波紋を呼んだ井上尚弥の“日本開催論争”は「たわごとだ」 米興行関係者が異論「オオタニはMLBに行かなければならなかった」

2024年4月25日(木)18時0分 ココカラネクスト

群雄割拠のボクシング界で図抜けた成果を上げている井上。その偉才ぶりに対する評価は揺るぎない。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 世界が「モンスター」と認める日本の偉才に対する批判は“本場”でも波紋を広げた。スーパーバンタム級4団体統一王者である井上尚弥(大橋)に対するそれだ。

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 キッカケとなったのは、かつての世界王者が発した指摘だ。去る現地時間4月12日に、米ボクシング専門YouTubeチャンネル『ProBox TV』に出演した元世界ウェルター級王者2団体王者のショーン・ポーター(米国)氏は、「彼がボクシング界で、世界最高のスターになりたいならこっち(米国)での試合が必要だ」「海を渡り、アメリカに来て、アメリカ人を倒して、ファンに注目してもらわなければならない」と断言したのである。

 井上は21年6月のマイケル・ダスマリナス(フィリピン)とのWBA・IBFバンタム級タイトルマッチを行って以来、5戦連続で日本興行を実施している。これは母国興行が大規模な収益に繋がっているからに他ならないが、パウンド・フォー・パウンドで上位に君臨する井上の米国への本格進出を臨む声は強い。

 そうした現状に対する不満をハッキリと示したポーター氏のコメントは、SNSを中心に広く拡散。井上本人がXで「今や軽量級の本場はここ日本にある。試合が見たいのなら日本に来ればいい。日本のマーケット以上の物がアメリカにあるのなら喜んで行く。それだけの価値がここ日本にはある」と投じたこともあり、一部の識者やファンからもネガティブなハレーションが広まった。

 無論、日本開催を続ける井上陣営の意図に理解を示す関係者たちは少なくない。米興行大手『Top Rank』のトッド・デュボフ副社長は「身勝手な意見だと思う」とポーター氏の意見に強く反発。「私もできることならイノウエをアメリカで迎え入れたいと思っている。彼は天才だからね」としつつ、「でも、イノウエは市場に恵まれている。彼がアメリカに行く必要はない。パッキャオにとってフィリピンは売り込むには資源的に恵まれない国だったんだ」と論じる。

 デュボフ氏が指摘する井上の「市場価値」は、たしかに凄まじいものがある。来月6日に東京ドームで行われるルイス・ネリ(メキシコ)との一戦のゲート収入は、放映権料を含めて2800万ドル(約42億8400万円)に達すると見込まれている。ゆえに「日本には完全に発展した経済があり、大きなスタジアムと大きなメディアプラットフォームもある」と指摘する同氏は、日本が生んだトップアスリートを引き合いに、興味深い意見を投げかける。

「ショウヘイ・オオタニはMLBに行かなければならなかった。日本には彼が野球選手として成長するのに最も適した場所がなかったからだ。でも、イノウエは自分自身で己の戦うべき場所を決めることができる。日本でも、アメリカでも、ウェンブリー(英国)でもいい。

 イノウエは天才なんだ。彼をわざわざアウェーに連れて行く必要があるのだろうか? 『スターになるためにはアメリカに来なきゃいけない』なんて言うのは、ちょっとしたナルシストの考えだね。そんなのたわごとだよ。そういう目で彼を見ないでほしいし、私たちは感謝している」

 いまや全世界が熱視線を向けている井上。注目度がこれまで以上に高まるなかで迎えるネリとの東京ドーム決戦には、期待をせずにはいられない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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