なぜソン・フンミンは“劇的PK”を譲ったのか? 本人が明かした舞台裏「監督は『お前が蹴るんだ』と言っていた」【アジア杯】

2024年2月3日(土)16時0分 ココカラネクスト

エースとして獅子奮迅の活躍を見せたソン・フンミン。その最中に彼が見せた振る舞いが話題となっている。(C)Getty Images

 激闘の舞台裏が少しずつ明らかになってきている。

 現地時間2月2日、カタールで行われているアジアカップ準々決勝で、韓国代表はオーストラリア代表に2-1と逆転勝ち。後半アディショナルタイムに得たPKで追いつき、延長104分に勝ち越すドラマチックな形で9年ぶりとなる4強進出を決めた。

【動画】劇的な芸術弾 韓国を救ったソン・フンミンのFKシーンをチェック

 この劇的な一戦で出色の働きを見せたのは、韓国の大黒柱ソン・フンミンだった。後半アディショナルタイム6分に、相手の守備網をかいくぐる果敢なドリブル突破でPKを獲得すると、延長前半14分には芸術的なFKによる逆転弾を決めた。

 まさに「エース」と呼ぶにふさわしい活躍を見せたソン・フンミン。試合後に地元紙『朝鮮日報』などの取材に応じた31歳は、「120分間プレーするのは苦痛だし、簡単じゃない。でも、精神力で乗り越えることはできる。僕らは母国のためにプレーしているのだから、疲れは言い訳にはならない」と断言。2試合連続で120分を戦い抜いた率直な想いを口にした。

 オーストラリアの指揮官であるグラハム・アーノルドが「準決勝進出まであと1分だったんだ」と惜しんだ一戦。まさに紙一重の攻防で気になったのは、韓国が同点にした場面だ。PKを獲得した直後にソン・フンミンは、ファン・ヒチャンにキッカーを譲っていたのだ。

 外せば負けていたかもしれない。自らが生み出した絶好機で、なぜエースはキッカーを後輩に譲ったのか。試合後に意見を求められたソン・フンミンは、こう明かしている。

「監督は僕を見て、『お前が蹴るんだ』と言っていた。だけど、ファン・ヒチャンが『信じてほしい。僕が蹴る』と言ったんだ。僕が欲を出して、蹴ることもできたけど、チームが一つになることが重要だった。それに彼も年齢を重ね、チームで重要な役割を担っていることを見せたかったんだ。チームの助けとなるなら誰が蹴っても構わないと思っている。今は素晴らしいフィニッシュをしてくれて感謝しているよ」

 偉大なる点取り屋の想いは他でもないファン・ヒチャンにも伝わっていた。28歳のアタッカーは、「譲ってくれたことに感謝しかない。自信はあったけど、責任重大だった。韓国にとって重要なPKだったから、より集中した。緊張するより、とにかく入れるという気持ちで蹴った」と語っている。

 若手への影響も考え、チームの命運が懸かった局面で、重役を担わせたソン・フンミン。そんな彼を中心に結束を強める韓国は、日本を含めたライバルにとって実に恐ろしい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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