グリッケンハウス、エンジン改造に着手。WEC/ル・マンで新採用の再生可能燃料に対応へ

2022年3月14日(月)12時28分 AUTOSPORT web

 スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスとそのエンジンサプライヤーであるピポ・モチュールは、2022年シーズンから採用されるWEC世界耐久選手権の新しい100%再生可能燃料に対応するべく、ル・マン・ハイパーカーエンジンの修正に取り組んでいる。


 グリッケンハウスのオーナーであるジム・グリッケンハウスは、彼の組織とピポ・モチュールが、トタルエナジーズが供給するバイオ燃料『エクセリウム・レーシング100』で「もう少し走りを改善するため」にグリッケンハウス007 LMHに搭載される3.5リットルV8ツインターボエンジンにいくつかの変更を加えていることを認めた。


 新しい燃料は今季からWECとELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、ル・マン24時間レースの全クラスで採用される。


 グリッケンハウスによると、WECはLMHメーカーが2021年から2025年までの間に行うことが許される5つの“エボ・ジョーカー”と呼ばれる技術的変化のひとつとして、彼らのエンジン改造がこれに含まれるかどうかを確認していないという。


 仮に認められた場合、昨年WECにデビューしポルティマオ、モンツァ、ル・マンに参戦した同チームのノンハイブリッドLMHにとって最初のエボ・ジョーカーとなる。


 なお今回の変更は、グリッケンハウスがボッシュと共同でブレーキ・バイ・ワイヤ・システムを搭載した後に行われている。このブレーキの仕様変更については007 LMHの性能バランスに関わる議論を経て、FIA国際自動車連盟やACOフランス西部自動車クラブとともに考え出されたものであるため、エボ・ジョーカーとはみなされていない。


「ジョーカーとみなされるかどうかのロジスティクスは分からないが、たしかに我々はエンジンに修正を加えた。それはおもにeガソリンのためだ」とグリッケンハウスはSportscar365に語った。


「我々はそこにもう少し改善できることを発見し、いくつかの修正を加えたいと思っている。ただし、私たちは(セブリングで)それを実行する時間はない」


「しかし、これは本当に(シリーズが)eガソリンを導入した結果であるため、彼らがエボとして捉えるかどうかは分からない」


■グリッケンハウス「ジョーカーだと認識されても問題はない」


グリッケンハウス007 LMHに搭載されたピポ・モチュール製3.5リットルV8ツインターボエンジン

 100%持続可能なバイオ燃料に対応するための改造は、5月上旬にスパ・フランコルシャンで開催されるWEC第2戦での使用に向けて適用されることが理解されている。グリッケンハウスは、ピポ・モチュールが現在LMHエンジンのダイナモテストを行っていることを確認した。


 また、彼はエンジンのキャパシティには変更が加えられていないと付け加えた。


「(変更されるのは)イグニッションや燃料ポンプ、デリバリー装置、そういったものだ」とグリッケンハウス。


「我々が改善できると考えているのは、全体的な応答性と航続距離、いくつかの異なる点火プラグによる燃料効率などだ」


「私たちは多くのエネルギーとダイノでの時間を費やし、自分たちの持っているものに合わせてそれを調整し、昨年のル・マンではとてもよい走りができた。だからそこに戻りたいと思っている。そのためには燃料の量が限られていることを考える必要がある」


「彼らがそれをジョーカーだと認識しても問題はない。彼らが何を決めるにしても……私はそれが『ジョーカーであってはならない』と言っているわけではないんだ」


 LMHのテクニカル・レギュレーションでは、メーカーが「パフォーマンス上の理由から要求された変更」を行うことを認めており、これらは5つの許可されたエボ・ジョーカーとして定義されている。


 ルールブックは、「アプリケーションは、目標とするパフォーマンスの向上、その進化と関連性のある場合は更新されたデータシートを含むすべてのサポート情報を提出する必要がある」と述べている。


 TOYOTA GAZOO Racingはジョーカーの一部を使いトヨタGR010ハイブリッドのアップデートを実施した。一方、アルピーヌ・エルフ・チームのマシンは旧規定のノンハイブリッドLMP1であるため、あらゆるアップデートが許されていない。

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