【金Jコラム】2季連続で“ダブル達成”…リーグ3連覇へ、「相手以上の準備と心構え」で臨む!

2022年2月15日(火)18時5分 サッカーキング

[写真]=金田慎平

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 開幕戦から多摩川を挟んだ先にあるチームが我が街へとやってくる。その名はFC東京。正式に『多摩川クラシコ』としてカウントされるようになった1999年の第1戦から、実にリーグ戦で38度の対戦を繰り返してきたライバル。これまで良い思い出も嫌な思い出も積み重ねてきた伝統の一戦でシーズンをスタートさせることは、今シーズンの幕上げに持ってこいと言っていいだろう。

 川崎FにとってFC東京は近隣のライバルでありながらも切磋琢磨し合ってきた盟友でもある。『多摩川クラシコ』と銘打ってからはホームタウン活動を重視し、手を取り合ってプロモーション活動を実施。クラブ間での戦いを大いに盛り上げるべく、互いに様々な企画を打ち出すことで多くのサポーターに親しんでもらえるような取り組みを続けてきている。

  一方、ピッチに立つ選手たちの雰囲気はまるで違う。隣のライバルチームとあって絶対に負けられないという強い思いを持ち、毎年のように激しい戦いを繰り広げてきた。それはピッチを見れば明らかで、試合開始早々から球際の争いでバチバチなバトルを展開。近年はボールを動かす川崎Fと堅守速攻のFC東京とサッカーのスタイルが大きく分かれているとはいえ、相手が得点を奪えば、こっちも奪い返すという強い精神力を見せ、互いに得点を奪い合う試合も少なくない。

 川崎Fにとって嫌な思い出を挙げるとすれば、多摩川クラシコがスタートするきっかけとなった2006年に敵地で開催された一戦だろう。この試合は前半を3-1でリードしつつ、後半開始早々にも追加点を挙げて3点差に。普通に考えれば、このまま勝利するものだが、そこから怒涛の反撃を受けて4-5の逆転負けを喫した。この屈辱の敗戦を受け、川崎Fは今後正式なライバルとなるように両チームの対戦を『多摩川クラシコ』とするように打診。これが受け入れられ、両者の戦いがそう呼ばれるようになったのである。

 ここから川崎Fにとっては、打倒・FC東京という思いがより一層強まることになる。歴史的逆転負けの翌年、両者の一戦が正式に『多摩川クラシコ』と銘打たれるようになった年は、2試合合計12-2で圧勝を果たした。特に前年に屈辱的な敗戦を喫した味の素スタジアムでの対戦では7-0の爆勝。この試合では25分に鄭大世が先制点を奪うと川崎Fが猛攻を開始し、4分後に再び鄭大世、40分にはCKの流れから箕輪義信が押し込み、そのわずか2分後には鄭大世が決めてハットトリックを達成した。後半に入っても攻撃の手を緩めない川崎Fは、74分にマギヌン、79分には中村憲剛のCKに現在コーチを務める寺田周平が合わせ、トドメは85分にジュニーニョが見事なカウンター。FC東京を相手に例に見ない7-0の大勝劇を演じたのである

 そこからは勝ったり負けたりを繰り返してきた中で、2018年にホームで0-2の完敗を喫してからは負けなしが続いている。2019年以降に至っては相手の堅守を打ち破り、結果・内容ともに完勝。昨季は敵地での初戦を4-2で勝利すると、ホームでの試合も1-0で勝利してシーズンダブルを達成するなど両者の力差をハッキリさせた。ちなみに両方の試合でレアンドロ・ダミアンがゴールを奪っており、エースストライカーの差が両者の結果を左右した形だ。レアンドロ・ダミアンはここ4試合で3つのゴールを決めているため、“ダービー男”と言っても過言ではない。今節もキーマンの一人になるのは間違いない。

 開幕戦で迎える『多摩川クラシコ』は、川崎Fにとって今季を占う意味でも大事な一戦になるだろう。昨季途中に三笘薫や田中碧がチームを去り、今オフには旗手怜央が欧州へ移籍。彼らが抜けたことで新たなチームを作っていかなければいけない状態にいる。特に先日、行われたFUJI FILM SUPER CUPでは浦和を相手に攻撃陣が不発。1試合3得点という目標を掲げる中で、無得点で敗れたことは大きな改善点だ。その敗戦を受け、鬼木達監督はこんな言葉を語っている。

「先に1点を取られて相手の集中力が増したと思っています。我慢強く戦っていこうという雰囲気を感じました。そういうものをリーグの前の真剣勝負の場で感じられたことは、すごく良かった。負けてはしまいましたけど、今年はどのチームもああいう強度、ああいうメンタリティで挑んでくることが伝わってきた。自分たちはそれ以上の準備と心構えが必要。それは改めて僕だけでなく選手も感じたと思う。もう一回、しっかりやっていきたい」

 3連覇を目指す川崎に対し、何としても優勝を阻みたいライバルのFC東京が強靭なメンタリティで挑んでくることは明らか。そんな相手に半端な覚悟で挑めば、簡単に勝ち点は離れていくだろう。内容にこだわる前にまずはピッチで戦う姿勢を見せる。その上で、自分たちのサッカーを展開していく。気持ちと気持ちのバトルで上回った先に、今季最初の勝利が待っている。

文=林遼平

2022明治安田生命J1リーグ開幕戦
川崎フロンターレ vsFC東京(等々力陸上競技場)
2022年2月18日(金)19時キックオフ
DAZNにて独占ライブ配信

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