LMDhかLMHか。フォード、将来のWEC/IMSAプロトタイプ開発の可能性示唆も「状況を注視する」

2023年1月27日(金)14時45分 AUTOSPORT web

 フォード・パフォーマンス・グローバル・モータースポーツ・ディレクターのマーク・ラッシュブルックによると、フォードは将来的にトップクラスのプロトタイプレースに進出する場合、LMDhとLMHの両方のプラットフォームを検討するという。


 同氏はアメリカ、デトロイトのOEMがIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とWEC世界耐久選手権で、それぞれGTPとハイパーカー・クラスのプログラムを実施することを検討し続けていることを認めた。一方、それらはまだ可能性の段階であり、決定されていないことを示唆している。


 ラッシュブルックは26日(木)、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでSportscar365に対し、「GTコンバージェンス(収束・収斂の意)とプロトタイプ・コンバージェンスの両方で起きていることについて、世界のスポーツカーコミュニティを祝福したい」と述べた。


「このようにWEC、ACOフランス西部自動車クラブ、FIA国際自動車連盟がIMSAと協力しクルマを一緒に走らせることができる事実とその機会を生み出したことは素晴らしく、また、ここで用いられるLMDhやGTPのフォーミュラも素晴らしいものだと思っている」


「プロトタイプクラスでそのようなことが起こるのは、スポーツカーレースにとって素晴らしい時代だと思う」


 フォードは2023年からIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のトップクラスに導入されたLMDhについてどう考えているのか、という質問に対しラッシュブルックは状況を見守り続けていると答えた。


「何ごともそうだが、我々はつねに世界中でどのようなシリーズを利用できるかを見ている」と彼は言った。「私たちは、つねにこの状況を注視しているんだ」


 しかしラッシュブルックは、フォードが「文字どおり今すぐ」プログラムを開始するのであれば、2024年のデビューは「時期尚早」であると述べたが、メーカーが実際に開発中のプロジェクトがあるかどうかは明らかにしなかった。


「私たちにとって多くのことがあり、それらはすべて良いものだ」と彼は答えた。


「我々の責任のひとつは、世界のどこでレースをするのがベストなのかを見極めることだ」


「どのレーシングシリーズにもつねに目を向けているが、どれだけ頻繁に見るか、どれだけ近くで見るかの問題だ」。


 ラッシュブルックは、IMSAとFIA/ACOの世界的なコンバージェンスを考えると、LMHマシンを作ることは不可能ではないと強調した。


「もし我々が真剣に決断する段階に入ったとき、あるいは本気で決断を下したとき、その時点になれば我々は両方を公平に見るだろう」と彼は言った。


「今の時点では、どちらかに傾いているとは言えない。私たちはそれらを公平に検討するつもりだ」

フォード・チップ・ガナッシの67号車フォードGT 2019年IMSA第3戦ロングビーチ


■今日のフルEVシリーズでは不十分。現時点ではハイブリッドが適格と判断


 ラッシュブルックは、ABB FIAフォーミュラE世界選手権のようなフル電動シリーズを監視しながらも、フォードがEV技術を「自社の分野で」推進すると決めたことは、哲学の変化をもたらしたと述べた。


「私たちは少しシフトした」と彼は言った。


「2018年当時、私たちは『これからたくさんのフル電気自動車がやってくるから、何かフル電動車のレースをする必要がある』と言っていたんだ」


「そのため、我々はそれを綿密に研究した。しかし、モータースポーツはスペクタクルなんだ。ファンや顧客の関心を引くためのものである」


「残念ながら今日に至るまで、私たちは電動シリーズの中でそれを実現するものはまだないと考えている」


「我々の戦略はNASCAR、マスタングGT3や同GT4、オーストラリア・スーパーカー(SCB)のいずれでも内燃エンジンと関わりながら、私たちのドライバーやパーソナリティを使って電気自動車やデモカーで行ってきたような電動化のストーリーをマーケティングツールとして伝えることだ」


「私たちは、完全にコントロールできる方法で、電動化の話をすることができる。それが、私たちのためになっているんだ」


■WRCではプーマ・ラリー1ハイブリッドがうまく機能


「もしも、フォードにとって魅力的なフル電動化シリーズがあれば、それを見て検討することはもちろん、もしかしたら飛びつくかもしれない」と語ったラッシュブルック。


「先ほども言ったように、今のところ我々は内燃機関を用いるシリーズへの参戦とフルEVデモカーでのPRで満足している。WRC世界ラリー選手権のラリー1では、フォード・プーマでハイブリッド車による競争をしているが、このスポーツのフォーマットではハイブリッドはとてもうまく機能している」


「(ラリーの拠点となる)サービスパークでは、(規則により)フル電動駆動でなければクルマを動かすことができない。だから、サービスパークに来たファンは、驚異的な速さを見せるあのクルマが、電気モーターだけでサービスパークを移動しているのを見ることになるんだ」


「電気モーターによるエクストラパワーがもたらすパフォーマンスは、音も匂いも素晴らしいままだが、従来以上のパフォーマンスを得ることができる。これは私たちのためにあるようなものだ」


「IMSAのGTPは電気モーターからエクストラパワーを得て、これまでより強力なパフォーマンスを得るという点で多くの意味で(ラリー1と)似ている」


「ハイブリッド車は意味あるものであり、それは理にかなっている」

最高出力100kWの共通ハイブリッドシステムを搭載するフォード・プーマ・ラリー1  2023年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ
4つのモーターで合計1973馬力を放つフォードのフル電動プロトタイプカー『プロ・エレクトリック・スーパーバン』

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