ドジャース・大谷 ブラスト王!メジャーが認めた「最も価値あるスイング」する男

2024年6月29日(土)1時30分 スポーツニッポン

 「ブラスト」って何だ!?大リーグでは今季からスイング速度や軌道の計測を開始した。これまでも「バレル」など新たな打撃指標を生み出し、今注目を集めているのが「ブラスト」で、ドジャースの大谷翔平投手(29)はブラスト数「103」がメジャートップに立つ。「Monthly Shohei」6月編ではこの新指標に着目。ナ・リーグトップの25本塁打という量産の秘密に迫った。(取材・杉浦大介通信員)

 大リーグが15年に導入したデータ解析システム「スタットキャスト」は、今季から「バットトラッキング」と呼ばれるバットのスイング速度や軌道の測定を開始した。多くのデータが新たに集計され、中でも「最も価値のあるスイング」の指標として注目を集めるのが「ブラスト」だ。

 スタットキャストチームは16年に「バレル」という指標を生み出した。長打になりやすい打球速度と打球角度の組み合わせを「バレルゾーン」とし、フライボール革命を巻き起こした。バレルが「打球」を計測するのに対し、ブラストは長打になりやすい「スイング」を計測したものだ。

 大リーグ公式サイトのデータ分析を担当するデービッド・アドラー氏は「バレルは結果で、ブラストはそれまでの過程を定義したものです。スイングの速さと、バットの芯で捉えることの、理想的なコンビネーションを表現する。長打力、本塁打数に直結している」と語る。定義は、ボールをいかにバットの芯付近で捉えたかを表す「スクエアドアップ率(%)」と、「スイング速度(マイル)」の合計が164以上であること。その際にスイングが「ブラスト」と認定される。例えば打球を放った際、スクエアドアップ率が90%で、スイング速度が75マイル(約121キロ)ならば、足して「165」となり「ブラスト」となる。大谷の今季のブラスト数103回は、メジャートップに立つ。

 平均スイング速度のメジャートップはヤンキース・スタントンの80.7マイル(約130キロ)で、大谷は15位の75.4マイル(約121キロ)。規格外の飛距離からすれば物足りない印象でもあるが、メジャーの平均スイング速度は72マイル(約116キロ)で、エリート打者とされる75マイル以上は大谷を含めわずか24人しかいない。アドラー氏は「大谷は投手にダメージを与えるには十分なスイング速度を誇っている」と指摘する。

 また、どれだけバットの芯付近でボールを捉えたかを表すのが「スクエアドアップ率」。これが80%以上の際にカウントされる「スクエアドアップスイング」数149はメジャー13位タイだ。「大谷は危険な速度のスイングで、ボールをしっかり捉えていることになる」と解説する。

 「大谷を“特別な打者”にさせているのは、スイングの速さと、ボールを芯で捉える確率の高さのコンビネーションだ」と言い切る。高いフィジカルが生むスイング速度と、ボールをバットの芯で捉える技術の高さ。その両方を兼ね備えた、世界で「最も価値あるスイング」を今我々は目撃している。

 ▽スクエアドアップ率 バットスピードと投球の球速から求められる打球速度の理論上の最大値に対して、実際の打球速度がどれほど近かったかを示す指標。真芯に当たれば100%に近い数字となり、ミートしたポイントが芯から離れれば離れるほど、数値は低くなる。80%以上でスクエアドアップスイングと定義される。長距離砲よりもコンタクトバッターが高い数字を残しやすく、スクエアドアップスイング数トップは2年連続首位打者中のパドレス・アラエスで205回。

スポーツニッポン

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