豪州SC:第6戦ウィントン。210戦目に”別れの餞”、ニッサン・アルティマが勝利

2018年5月25日(金)12時36分 AUTOSPORT web

 5月15日付で、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーでのワークス活動から撤退すると発表したニッサン・モータースポーツは、そのエース格となるリック・ケリーが5月18〜20日の第6戦ウィントンのレース1で自身210戦ぶりの勝利。2018年限りで別れを告げるニッサンに、感謝と餞(はなむけ)の勝利を贈った。


 2018年シーズン限りでのワークス活動終了というニュースを経て迎えた最初のイベント。ウィントン・モーターレースウェイでの一戦は、金曜プラクティス1からニッサン・アルティマがワン・ツー・タイムをマークするなど、パドック全体が”ニッサンへの連帯”を感じさせる空気に包まれるなか、レース1に向けた予選でフロントロウを独占したのは、今シーズン“無慈悲なまでの速さ”を見せつけるシェルVパワー・レーシング、DJRチーム・ペンスキーのスコット・マクローリンと、ファビアン・クルサードのフォード・ファルコンFG-X艦隊だった。


 セカンドロウ3番手のチームメイト、マイケル・カルーソ(ニッサン・アルティマ)に並び4番グリッドにつけたケリーのアルティマは、そのカルーソとともにスタートでクルサードのファルコンに襲いかかると、ターン1、2をスリーワイドで通過したバトルはカルーソに軍配が上がり、以下ケリー、クルサード、ティム・スレード(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/ホールデン・コモドアZB)、そしてウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドのスコット・パイ(ホールデン・コモドアZB)のオーダーに。


 予選最速タイムを記録したタイヤセットでスタートを切った先頭集団は、早期のデグラデーションによるタイムロスを嫌い、ファーストスティントを極端に短くする戦略を採り、2番手カルーソが6周目に先陣を切ってピットへ。


 これに反応した首位マクローリンは翌周にピットへと向かうと、快適なマージンを持ってトラックへと復帰。カルーソのアンダーカットは不発に終わると、マクローリンを追って同周にピット作業を終えたケリーがカルーソのわずかに前で復帰しポジションアップに成功する。


 その後、落ち着いた展開へと推移していたレースをふたたび動かしたのは、どうした因果かニッサン陣営のシモーナ・デ・シルベストロで、27周目に突入したところでBJRのティム・ブランシャード(ホールデン・コモドアZB)と絡み、ターン4でブランシャードを弾き飛ばしグラベルへ。このアクシデントでセーフティカー(SC)が導入されることとなった。


 そしてこのSC明けリスタートの攻防が、レースのリザルトを決定づける大きな要因となり、マージンを失ったマクローリンはターン1のブレーキングで深く行き過ぎると、ターン2の立ち上がりでマシンはわずかにスライド。その隙を見逃さなかったケリーのアルティマが首位奪取に成功する。

ポールシッター、スコット・マクローリンの背後でスリーワイドのバトルを展開したリック・ケリー
R1中盤のリスタートで首位の隙を見逃さず、見事なオーバーテイクでトップへと浮上
SCの引き金となったシモーナ・デ・シルベストロは、再開後にも他車と絡む荒れた週末に


「あまりにもタイヤの表面が冷えすぎていた」と振り返ったマクローリンに対し、「僕のタイヤは完璧にウォームアップが完了していた」というケリーがインから一閃。この混乱に乗じてパイ、SVGことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(レッドブル・レーシング・オーストラリア/ホールデン・コモドアZB)、クルサードにもかわされたマクローリンは5番手までドロップ。最終的にそのままのポジションで40周のチェッカーフラッグまで進むこととなった。


「僕は本当に……すべてを取り戻そうとしてきた」と、レース後に感極まった表情で喜びを語った勝者リック・ケリー。


「今日はレースを通じて、僕の無線はすごく静かだった。それだけピットウォールのみんなも固唾を飲んでレース展開を見守っていてくれたんだと思う」と続けたケリー。


「リスタートが鍵になったことは確かだけど、スコッティ(マクローリン)がターン1のブレーキングでマシンを揺らし、ターン2の立ち上がりでスライドしたのを目の前で見ていた。そして僕のタイヤはビルドアップが完了していることは明らかだった」


「このオーバーテイクを本当に誇りに思う。そしてこのような状況に導いてくれたニッサン・モータースポーツとカストロールに感謝を捧げたい」


 これでケリーは自身2006年のチャンピオン獲得時以来となる210戦ぶりの勝利を飾ると同時に、ニッサン・アルティマにも2016年以来2年ぶりの勝利をプレゼントし、ワークス活動を終えるニッサンに餞別の勝利を贈ることとなった。


 続く日曜67周のレース2は、ふたたびポールシッターとなったマクローリンがスタートでストールを喫する波乱が起こるなか、そのチームメイトであるクルサードが勝利。2位に2016年王者SVGが入り、3位表彰台は悪夢のストールからカムバックしたマクローリンに。これにより“Kiwi(キウイ)”と呼ばれるニュージーランド出身ドライバーたちが表彰台を独占する結果となった。


 第6戦ウィントン・スーパースプリントに続く第7戦ダーウィン・トリプルクラウンは、6月15〜17日の週末にノーザンテリトリーの都市ダーウィンにほど近い、ヒドゥンバレー・レースウェイを舞台に開催される。

リック・ケリーにとっては王座獲得の2006年11月以来、210戦目となる勝利となった
R2はシェルVパワー勢が戦力通りのレース展開で1-3フィニッシュを達成
週末入りの前から体調を崩していたジェームス・コートニーはR1で9位も、R2でアクシンデントを引き起こす


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