【J1リーグ2023】湘南4発圧勝のG大阪戦を検証。物を言った町野修斗の守備力

2023年4月3日(月)14時0分 FOOTBALL TRIBE

湘南ベルマーレ FW町野修斗 写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグ第6節の全9試合が3月31日と4月1日に行われ、湘南ベルマーレは1日、本拠地のレモンガススタジアム平塚でガンバ大阪と対戦。最終スコア4-1で勝利した。


今季のホームゲーム初勝利により、リーグ戦2勝2分け2敗の8位に浮上した湘南。ここでは同試合のターニングポイントであるFW町野修斗の良い守備に着目し、また湘南が更なる躍進に向けて改善すべきポイントについても言及する。




ガンバ大阪 GK谷晃生 写真:Getty Images

湘南vsG大阪:試合展開


湘南は持ち前のハイプレスで、G大阪の自陣後方からのパスワークに対抗。攻撃面では最終ラインから日本代表FW町野修斗へのロングパスを多用し、G大阪の前線からの守備を回避しようとする意図が窺えた。


この試合で先制したのは湘南。前半21分、MF阿部浩之のロングパスに反応した町野が、G大阪のGK谷晃生と対峙。弾んだ球の処理にもたついた谷に町野が詰め寄ってマイボールにすると、無人のゴールにシュートを突き刺した。


このゴールで勢いづいた湘南は、その後も町野を中心に攻めたてる。前半38分にも同選手が前線でボールを収め、攻撃の起点に。その後湘南のDF石原広教が敵陣右サイドを駆け上がり、ペナルティエリアへクロスを送ると、アウェイチームがクリアしきれなかったボールを町野が押し込んだ。


前半40分には湘南のMF永木亮太のフリーキックを、相手GK谷が処理しきれず。ペナルティエリア左隅で待ち構えていた町野のループシュートが谷の頭上を通過し、ゴールに吸い込まれた。


同42分にも、MF中野嘉大の左サイドからのクロスに町野が合わせゴールゲット。この日本代表FWの4ゴールで優位に立った湘南が、G大阪の反撃を途中出場のFWイッサム・ジェバリの1ゴール(後半18分)に抑え、白星を飾っている。




湘南ベルマーレ FW町野修斗 写真:Getty Images

湘南を助けた町野の守備力


守備の連動性が高くなかったこの試合の湘南のなかで奮闘したのは、4ゴールを挙げた町野だった。


相手チームのボランチや中盤の底の選手(アンカー)へのパスコースを塞ぎながら、センターバックに寄せていく町野の守備はこの日も自軍の助けに。G大阪のパス回しをサイドへ誘導するうえで、同選手はこの重要なタスクを忠実にこなしていた。


町野の守備力が特に発揮されたのが、相手GK谷からボールを奪った先制ゴールの場面。阿部のロングパスに反応した町野は途中で走る速度を緩め、谷がボールを弾ませるのを誘う。谷が球をバウンドさせた隙に加速し、マイボールにしてみせた。


町野が走る速度を緩めず、トップスピードのままであったならば、谷は迷わずタッチラインに向かってボールを蹴っていたはず。このゴールは昨季まで湘南でプレーした谷の凡ミスと言うより、町野が元チームメイトとの駆け引きに勝ったと表現するのが的確だろう。それまで試合を掌握しきれていなかった湘南は、町野の良い守備から生まれたゴールを圧勝に繋げてみせた。この町野の好プレーが試合の分岐点となったのは間違いない。


湘南ベルマーレvsガンバ大阪、先発メンバー

球際での強度不足の課題も


お馴染みの[3-1-4-2](自陣撤退時[5-3-2])の基本布陣でこの試合に臨んだ湘南は、町野と阿部の2トップがG大阪の中盤の底ダワンへのパスコースを塞ぎながら、アウェイチームの2センターバックに睨みをきかせる。キックオフ直後から、基本布陣[4-1-2-3]のG大阪のパス回しを左サイド(湘南の右サイド)へ誘導していた。


これに加え湘南のMF小野瀬康介がG大阪のDF黒川圭介(左サイドバック)を、石原が相手MFファン・アラーノ(左ウイングFW)を、DF舘幸希が相手MF石毛秀樹(インサイドハーフ)をそれぞれ捕捉。前線や中盤でのボール奪取を狙ったが、湘南の選手たちの球際での強度が、キックオフ直後から不足していた。


象徴的だったのが、G大阪が最終ラインからパスを回した前半3分と5分の場面。どちらのシーンもファン・アラーノに対する石原、石毛への舘の寄せが緩く、G大阪のパスワークを止めきれず。同5分の場面では最終ライン付近へ降りたダワンに対する永木のアプローチも遅れていた。




ガンバ大阪は後半開始から[3-4-1-2]に布陣を変えた

山口監督もハイプレスを反省点に


G大阪が布陣を[3-4-1-2]に変えた後半開始以降も、湘南の守備の強度不足が浮き彫りに。後半12分のG大阪の攻撃シーンでは、左サイドでボールを捌こうとした黒川に対する石原、最終ライン付近へ降りたアウェイチームのMF山本悠樹への舘の寄せが遅れている。ハイプレスを仕掛けるのであれば、相手のサイドバック(ウイングバック)やMF陣への寄せをもう少し鋭くする必要があるだろう。


湘南の山口智監督も、試合後の会見で自軍のハイプレスの強度不足を反省点として挙げている。


「後半に関しては本当にバタバタしましたし、ボールホルダーに対して自分たち(湘南)のスタイルである、自分たちから奪いに行くという部分が多少薄れたところと、そこへの準備がだんだん悪くなっていったと思います。ボールホルダーにいけなくなった、その準備が甘くなった、外されて連動する時間帯が遅れた、距離が間延びしすぎてスプリントの回数が増えたり、距離が増えて体力がなくなったというのが明確な原因だと思います」(湘南ベルマーレの公式ホームページより一部引用)


J1リーグ5位以内フィニッシュを2023シーズンの目標としている湘南にとって、課題が浮き彫りになった一戦と言えるのではないか。

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