【アジア最前線:韓国 #13】「日本を恐れる理由はない」…絶対的エースは韓国女子代表を頂点に導けるか

2022年1月21日(金)21時0分 サッカーキング

[写真]=Getty Images

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グループステージ3戦目の日韓戦が山場に
 20日に開幕したAFC女子アジアカップ・インド2022。大会3連覇を目指す日本女子代表(なでしこジャパン)にとって、グループステージ最大のライバルとなるのは韓国女子代表だろう。

 韓国はグループステージをベトナム、ミャンマー、日本の順に戦う。今大会最大の目標はノックアウトステージ上位5カ国までに与えられる2023年のFIFA女子ワールドカップ出場権の確保だが、もう一つの目標に大会初優勝を掲げている。

 女子アジアカップにおける韓国の最高成績は2003年大会の3位で、決勝には過去一度も進出したことがない。前回の2018年大会では日本、オーストラリア、ベトナムと同居したグループステージを1勝2分けとし、日本、オーストラリアと勝ち点で並ぶも、総得点によりノックアウトステージ進出に失敗。プレーオフで勝利したため最終順位は5位だった。

 今大会に臨むメンバー23人の顔ぶれを見ると、欧州組はチェルシーのMFチ・ソヨン、トッテナムのMFチョ・ソヒョン、ブライトンのMFイ・グムミン、そして今冬にマドリードCFFに移籍したDFイ・ヨンジュの4人。そのほか、元INAC神戸レオネッサのMFイ・ミナ、DFチャン・スルギ、DFホン・ヘジなど、国内のWKリーグで9連覇を達成した仁川現代製鉄レッドエンジェルズの選手が中心となっている。

 平均年齢は28.1歳で、30歳以上の選手は10人いる。平均年齢24.8歳、30歳以上の選手が2人のみの日本と比べてベテランが多いメンバー構成と言えるだろう。

 チームを率いるは韓国女子代表初の外国人指揮官で、過去に1.FFCフランクフルト(ドイツ)をUEFA女子チャンピオンズリーグ優勝に導いたイングランド出身のコリン・ベル監督だ。

 そのベル監督率いるチームの2021年の公式戦成績は8試合3勝2分け3敗。中国と対戦した4月の東京オリンピック・アジア予選プレーオフではホームで1ー2と敗れ、アウェーでは2ー2と引き分けるも2戦合計スコア3ー4で五輪初出場を逃した。

 その後、9月のアジアカップ予選はモンゴルに12ー0、ウズベキスタンに4ー0と快勝。10月にはFIFAランキング1位のアメリカとアウェーで親善試合を行い、第2戦では0ー6と敗れるも、第1戦はスコアレスドローに持ち込むなど粘りを見せた。11月にはホームでニュージーランドと対戦して1勝1敗だった。

“金メダル”を渇望する絶対的エース
 韓国の今大会最大の山場はグループ最終節の日本戦だ。通算対戦成績では4勝10分17敗と大きく負け越し、前回のアジアカップでは0ー0で引き分け。直近に対戦した2019年のEAFF E-1サッカー選手権では後半終了間際のPKで0ー1と敗れた。最後の勝利は2015年の東アジアカップ(現:E-1選手権)までさかのぼるが、ノックアウトステージ進出のためにも負けられない戦いとなる。

 そんな因縁の“日韓戦”に向けて燃えているのが、かつてINAC神戸でプロデビューし、韓国の絶対的エースとして君臨するチ・ソヨンだ。「日本とは会ってはならないところでいつも顔を合わせる。日本はグループ1位通過のために必ず勝たなければならないチーム。自分たちが日本を恐れる理由はない」と、彼女が並々ならぬ覚悟を見せるのには理由がある。

 チ・ソヨンは2006年の史上最年少A代表デビュー(15歳251日)から現在まで長くプレーしているが、これまでただの一度も代表で優勝したことがないからだ。

 A代表出場試合数は歴代2位の「131」を数え(最多はチョ・ソヒョンの133試合)、59ゴールの数字は男女代表合わせて最多(男子はチャ・ボムグン氏の58ゴール)。INAC神戸時代はなでしこリーグ3連覇、2014年から所属するチェルシーでは背番号10をつけ、FA女子スーパーリーグ(イングランド女子1部)優勝4度を経験している。

 韓国サッカー協会が選ぶ女子年間最優秀選手に過去6度選ばれ、昨年3月には韓国プロサッカー選手協会の共同会長に就任するなど、今や女子の枠を超えて名実ともに韓国サッカーを代表する選手の一人となった。

 だからこそ、「代表で多くの大会を戦ってきたが、金メダルを首にかけたことは一度もなかった。クラブでやれることはすべてやった。残る目標は代表で優勝すること」と、代表での初タイトル獲得に並々ならぬ覚悟を示す。

 韓国はインド到着後の検査で選手3人、スタッフ3人から新型コロナウイルスの陽性反応が出るも、陰性が確認された残りの選手、コーチ陣でトレーニングを進めてきた。果たしてエースの悲願は今大会でかなうのか、まずはベトナムとのグループステージ初戦からその戦いぶりに注目したい。

文=姜 亨起(ピッチコミュニケーションズ)

韓国代表の招集メンバー23人は以下の通り。

▼GK
カン・ガエ(世宗スポーツTOTO)
キム・ジョンミ(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)
ユン・ヨングル(慶州韓国水力原子力)

▼DF
キム・ヘリ(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)
シム・ソヨン(世宗スポーツTOTO)
イ・ヨンジュ(マドリッドCFF/スペイン)
イム・ソンジュ(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)
チャン・スルギ(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)
チュ・ヒョージュ(水原都市公社)
ホン・ヘジ(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)

▼MF
クォン・ハヌル(報恩尚武)
キム・ソンミ(世宗スポーツTOTO)
パク・イェウン(慶州韓国水力原子力)
ヨ・ミンジ(慶州韓国水力原子力)
イ・グムミン(ブライトン/イングランド)
イ・ミナ(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)
イ・ジョンミン(報恩尚武)
チョ・ミジン(高麗大学)
チョ・ソヒョン(トッテナム/イングランド)
チ・ソヨン(チェルシー/イングランド)

▼FW
ソ・ジヨン(慶州韓国水力原子力)
ソン・ファヨン(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)
チェ・ユリ(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)

サッカーキング

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