TCRデンマーク:記念すべき欧州本格再開はホンダ・シビック・タイプRの2勝で開幕

2020年6月24日(水)12時22分 AUTOSPORT web

 新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックに揺れた欧州での先陣を切り、6月20〜21日の週末に記念すべき初年度シーズン開幕を迎えたTCRデンマーク・シリーズは、Massive Motorsportのキャスパー・H・ジェンセン(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が初戦とレース3を制し、幸先よく2勝をマークしている。


 2020年創設となる初のシーズンは、開幕前から感染症対策に揺れた激動の環境に飲み込まれ、何度もカレンダーが修正される波乱の船出となった。


 その影響で、シリーズのハイライトとして首都コペンハーゲンで予定された市街地戦がスケジュールから脱落し、併催予定だったSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権(TCRスカンジナビア)や、電動ツーリングカーのPureETCRなどもキャンセルに。


 そんな環境で迎えたユトランド半島中央部シルケボー近郊に位置するFDMユランズリングでの開幕戦は、無観客、ゲストのパドック入場不可、車両整備のクルーにも人数制限が掛かるなど普段とは違う制約が課されたものの、欧州でのモータースポーツ再開の狼煙を上げる本格的活動再開の第一歩が記された。


 その初戦で強さを見せたのは、デンマーク国内のDTC(Danish Thundersport Championship)に参戦し、2018-2019年と連覇を達成しているジェンセンで、オープニングのプラクティス2本を制し、予選でも順当にポールポジションを獲得。


 そのまま決勝のレース1でも危なげなく走破し、ライバルと目された同じく国内のツーリングカーやスポーツカー耐久で4度のタイトルを経験するマーティン・アンダーセン(ヒュンダイi30 N TCR/Andersen Motorsport)や、元F1ドライバーで北米では長くコルベット・レーシングのワークスドライバーを務めたヤン・マグヌッセン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/LM Racing)らを従えて、記念すべきTCRデンマーク初代勝者の称号を手にした。


「この結果には本当に満足している。セットアップでのハードワークがすべて実を結び、これは明らかに僕らが望んでいたことだ」と、FDMユランズリングで実施された直前の公式テストでも最速を記録していたジェンセン。


「シーズンはまだ始まったばかりだけど(Honda Racingカスタマーサポートの)JAS Motorsportのエンジニアがともに戦ってくれるのは本当に助けになった。セカンドレースもエキサイティングな展開になるだろうし、彼らとの本当の距離はもっと接近していると思うよ」


 そう予告したジェンセンだが、リバースグリッドが採用されたレース2は6番グリッドから発進した若手有望株のニコライ・シルベスト(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/LM Racing)が、2度のセーフティカー導入にも動じずトップチェッカー。2位に続いた元GT経験者のジェイコブ・マティアセン(アルファロメオ・ジュリエッタTCR/Insight Racing)の背後には、8番手から這い上がったジェンセンがふたたびの表彰台を確保した。

開幕直前の公式テストでも3番手となったヤン・マグヌッセン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/LM Racing)は、R1で3位を獲得した
レースラップごとに改善を見せたジェイコブ・マティアセン(アルファロメオ・ジュリエッタTCR/Insight Racing)や、マーティン・アンダーセン(ヒュンダイi30 N TCR/Andersen Motorsport)らも常に表彰台に絡む好走を見せた


 そして週末最後のヒートとなったレース3は、そのシルベストとマティアセンを従えてジェンセンがふたたび勝利を手にし、3戦2勝の完璧なシーズンスタートに。この結果を受け、Massive Motorsportはレース終了後にジェンセンとの契約を2021年末まで延長するとアナウンスした。


「彼らと引き続き戦えることがうれしい。来季は海外に遠征するオプションについても話し合った。チームは僕に本当の安心感を与えてくれるし、心から感謝している。何もかもが空中でバラバラになったチームにいると、クルマに乗り込んだとき強いストレスが生じる。だからこそ、チームが機能していることは本当に重要なんだ」と語ったジェンセン。


 一方、この開幕戦のみのスポット参戦で週末に臨んでいた女性ドライバーのミシェル・ガッティング(プジョー308 TCR/Markussen Racing)だが、レース1、レース2ともにブレーキトラブルに見舞われる不遇で、レース3でもクラッシュを喫する無念の結果となった。


「11番グリッドからのスタートだっけど、ターン1ですでにブレーキがなくなった。その瞬間、他のドライバーを避けるためにできる限りのことをした」と語った、ル・マン24時間経験者で、今季もELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでフェラーリ488 GTEをドライブする予定のガッティング。


「完全に無力な状態は信じられないほど恐ろしい経験ね。誰にもぶつからないようにしつつ、ほとんど乗客のような気分で祈っている状態よ。でもそれがストレートで起こってラッキーだった。まっすぐグラベルに入って、タイヤバリアからあと数インチのところで止まったの」


 これでマシンに大きなダメージを負うことなくレース2に復帰したガッティングのプジョーだったが、今度は高速コーナーのターン17で同じトラブルに見舞われ、目前にいたフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRと接触しながらクラッシュを喫した。


「頭と首に強い衝撃を受けたせいで、レース後の今も痛みが残っている。今もチームはマシンの調査を続けているけど、週末は私たちの誰もが望んでいたこととはかけ離れた方法で終わった。でも今、私は何の怪我もなくトラックを離れることができて本当に良かったと思っている」


 続くTCRデンマーク第2戦は、開幕戦と同じくFDMユランズリングを舞台に、9月5〜6日に実施される。

ヤン・マグヌッセンの僚友に起用されたニコライ・シルベスト(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/LM Racing)もR2で勝利を飾っている
ブレーキトラブルから毎ヒートのクラッシュを経験したミシェル・ガッティング(プジョー308 TCR/Markussen Racing)


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