F1 Topic:延期続きで大きくなる焦り。風物詩ストーブリーグも重苦しい雰囲気/レース再開への課題(3)

2020年4月13日(月)13時17分 AUTOSPORT web

 4月7日にカナダGPの延期が正式に発表され、4月11日時点でF1の再開は早くとも6月下旬のフランスGP(当初は10戦目に予定)となった。


 3月のオーストラリアで開幕戦が中止された時点では、「8戦目のアゼルバイジャンGPから再開されるだろう」と予測していたF1関係者たちだが、そのアゼルバイジャンGPに続いて、続くカナダGPも延期となり、その焦りは日に日に大きくなっているに違いない。


 すでにマクラーレン、レーシングポイント、ウイリアムズが従業員の一時帰休あるいは給与カットを発表している。チームスタッフの中には、住宅ローンを抱えている者が少なくなく、将来への不安を抱えながら外出自粛を強いられているからだ。


 焦っているのは、チーム関係者だけではない。ドライバーたちも同様だ。というのも、F1のドライバー市場は2021年に向けて今年、大きく動くと思われているからだ。

2021年シーズンに向けて、今年はドライバー市場が大きな動きを見せると思われていたが……


 4月11日の時点で、2021年のシートが確定しているのは、わずか5人しかいない。昨年末にフェラーリがシャルル・ルクレールと契約を延長。その後、レッドブルもマックス・フェルスタッペンとの契約を2023年まで延長したことを発表した。この2人以外では、今年F1に復帰したエステバン・オコン(ルノー)とセルジオ・ペレス(レーシングポイント)、そしてジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)の3名が、現在所属しているチームとの契約が2021年も残されていると言われている。


 つまり、2021年のシート争いは、残る15のシートを巡って繰り広げられるわけだ。その最大の理由は、2021年にF1は大規模なレギュレーション変更を行う予定となっていたからだ。それによって、チームの勢力図が変わることが予想され、チームもドライバーもそれを見極めた上で、契約を見直したいと考えていた。少なくとも、今年の2月のプレシーズンテストまでは……。

2020年シーズンのF1を戦う20名のドライバー


■ドライバー市場を動かす可能性を持つふたり


 しかしその後、新型コロナウイルスの世界的な大流行に伴う混乱により、新しいレギュレーションの導入が、当初の2021年から2022年に延期された。つまり、2021年は現行と同じレギュレーションで製作されたマシンで選手権を戦うこととなる。さらにその2021年のマシンは、パッケージのかなりの部分で2021年末まで開発が凍結されることになる。


 そうなると、少なくともチームは2021年に新たなドライバーと契約するよりも、現在所属しているドライバーとの契約を延長したほうが、マシンづくりやセットアップという面からも安定した成績を望めるため、残留を希望するだろう。しかも、多くのチームがドライバーに対して減俸を提案しており、チーム側から一方的に2020年限りで契約を終了するとは言えない事情もある。


 さらに、F1は2020年にシーズンが再開される保証はない。仮に再開されたとしても、それが秋以降にズレ込めば、年をまたいだ2020-2021年シーズンというスーパーシーズンになる可能性もある。つまり、チームとしてはドライバーはできるだけ、現状維持でいきたい。


 だが、選手生命が短いドライバーの考えは別だ。特にベテランのドライバーにとって『1年』は、重い意味を持つ。その中で、注目されるのがセバスチャン・ベッテルとダニエル・リカルドだ。2人とも、現在のチーム状況に満足していないことは明らかだからだ。もし、彼らが移籍、あるいは引退を決断すれば、ドライバー市場は一気に動き出すことも考えられる。

2020年シーズンのF1を戦う20名のドライバー。バルセロナテスト開始前には、FOMの撮影が行われた


 そして、これはあまり考えたくないが、別の理由でドライバー市場が動く可能性がある。それは、現在の10チームの中から、F1撤退するチームが出てきたときだ。


 F1のストーブリーグはいつの時代もF1の風物詩としてある意味、F1ファンたちの楽しみとなっていたが、今年のストーブリーグはいつもとは少し違う重苦しい雰囲気の中で、ゆっくりと歩み出しそうだ。

バルセロナテストの開始前に行われたFOMの撮影会の様子


AUTOSPORT web

「ストーブ」をもっと詳しく

タグ

「ストーブ」のニュース

「ストーブ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ