F1マシンの『軽量化』のため、塗料は最小限。最低重量を下回ることでバラストも使用可能に

2024年2月13日(火)18時0分 AUTOSPORT web

 これまでに発表された2024年仕様のマシンを見ると、色の数が比較的少なく、黒い部分が多くあることに気づくだろう。カーボンファイバーが塗装で覆われておらず、地の面が見えるのだ。確かに、ステークF1の新しいマシンには独特のグリーンが使われ、アルピーヌの新マシンにはピンクとブルーの部分が多くあるが、そのような印象的な色のマシンでさえ、ボディワークの大部分でカーボンファイバーが露出している。その理由はただひとつ、軽量化にある。


 F1の技術者によって、マシンが1kg重くなるごとにラップタイムが0.03秒以上増えるということが長年かけて確立されてきた。フィールドがどれほど拮抗しているかを考えると、このようなわずかなパフォーマンスの低下でさえ、予選Q1またはQ2を通過できるかどうかの違いを生む可能性がある。したがって、上層部からは塗料の使用を最小限に減らすよう指示が下りていた。


 この傾向の始まりに、チームがニス塗装を放棄し、より軽量な合わせ塗料を選択していたということなら、今では誰もが極端な方向に向かっている。あらゆる種類の塗料の使用を必要最小限に抑え、カーボンファイバーを最大限に露出してマシンを走らせるのだ。

ステークF1チームの2024年型マシン『C44』


 マシンをできるだけ軽くして走らせようとするもうひとつの理由があり、これもパフォーマンスの向上に関連している。マシンの重量が最低重量を超えていると、バラストという重要なセットアップツールがひとつ失われる。マシンのアンダーフロアにウェイトを置くことは、チームやドライバーの好みに合わせてバランスを変更する最も簡単で安価な方法だ。というのも、理想的な空力面および機械面のセットアップを維持しながら、数kgを追加することでマシンのハンドリングを調整できるからだ。たとえば、もう少しアンダーステアを起こしたい場合は、マシンのフロントエンドに追加する。


 チームはまた、マシンの色などまったくパフォーマンスをもたらさない領域の重量を可能な限り削り、マシンパフォーマンスを生み出す部品を使用できるようにしたいと考えている。その完璧な例として、アルピーヌF1チームのテクニカルディレクターであるマット・ハーマンは、A524のリヤサスペンションを再設計し、より強力で重くしなければならなかったと説明した。なぜならエキゾーストはプレッシャーの低下を常に伴う曲がったものよりも、完全に真っすぐなものの方がパフォーマンス上の利点があるからだ。そのため現在エキゾーストはリヤサスペンションエリアの上部を通り抜けるようになっている。


 当然ながら、エキゾーストに非常に近くなったことで、高温に対処するために強化する必要があった。そこにウェイトを追加することは理にかなっている。なぜなら、ラップタイム面の不利益よりも、パワーユニットのパフォーマンスから得られる利益が上回っているからだ。いつものようにふたつのコンセプトの間でストップウォッチが決め手となった。


 しかし、ファンはそのような細かい点に興味はない。すべてのマシンに黒い部分が多すぎることについて、FIAに何らかの措置を講じるよう求める声が高まっている。すべてのマシンに黒が多すぎると退屈だと思われるだけでなく、ファンがテレビでレースを見ているときにすべてのマシンを区別するのが難しくなってしまう。昨年はハース、アルファロメオ、アルファタウリを混同することがよくあったが、今年は比較的似たカラーリングのマシンがさらに多くなっている。それはスポンサーにとってもあまり喜ばしいことではないのは確かだろう。

マネーグラム・ハースF1チームの2024年型マシン『VF-24』のカラーリング


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