため、多くの新しいステージや異なる地形と対峙することになる」


●カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)


「新しいクルマのフィーリングは良いし、良い準備もできている。クルマが新しくなるときはつねに多くの作業や改善すべき課題に直面するものだが、自分たちは順調に進化させることができたと思っている」


「とくにハイブリッドのブーストに慣れるのは興味深い作業だった。パワーが上がるのは、基本的にはいいことですが、それを使いこなす準備ができていないと少し厄介なことにもなり得るんだ。ドライバーとしては、そのパワーをどう使うかを考えなければならないが、他のドライバーよりもうまく使うことができれば、かなり大きな差をつけられるはずだ」


「今年のラリー・モンテカルロは、非常に特別なイベントになりそうだね。いつだってトリッキーなラリーではあるが今年は新しいステージが多く、マシンも完全に新しくなるのでなおさらだ。また、金曜日と土曜日は昼間のサービスがない長い1日になるので、その2日間を問題なく乗り切ることができれば、上出来といえるだろう」


●セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)


「自分のキャリアにおいて、これまでとは違うステージが始まろうとしている。シリーズ全戦に出場するわけではないので、1年のこの時期としては例年と少し異なる感覚だ。それでも、TOYOTA GAZOO Racingのプログラムに参加することはエキサイティングだし、ラリー・モンテカルロは僕にとっていつだって特別な一戦なんだ。僕は依然として選手であり、勝ちたいと思っているから、ベストを尽くして戦うつもりだよ」


「チームはこの新世代のクルマの準備に一生懸命取り組んできたし、テストをする度にクルマは大きく進化した。12月に3日間、先週も1日、GRヤリス・ラリー1をテストし、モンテカルロのための準備を進めてきた」


「かなり大きく変わったクルマに適応することは、とてもエキサイティングなチャレンジだ。ただし、今年のモンテカルロはこれまで以上に不確実な要素が多いから、誰にとっても大きなチャレンジになると思う」

TOYOTA GAZOO Racing WRTの『トヨタGRヤリス・ラリー1』
縦型のサイドミラーが採用されたトヨタGRヤリス・ラリー1。ライバルのヒュンダイ、Mスポーツ・フォードの新型車両は従来どおり横型だ

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