チェイス・エリオット、42戦ぶり待望の復活勝利で二度のオーバータイム決着を制す/NASCAR第9戦

2024年4月16日(火)17時12分 AUTOSPORT web

 合計13名のドライバーによる23回のリードチェンジと、うち7名がフタ桁のリードラップを記録するドラマと波乱に満ちた2024年NASCARカップシリーズ第9戦『オートトレーダー・エコパーク・オートモーティブ400』は、終盤に於ける再三のリスタートにも動じず、好調デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)やロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)らの挑戦を退けたチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、待望の復活勝利をマーク。実に2022年シーズン以来42戦目にして待望の今季初優勝を飾った。


 テキサス・モータースピードウェイが誇る1.5マイル“ハイバンク”での週末は、幕開けからやはりシーズン序盤を席巻した実力者たちが牽引する展開に。予選ではカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)を0.003秒差で撃破し、驚異的な3戦連続のポールウイナーに輝いた。


 これで名門ヘンドリックのチームにとっては通算250回目、今季はインディ500への挑戦を控えるラーソンにとってカップ通算25回目の最前列発進となった決勝は、序盤こそ静かな展開で同日最多77周をリードしたポールシッターがステージ1を制していく。


 しかし続くステージ2ではトヨタ陣営がジリジリと優勝戦線に絡み始め、ハムリンを含めクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)、タイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)、さらにマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)らが代わる代わる隊列を率いることとなる。


 だが異なる戦略とピットロードで発生した数多くのトラブルがレース後半の展開に影響を及ぼし、ベルのクラッシュを皮切りに今季のチャンピオンシップをリードするトゥルーエクスJr.も、ホイールの緩みを修正するべく最後のピットストップサイクルで2度の作業を余儀なくされることに。また、残り60周でレディックはレース最大となる6秒強のリードを築いたにも関わらず、左リヤタイヤの作業が遅れて追い上げを強いられる展開となる。


 そして、このレースを通じて序盤からもっとも支配的なドライバーだったラーソンも、作業で右リヤタイヤが脱落して2周のペナルティを科され、残る周回の大半で挽回を強いられる展開となり、リードラップに戻った残り8周の時点で姿勢を乱しウォールにヒット。無念の21位に沈んでしまう。

チェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)はダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)のスピンに巻き込まれつつ6位までカムバック
ポールウイナーのカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)も勝機を逃す結果に
アレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)も負の連鎖が止まらずジョン・ハンター・ネメチェク(レガシー・モーター・クラブ/トヨタ・カムリXSE)と絡む
勝利へあと一歩まで迫った好調デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)も今季3勝目はならず


■エリオットへの“挑戦者”が立て続けに散る


 そんな混沌のなか、都合16回とコーション多発の終盤戦で主導権を握ったのが僚友エリオットで、残り33周のリスタートで先頭レディックとハムリンの2台を“ボトムショット”で仕留め首位へと躍り出る。


 そこへ今季2勝の好調ハムリンに、ステージ2覇者チャスティンが挑んだファイナルステージは、ラーソンを起因とした残り2周のリスタートで9号車エリオット、11号車ハムリンがサイド・バイ・サイドの攻防を展開。しかしサイドドラフトのなかコントロールを失った2番手ハムリンは無念のクラッシュを喫し、勝負はオーバータイムの最終局面に突入していく。


 ここでエリオットの隣に並んだ1号車チャスティンだったが、ホワイトフラッグ突入で背後のウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に“タグ付け”されたチャスティンは、堪え切れずアウトサイドのウォールへ一直線。そのままアンダーイエロー・フィニッシュとなり、この日33周をリードしたチャステインは32位、同37周をリードしたハムリンは30位に終わる結末に。結果、挑戦者2名が立て続けに散ったエリオットが2022年10月のタラデガ以来となる復活の通算19勝目を飾った。


「本当にクレイジーだった。そして僕らのチームをこれ以上誇りに思うことはできないね」と、ヴィクトリーラップではかつて有名レストランチェーン『フーターズ』のスポンサーカラーで戦った名チャンピオン、アラン・デニス・クルウィッキに笑顔で敬意を表したエリオット。


「ああ、これ以上いい気分はないよ。この旅とこの事実には、これ以上感謝してもし切れない。いつでも楽しかったわけではないけれど、仲間たちと仕事をするのは確かに楽しい。僕らは一生懸命、そして本当にうまく一緒に働いてきた。いつだって笑い合って戦って来たんだ!」


 併催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第7戦『スピードキャッシュ・ドットコム250』は、カイル・ブッシュ(スパイア・モータースポーツ/シボレー・シルバラードRST)がコーリー・ハイム(トリコン・ガレージ/トヨタ・タンドラTRDプロ)の挑戦をわずか0.112秒差で退け、同地最多記録タイとなる6回目の勝利を獲得する結果に。


 同じく土曜夜のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第8戦『アンディーズ・フローズン・カスタード300』は、サム・メイヤー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が大ベテランであるライアン・シーグ(RSSレーシング/フォード・マスタング)のラストラップパスを成功させ、こちらもわずか0.002秒差での今季初優勝を飾っている。

最後のリスタートに挑んだロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)もHMSの壁に阻まれる
怪我の欠場から長く未勝利の続いたチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、待望の復活勝利をマークした
カイル・ブッシュ(スパイア・モータースポーツ/シボレー・シルバラードRST)が同地通算6勝目、3大シリーズ合算ではテキサス20勝の大記録を打ち立てた
文字どおり0.002秒差の“フォトフィニッシュ”で、サム・メイヤー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が今季初優勝を飾っている


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