今季3人目のニュースター誕生。ヴィーケイがインディカー第5戦で初優勝。琢磨は運も味方せず

2021年5月16日(日)15時33分 AUTOSPORT web

 インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで開催されたNTTインディカー・シリーズ第5戦GMRグランプリ。15日に行われた決勝レースは、7番手スタートのリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)が参戦2年目で初優勝を飾った。


 開幕戦のアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)、第4戦のパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)に続いて、第5戦GMRグランプリではリナス・ヴィーケイが勝利の雄叫びを上げた。少年時代からの夢であったトップ・オープンホイール・シリーズでの優勝を実現した喜びがほとばしり出ていた。

インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで行われた第5戦GMRグランプリ


 予選7番手からの勝利は、エド・カーペンター・レーシングの作戦も見事だったことで達成された。もちろん、そこには作戦通りに戦い切る能力を発揮したドライバーの優秀さもあった。オランダ出身のヴィーケイはまだ20歳だが、長距離で争われるインディカー・レースを戦い切る体力と、勝つための知力も既に身につけていることを証明した。


 ハードコンパウンドのブラックタイヤでスタートし、早めにピットインしてレッドにスイッチ。残りの3スティントすべて、ゴールまでをソフトコンパパウンドのレッドタイヤ走り抜ける……というのがエド・カーペンター・レーシングの採用したタイヤストラテジー。


 そして、それはベストの作戦だった。予選でQ3に進めなかったヴィーケイは、その時点までで与えられていたレッドタイヤ2セットを、どちらも予選アタック1回で使ったのみだった。


 Q3ファイストシックスを戦えば、そのうちの1セットを更に酷使して傷めつけることになるが、そうしないで決勝を迎えることとなっていた。決勝用にもう1セット供給されるレッド、アタックで1回使ったユーズドレッド2セットを彼らは第2スティントから連投。


 85周のレースのうちの74周をレッドで走り、優勝して見せたのだった。2位のロマン・グロージャン(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)とのゴール時の差は4.9510秒もあった。

ロマン・グロージャンとトップを争うリナス・ヴィーケイ


 3位は予選4番手だったアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)。今シーズン早くも2回目の表彰台で、彼はポイントランキングで先輩チームメイトのスコット・ディクソンに続く2位を今回も保って見せた。


 4位はジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。優勝候補だったが、とうとう最初から最後までトップ争いに加わることはできなかった。2種類あるタイヤのパフォーマンスを引き出しての戦いができていなかった彼らは。最初のスティントをレッドで走り、それ以降の3スティントは全てブラックで戦ったパロウを脅かすこともなかった。


 優勝がヴィーケイ、2位がグロージャン、3位がパロウという新鮮なトップ3。みんな参戦2年目以内。全員ヨーロピアンだ。


 インディカー経験も豊富なベテランとなっているニューガーデンが4位で、その後ろの5位が同じく今やベテランアメリカンとなっているグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)だった。

表彰台で喜ぶ3人。ヴィーケイは20歳のためノンアルコールに


 レイホールはスタート直後のターン1で他車と接触、右サイドポッドを破損したたためピットに向かい、そこで修理だけでなく、給油も行ってライバル勢と異なるピットタイミングで戦う作戦に変更し、それが功を奏して上位へ進出。レース展開という幸運も味方につけて今年3回目のトップ5フィニッシュを記録した。


「インディカーでの優勝を夢見てきた。本当に嬉しい。自分がこうしてビクトリーレーンに立っていることが信じられない。夢が叶った。インディカーの優勝は僕だけではなく、家族にとっても夢だった。両親が多くの犠牲を払って僕をここまで到達させてくれた」


「勝ってインディ500を迎えるというのも最高だ。こうして1勝目を記録できたことでプレッシャーから解放され、“500”は本気で戦うことができる。いいパフォーマンスを見せる自信はある」とヴィーケイは語った。


 エド・カーペンター・レーシングにとっては2016年のアイオワ・スピードウェイ以来の勝利となった。その時のウィニングドライバーはジョセフ・ニューガーデンだ。


 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)はチームメイトとは対照的に、このレースでも運に恵まれなかった。ブラックでスタートして1回目のピットストップは早目に済ませ、残りはレッドで押し通す……という作戦はヴィーケインとまったく同じ。


 しかし、1回目のピットストップで作業ミスがあり、その後もコースに戻る度にトラフィックに引っかかって思うように順位を上げていけなかった。コースの空いているところへとピットアウトさせられないのは、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの戦況分析力、展開に応じた作戦立案能力が不十分しているということ。すぐさま改善する必要があるだろう。

上位を争えず厳しいレースに終わった佐藤琢磨

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