WTCR:多重クラッシュのSLR「マシンは完全に破壊された」。次戦は新車2台投入へ

2018年7月2日(月)15時40分 AUTOSPORT web

 WTCR世界ツーリングカー・カップの第5戦ポルトガル・ラウンドのレース1で、フロントロウからスタートしてほぼグリッド上の全車に影響を及ぼすマルチプルクラッシュの引き金となってしまったセバスチャン・ローブ・レーシング(SLR)のロブ・ハフ、メディ・ベナーニのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRは、チームにより「完全に破壊されている」ことを確認。SLRは次戦スロバキア戦に向けブランニューのモノコック2台分を用意すると明かした。


 市街地コースとしてWTCC世界ツーリングカー選手権時代からシリーズに組み込まれてきたスペイン・バレンシア州のヴィジャレアル戦で、今季初のフロントロウを独占したSLRの2台は、そのままレース1スタートでもつばぜり合いを演じ、並んで1コーナーをクリア。


 しかし、ゆるい右コーナーとなるターン2に差し掛かったところで、イン側にいるハフがわずかにアウトに孕むと、その右リヤホイールにベナーニのフロントが接触。これでコントロールを失ったハフのゴルフGTIは巻き込まれるようにアウトのベナーニをガードレールに押しやり大クラッシュ。


 セカンドロウスタートから隙を伺っていたノルベルト・ミケリス(BRCレーシング/ヒュンダイi30 N TCR)もその2台を避けられずヒットすると、後続が次々と巻き込まれる多重クラッシュへと発展。27台がストップし、うち7台がリタイアを喫する惨事となった。


 このクラッシュでハフとベナーニの両ドライバーはすぐさまメディカルチームにより搬送されたが、大きな怪我もなく病院を後に。しかしマシンの方はとくにハフの12号車の方が損傷が激しく、エンジンベイを含むフロントセクションをほぼ失うダメージを受けていた。


「我々が素晴らしい成績を手にしていたであろう週末を、こんな形で逃してしまったことは本当に残念だ。しかし今ではもうチーム全体が次のスロバキア戦に向けた作業に全力で取り組んでいる」と語るのは、SLRのチーム代表を務めるドミニク・ハインツ。

フロントロウに並んだメディ・ベナーニの25号車もリヤホイールを失うなどのダメージを受けた
予選時点では最高の展開で週末を進めていたSLRのふたり。市街地コースが被害を拡大する結果となった


「我々はこの数日間、すでに夜通しの作業を続けており、次のスロバキア戦には完全なセバスチャン・ローブ・レーシングの体制で参加することを目指している」


 さらにハインツは、新たなマシンを準備する作業にも増して、7月13〜15日のWTCRレース・オブ・スロバキア戦に向け、レギュラードライバーのふたりが何の障害もなく参戦可能な状態であることに安心している、と続けた。


「一番重要なことに、ロブとメディの両ドライバーがまったく無傷の状態で戻ってきてくれたことは、本当に我々を安堵させた。彼らの安否が判明するのを待つ間は、本当に永遠のように長い時間に感じられたよ。私の彼らへの思いはただひとつ、メンタルも含めて早く万全の状態まで回復してくれることだ」


 チームのファクトリーではすでにフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRのニューモノコックがスタンバイしており、デリバリーされたマシンを完全にプリペアし、レースで戦える状態まで仕上げる作業が続けられている。


「同じレースでマシンが完全に破壊され、2台同時に失うケースは非常に稀(まれ)だと言える。我々としては他に選択肢がないが、この新たな2台のモノコックを通常の品質にまで仕上げ、スロバキア戦ではふたたびシリーズのトップクラスで戦えるクオリティにまで持っていかなくてはならないね」


 当初カレンダーではアルゼンチン戦の予定されていた第6戦のスロットは、同国の経済情勢不安の余波で開催地が変更となり、東欧スロバキアが舞台に。7月13〜15日の週末は、同じくFIAの欧州選手権となるETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップとの併催イベントとして、開催が予定されている。

マカオなどストリート戦を得意とするロブ・ハフ。ここまで5戦で積み重ねてきた車体固有のノウハウも消失することとなった
すでにSLRのファクトリーには新モノコックがスタンバイ。フロントロウ独占のパフォーマンス再現を目指す


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