【コラム】台頭する“二世”たち…クリスティアン・カンナヴァーロ、その実力やいかに
2018年1月23日(火)16時57分 サッカーキング
しかし、注目は前線の選手だけではない。虎視眈々とセリエAデビューを狙っているのが18歳のクリスティアン・カンナヴァーロだ。1999年生まれの代表的な選手といえばミランのGKジャンルイジ・ドンナルンマだが、クリスティアンも同じ99年組である。そして、あのアッズーリのキャプテンも務めたファビオ・カンナヴァーロ氏を父に持つ。2006年のFIFAワールドカップ ドイツで当時7歳だったクリスティアンは、父の雄姿を見つめていた。叔父は昨年末で現役を引退したパオロ・カンナヴァーロ氏。パオロは広州恒大(中国)のファビオ監督の下で指導法を学ぶ選択をした。
父も叔父もそうだったように、カンナヴァーロ・ファミリーの伝統はセンターバック。だが、クリスティアンは右サイドバックを務めている。叔父であるパオロの縁でサッスオーロのプリマヴェーラにいたが、今シーズンからベネヴェントに移籍した。2018年の元旦、自身のSNSにアップされたスリーショットでは、口元から鼻筋にかけてが親子そっくりだ。
もちろん新天地・ベネヴェントでの戦いが厳しくなることは、本人も分かっている。「トリノ、マドリード、ドバイと父は様々な街でプレーしてきたが、その度に僕は父に付いていった。各地で僕もゼロからスタートしなければならなかった。学校にサッカー……。持続力という問題点もある。今のサッカーのプレーについてもそうだ」と自らを冷静に分析した。
ベネヴェントの下部組織で指導するディエゴ・パレルモ氏も「名字は関係ない」と、特別扱いはしない構えだ。2月にはイタリア国外からも数々のクラブが参加するユースチームの登竜門、ヴィアレッジョ・カップが行われる。この大会には多くのスカウトたちが“宝”を発掘すために集まってくる。もちろんクリスティアンがどのようなプレーをするかによって、今後の道のりが変わってくるだろう。
06年に世界一となったイタリア代表の選手たちが、監督として着々とその地位を高めていくのにシンクロして、二世選手たちがトップチームで成長していく。ロシアW杯出場権こそ逃したが、イタリアサッカー界の未来は明るいと信じたい。
文=赤星敬子